
株式会社スタジオティ 代表取締役
Tatsuya Ono
小野 達也氏
メイド喫茶やコンセプトカフェを運営し、そこで働くスタッフをアイドルとしてもプロデュース。多様化が進む今、誰もが心地よく暮らせるまちづくりにもチャレンジしているのが、新潟の株式会社スタジオティです。代表取締役の小野 達也(おの たつや)さんは、もともとまったく違うジャンルからイベントの企画・運営に携わるように。その経緯とこれからの展望についてお話を伺いました。
ライブカフェからイベントの企画・運営会社へ
会社立ち上げまでの経緯を教えてください。
もともとは北海道のホテルで働いていました。そこを退社し、今度は富山で会社勤めをしました。しかし、周囲に自分で起業する人たちが多くいたこともあり、“自分もやってみたい!”という気持ちが芽生え、新潟で事業を始めたというのがきっかけです。
20年くらい、フリーランスとしてイベントの企画・運営をしており、それが今の会社の事業につながっている感じですね。
新潟に来てすぐにイベントの企画・運営をされていたのですか?
いえ、違います。ホテルで料理人として働いていた経験を生かそうと、最初は江南区でライブカフェを始めました。そのお店に音楽業界の方がお客さまとしていらっしゃるようになり、僕が音楽好きだったことから、いつしか自分でもでライブをするように。その流れで、音響をイチから勉強して、告知などのためにパソコンも勉強して……。Web会社の友人に教えてもらいながら、コードの書き方なんかを勉強しましたね。

新潟唯一のメイド喫茶が閉店の知らせ。“サポート”から店舗経営へ
なるほど、そうして事業であるイベントの運営につながっていくのですね?
はい。イベントサポートの依頼も来るようになり、どんどんイベントを企画・運営する楽しさにのめり込んでいったんですよね。その一方で、店舗運営もしていたので、イベントで出会った人たちから店舗制作の依頼も来るようになりました。そんな中、サポートをしていた新潟唯一のメイド喫茶がコロナで閉店することになりました。メイド喫茶文化を守りたいと考えてくれているスタッフやお店のお客さんのおかげで10年もの間、お店が存続していましたが、さすがにコロナ禍にはどうにもなりませんでしたね。ですが、やはりここであきらめてはいけないと自身の会社で新たにメイド喫茶・コンセプトカフェを継続することになったんです。
経済を回す、女性雇用とファンツーリズム

現在の事業内容を教えてください。
メイド喫茶・コンセプトカフェを経営しつつ、イベントの企画・運営をしていく。さらに、メイドさんたちをアイドルグループとしてプロデュースして、発信していきます。
ファンツーリズムを活用し、新潟を元気と笑顔で活性化させることが主軸になります。最初にメイド喫茶をお手伝いした10年以上前から基本的な考え方は変わっていなくて、女性雇用の促進や非行・自殺・パパ活の抑制をテーマにした活動になります。
御社の基盤になっている、基本的な考え方について、もう少し具体的に教えてください。
どんどん社会は変化していて、人種も多様化してきています。性格や性別、考え方もさまざまですし、学校教育のあり方や家庭環境の違いもいろいろです。そういった中でも誰もが夢を持ち、追いかけてもいいはずだと思うんです。メイド喫茶という非日常的な形、飲食店という図式の中で、若いスタッフたちにいろいろな経験をしてもらいたい。みんなでコミュニケーションを取りながら、チームで業務を遂行して、目標を達成する。そういった経験をすることで、ゆっくりとかもしれないけれど、自立していく。そんなサポートをしたいと考えています。
その想いはどこから来ているのですか?
新潟が好きなので、“次の世代が健全に楽しく、暮らせる街・新潟をつくりたい”という思いからでしょうか。今の若い世代の中には、自分たちでタスクを実行するということが分からない人たちも少なくありません。だから、メイド喫茶・コンセプトカフェにかかわらず、イベントでもスタッフとして参加してもらい、いろいろな経験をしてもらうようにしています。実際に成功体験を重ねていく中で、今度は自発的な提案も生まれてくるようになると思っています。
ないならつくっちゃえ!アイドルの働ける場所

現在、メイド喫茶・コンセプトカフェのスタッフ数は?
「異世界転移メイド喫茶『カフェレイヴ』」としてお店を構えていて、そこに20人以上のスタッフが在籍しています。このお店は、時間ごとにコンセプトが変わるお店となっています。あるときはメイド喫茶だし、あるときは魔法少女の居酒屋風コンカフェ(コンセプトカフェ)、またあるときは異世界のカラオケバー。それぞれの時間帯に別々のお客さまがいらっしゃって、ファン層が違うのも特徴なんです。
お客さまはどんな方がいらっしゃるのですか?
男女問いませんし、年代もさまざま。いろいろな業界の方もいれば、ジャパニーズカルチャーが好きな海外の方もいらっしゃいます。最近では、アジア圏の海外のお客さまやホームページを見て、メールで問い合わせたうえで来店される方も少なくありません。
メイド喫茶・コンセプトカフェである理由はありますか?
先ほどの雇用の話につながるのですが、現状、アイドルのスタッフたちが安心して働けるアルバイト先がほとんどないんです。だから、隠れてバイトをしないといけない。そうなると諸々の危険がともなってくるじゃないですか。だったら、健全にアルバイトできる場所をつくってしまえばいいし、そのスタッフたちがアイドルとして活動しやすい所属先をつくってしまおう。そんな発想ですね。このベース基地所属のアイドルには、今後、より多くのイベントに参加できるようになるまでレッスンを積み重ねてもらいたいと考えています。
ほかにどういったサポート体制を取っているのですか?
イベント制作、各種SNSでの情報発信などですね。これは僕たち裏方の人間がやるだけではなくて、スタッフであるメイドたちにも業務として積極的に取り組んでもらっています。
アイドルイベントは参加者も演者もみんなが笑顔

これまで手掛けてきたイベントの中で印象的なものを教えてください。
やはりアイドルイベントですね。アイドルのイベントには多くの人が集まりますし、みんなが盛り上がって笑顔になる。シンプルですが、あの幸せな光景は癖になりますよ。
中期的な目標はありますか?
今、アイドルとして活動している彼女たちがそれぞれの役割を持って、いずれはお店や会社の運営にも関わってくれるようになるとうれしいですね。これが実現可能なときは、どうぞどうぞ、と会社を譲り渡そうと思っています。僕がフリーランスとして、経営者として培ったものを彼女たちに全部教えて、巣立ってもらいたいというのが目標ですね。
どうしたらそういった考え方にたどり着けるのですか?
特別なことはないですよ。僕が親にしてもらったことをご縁のある若い人たちに返しているようなものです。親がこんなにお金と愛情を自分にかけてくれていたことに大人になって気が付きました。人助けというとおこがましいのですが、そんな気持ちも少なからずあります。あと、なんか目先のことには興味がないというか。住みやすい街をつくる手助けをしていれば、新潟の経済が回って、そのうち自分にも返ってくる。そんなところですかね。
取材日:2025年3月25日
株式会社スタジオティ
- 代表者名:小野達也(通称:てぃ)
- 設立年月:2022年4月
- 資本金:10万円
- 事業内容:イベント企画・制作・運営・店舗コンサル業
- 所在地:〒950-0075 新潟県新潟市中央区沼垂東3丁目5-30 3F
- URL:https://studiot.top/
- お問い合わせ先:studiot.works@gmail.com
この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。