
奥羽山脈を挟み、仙台と山形を結ぶ鉄道路線・仙山線は全線開通の1937(昭和12)年から90年近い長い歴史をもつ。仙山線沿線には観光地が多く点在している。訪れる人のほとんどが、作並温泉、山寺などを目的に観光する人が中心だ。
ただ、仙山線はそれだけではない。日本で初めて交流電化の試験が行われた路線である。後に新幹線を走らせる基礎となったとても貴重な遺産である。2014(平成26)年には「土木学会選奨土木遺産」に登録された。その記念碑が作並駅構内にある。性能試験に適した勾配であったこともあり、交流電化の試験路線に選ばれたのが始まりである。

1954(昭和29)年には設備が設けられ、翌年から半年近くにわたって機関車によって交流電化試験が行われ、成功を成し遂げたのだ。そして、全線開通から約20年後の1957(昭和32)年に交流電化としての営業運転が仙台~作並間で始まった。
また、作並以西は直流電化区間だったために交直セクションとしても約10年役目を果たした後に1968(昭和43)年に全線が交流電化されて現在に至っている。さらに、新幹線の基礎として高速移動が可能な路線も次々と開通して移動の足としての役目を大いに果たしている。



作並駅や仙山線の車窓から周りを見渡すと新たな再発見ができるはず。ぜひ、じっくりと楽しんでいただきたい。
※画像は2025年5月20日すべて筆者撮影