沖縄県は2023年度、たくさんの「お宝=魅力」をもつ離島各所の事業者さんたちが、SNSなどの『デジタルツール』を利用してさらに魅力的な発信をしていけるように「沖縄県主催🌺価値を伝えて売りまくるためのデジバズ講座」という取り組みを行っています。この記事は、参加された事業者さんを対象に、「ローカリティ!」のレポーターがその輝く魅力を取材し執筆したものです。沖縄離島の魅力をご堪能ください。
1968年(昭和43年)沖縄県の離島・石垣島で初めてのステーキハウスとしてオープンした担たん亭。石垣市郊外の閑静で緑豊かな敷地の中にある赤瓦屋根のお店で、店内は木の温もりが漂うゆったりとした雰囲気のなか食事を楽しむことができます。
担たん亭の母体は、高那将好(たかな・まさよし)さんが代表取締役を務める「株式会社高那」という、家族で経営する会社です。自社で牛を飼育し精肉部も併設しているため、いつでも新鮮なおいしさが自慢の石垣牛のステーキをはじめ、焼肉・牛たん料理等を提供することができます。
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担たん亭のスタートは祖父母の時代から
株式会社高那の石垣牛卸・副産物販売の営業を担当しながら、担たん亭の調理部門も担う、社長の長男である高那将嗣(たかな・まさつぐ)さん。
担たん亭は祖父母の代に始めたお店で、時代とともに消費者のニーズに合わせ『焼肉』や『ステーキ』をメインで提供する、地元のお客様にも観光客にも愛される現在のお店の形になったそうです。
「お店を切り盛りしながらも、石垣島の畜産業を活性化させ、地域の畜産農家とともに畜産業を大きくしたいという目的を持って働く両親や祖父母の懸命な姿を見てきました」と将嗣さん。
将嗣さんは5人姉弟。社長である父の元、長姉と次姉、3番目で長男の将嗣さん、弟の次男と三男、全員が他の仕事も持ちつつ、それぞれのポジションで仕事を担当し会社を守ります。
「家族だから大変なこともある。でも家族だからこそ、ガッチリ組み合った時のパワーは誰にも負けない強みがあります」
牛がお肉になるまでの工程をすべて経験
「自分は高校を中退し、最初は精肉加工業で内臓洗いの仕事を1年、その後内地の精肉加工の会社で5年働きました。牛が肉になる全ての工程を経験してきました」と将嗣さん。
厨房でお客様にお肉を提供している将嗣さんですが、厨房は食べに来て下さるお客様の声が届きやすい場所。常にお客様の声を反映できるよう、いただいたご意見を大切にしているそうです。
「牛を育てるところから肉になるまで、すべて経験したうえで、自分がさばいた肉をお客様に提供するという最終消費の部分に携わることができるのは、誰でも経験できることではないこと。そんな環境で仕事をさせてもらえることに感謝しています。そして、お客様が『おいしかった』と笑顔で帰っていただくときが何よりもうれしい」
そう話す将嗣さんが提供する石垣牛は、脂身が多過ぎずさっぱりとして、滋味あふれる甘みがある味わいが特長です。関わる人の真摯な姿勢が味に出るのかと思うほど、深い味わいのお肉です。
「あんだんす」というおにぎりを食べてみて
「両親は会社の仕事も多く抱えていますが、早朝に空港に納めるための『あんだんす』というおにぎりを握るんです。もし石垣空港に行くことがあれば保安検査場を過ぎたところの売店に行ってみてください」と将嗣さんに言われました。
「あんだんす」というのは沖縄の「肉みそ」のこと。石垣牛を使った肉みそが入った石垣米の石垣島ならではのおにぎりです。
日々寸分の休みもなく働いてきた父をはじめ、母や祖父母の背中をみて育った将嗣さんは、その姿勢を受け取り、お客様やおいしい肉になる牛の命、そして自分の置かれた環境に感謝を忘れません。
「これからもおいしいお肉を提供してたくさんの人を喜ばせたい」とまっすぐな眼差しでそう話してくれました。
石垣島を訪れることがあったら、「担たん亭」が提供するそのおいしさにぜひふれてみてはいかがでしょうか。