
仙台市は、起業が盛んな地域として知られ、2025年には内閣府からスタートアップ・エコシステム拠点都市(グローバル拠点都市)として選定をされました。そんな仙台市で東日本大震災以降、長年にわたって、起業家やスタートアップなどの支援を担当してきたのが白川 裕也(しらかわ・ゆうや)さんです。
白川さんは2008年に仙台市役所に入庁。福祉関連の部署を経験後、日本貿易振興機構(ジェトロ)に出向し、外資系企業の日本法人の設立支援や企業誘致に携わりました。その後は仙台市に戻り、経済局で企業誘致や中小企業支援の担当を行った白川さん。2013年に仙台市が「日本一起業しやすいまち」を目指すことが宣言され、そこから13年もの間、白川さんは起業家やスタートアップなどの支援を行ってきました。
「仙台市は、仙台だけではなく東北全体を盛り上げる必要がある」と白川さん。なぜ、一市が「東北」という地方全体の活性化を考えるのか。その理由とこれまでの取り組みについて白川さんに話を伺いました。
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「仙台市には東北の経済を活性化する役割がある」という言葉をきっかけに仙台市に入庁
秋田県大館市出身の白川さんは、中高生の頃からまちづくりや地域経済の活性化に興味を持ち、大学では公共政策を専攻しました。その後の進路を考えたときに地元へ帰ることも検討したそうですが、当時の仙台市長の「仙台市には東北経済を活性化する役割がある」という言葉が響き、仙台市への就職を決断します。

「地元への思いももちろんありましたが、地域単位ではなく、東北全体の活性化に関われることに魅力を感じました」と白川さん。この時の決断があったからこそ、白川さんは現在も「東北全体」という視点で仕事に取り組んでいます。
「チャレンジする人を応援し、挑戦し続けられる環境をつくる」
2013年から起業家やスタートアップの支援に携わってきた白川さん。担当してきた具体的な取り組みとしては、起業家やスタートアップを応援するイベント「SENDAI for Startups!」や仙台市起業支援センター「アシ☆スタ」の立ち上げ、仙台・東北の起業家やスタートアップが事業の成長を目指す短期集中型のアクセラレーションプログラムなどを行ってきました。

それらの起業支援を行う中で白川さんが大切にしてきたのは、「チャレンジする人を応援して、事業を続けてもらえるような仕組みをつくること」。ローカルでの起業は、社会課題解決などを目的とした事業が多く、社会へのインパクトも大きいです。しかし、難しいのは“続ける”こと。東日本大震災後は手厚い補助金や民間の支援がありましたが、それがなくなると課題はあるがビジネスが続けられないという状況もあり、伴走支援プログラムなどを通じて、さまざまな支援を受けられる機会をつくってきました。
「ローカルでの起業は、経済の活性化や雇用の創出はもちろんのこと、仕事の多様性を生み出すことにもつながると考えています。例えば、自分の興味や関心、学んできたことを活かせる仕事があれば仙台に残っても良いかなという人も一定数いると思っていますので、東京圏への人口流出を防ぐためには、起業によって多様な仕事が生まれることも期待しています」と白川さん。

だからこそ、チャレンジする人を応援して、ビジネスが続くような環境を整えることが自分たちの仕事だと言います。
「東北全体を盛り上げる」仙台市が見据える東北全体の活性化
仙台市の起業家やスタートアップの支援で特徴的なことが「東北全体」を見据えた支援も行っていること。例えば、2017年から実施してきたアクセラレーションプログラムの参加者は仙台市民や仙台市の企業に限りません。実際にアクセラレーションプログラムの参加者は東北各地から集まり、アクセラレーションプログラムが終わると各地に戻ります。
なぜ、仙台市は仙台市に限定をすることなく、こうした事業を行うのかを伺うと「東日本大震災の影響が大きかった」と白川さんは話します。
「震災時、仙台でも被害は大きかったですが他の地域と比べると比較的影響は抑えられたからこそ、“仙台が東北の復興を牽引(けんいん)するのだ”という思いが仙台市全体としてあったのではないかと思います」

実際に、東北六魂祭という東北6県の代表的な祭りを一同に集め、各県持ち回りで開催するイベントや、東北6県の物産を紹介する取り組みなど、東北が団結するようなイベントや取り組みが広がっていきました。
こうした流れを受けて、仙台だけではなく東北全体を考えて仕事をするという意識が芽生えていったのかもしれません。
また、仙台市経済局は、ビジョンとして「仙台・東北に暮らす人々が豊かさや幸福を実現できる未来」を実現することを目指しています。このビジョンからも伝わるように今後も仙台市は「東北全体を盛り上げる」という思いで、起業やスタートアップの支援に限らず、さまざまな活動・施策に取り組んでいくことでしょう。
聞き手・書き手:ローカリティ!編集部 國府谷純輝
※写真はすべて白川さん提供
印象に残った言葉
“仙台が東北の復興を牽引(けんいん)するのだ”という思いが仙台市全体としてあったのではないかと思います
取材先情報
取材先名:仙台市
仙台市URL:https://www.city.sendai.jp/






