SNS発の漫画やキャラクターで世界トップクラスの実績、「エンタメビジネスのアップデートを」【東京都港区】

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株式会社Minto  代表取締役

Kazuhiro Mizuno
水野 和寛

誰もが1度は利用したことがあるチャットアプリ「LINE」のスタンプで人気のキャラクターを開発し、Webtoon(縦型漫画)作品でもヒットを連発、さらにXやInstagramで人気のクリエイターさんと企業のコラボ企画もプロデュースするのは、株式会社Mintoです。「日本のクリエイターの価値を高め、より海外に届けたい」と話す代表の水野 和寛(みずの かずひろ)さんに、同社の歩みや業界の未来などについてお話を伺いました。

三つの軸で事業を展開。世界で人気のスタンプキャラクターも手がける

御社の事業内容を教えてください。

弊社ではコンテンツソリューション、コンテンツクリエイション、コンテンツディストリビューションの三つの事業を軸にしています。
企業のマーケティング企画と支援を行うコンテンツソリューション事業では、広告主の宣伝したい商品を、約350人のSNSクリエイターとマッチングして、SNS上に漫画、イラスト、アニメなどのコンテンツを発信しています。企業のニーズに合わせて、企画・制作のプランニング、ディレクション、広告配信、効果検証まで行うのが強みです。
Webtoonやスタンプ等のコンテンツやキャラクターを作っているコンテンツクリエイション事業は、自社のスタジオでWebtoon/スタンプ/ショートドラマなどのコンテンツを企画開発しているほか、クリエイターや国内外の企業との共同開発も行っています。スタンプの累計ダウンロード数は約60億件(24年5月現在)で世界1位、2022年に立ち上げたWebtoonスタジオはすでに国内最大手のピッコマ社のランキングで1位を数回獲得しています。
コンテンツディストリビューション事業は、自分たちで制作したコンテンツキャラクターだけではなく、クライアントさまやクリエイターからお預かりしたコンテンツキャラクターを中国やタイ支社の現地メーカーさんにライセンスを許諾して、グッズを制作したり、イベントなどを開催したりするキャラクター・エージェント事業を行っています。

より具体的な事例をお聞かせください。

例えば、コンテンツソリューション事業では、株式会社あきんどスシローさまとともに漫画「スシロー あるある!漫画」を制作しました。SNSで活躍する人気のイラストレーターたちを起用し、各クリエイターの視点で「スシローへ行った時の親子あるある」を描いてもらいました。来店するお客さまにも楽しんでいただけるよう、リーフレットとして配布もしました。また、コンテンツクリエイション事業では自社のキャラクタースタジオで生み出されたキャラクター「ベタックマ」(白くてキモくて激しく動く白いクマのキャラクター)が、LINE(日本)やKakaoTalk(韓国)でスタンプ1位になりました。LINE友だち数は350万人を突破し、スタンプの総ダウンロード数は7.5億件。官公庁、自動車メーカーなど国内外問わず、企業タイアップ事例も多数あります。

雑誌編集者としてキャリアをスタート。起業にいたるまでの道のり

元々キャラクターコンテンツなどの分野にご興味があったのでしょうか?

実は最初からキャラクターが大好き!というわけではなく、さまざまなエンタメ体験やコンテンツビジネスに携わるうちに興味の幅が広がっていきました。元々は学生時代コンピューター音楽に興味があり、自らコンピューター音楽も作っていて、学生時代からアルバイトでコンピューター音楽の雑誌の編集者として働いていました。当時、コンピューター音楽を作る人はその能力を生かして「着信メロディ」を作ることが多かったんですよね。その流れでアルバイトで入った会社で「着信メロディ」の情報サイトと「着信メロディ」を制作する事業が始まり、当時、その会社で最年少だった私が責任者として指名されたんです。
着信メロディから携帯コンテンツ事業に関わっているうちに、大半の仕事が携帯コンテンツに移っていき、着信メロディ以外のジャンルでもさまざまなコンテンツを作るようになりました。着信メロディ、音楽配信、デコメ、電子書籍、占い、ヘルスケア、ゲームなどです。その中でもデコメ(絵文字やアニメーション画像などをつけられるメール)サイトで販売していたコンテンツから人気になるキャラクターが生まれることがあり、キャラクターって面白いなぁと思ったのが始めたきっかけです。

そこからどのような経緯で会社を設立されるのでしょうか?

株式会社Minto自体は2022年1月から二つの会社を経営統合している会社でして、元々は11年に僕が立ち上げた株式会社クオンと、株式会社wwwaapが経営統合してできたので今2年ちょっと(24年5月時点)になります。
私が立ち上げたクオンは2011年に創立した会社なのですが、それこそ創業前の会社でやっていた「デコメ」「絵文字」のような日本独自のコンテンツやそこから派生するキャラクターを、「もっとグローバルに届けられるのではないか」という思いがありました。自分自身は、コンテンツプロデューサー出身なので、クオンは、BtoCのコンテンツ事業が中心でしたが、同時にコンテンツを世界に届けたり、広告メディアを活用したりするためにはBtoB事業も絶対必要だと思っていて、SNSの発展と共に生まれた新しいクリエイターと企業をマッチングするBtoBビジネスをしていたwwwaapと経営統合することになりました。

スマホのグローバル化に合わせて事業も世界展開。交渉で飛び回る日々

設立してからの苦労された点をお伺いしたいです。

Mintoの前身のクオンを立ち上げたのは2011年。当時はiPhoneやAndroidなどのOSを搭載したスマートフォンが普及するようになって、Apple、Googleのコンテンツプラットフォームがグローバルスタンダード化し、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどの従来のコンテンツ・プラットフォーマーの力が弱ってきた時期でした。元々は国内向けにコンテンツを配信していたこともあり、自ら望んでいたとはいえ、一気にモバイルコンテンツ事業での勝ち方が難しくなってきた印象があります。スマホアプリによって、グローバル化と個人・法人の垣根が一気になくなったからです。

そのような苦労をされた中でも、スタンプの累計ダウンロード数が約60億ダウンロードで世界一となるなど目覚ましい成果をあげられていますが、どのように結果を出されたのでしょうか?

世界中でチャットアプリの利用が当たり前になる一方で、使われるアプリは国ごとに違いました。例えばLINEは、日本やタイ、WeChatは中国、Facebook Messengerは米国などです。当初は、LINE向けにスタンプ制作をしていたのですが、スタンプにいたるまでの絵文字やデコメのコンテンツ・ノウハウは日本独自のものなのだから、海外のプラットフォーマーも欲しているかもしれないと思いました。
具体的に話すと、中国のWeChatはテンセント社のアプリです。テンセント社のある深圳まで色々な人の紹介で辿り着き、そこでWeChatチームは広州にいると聞いて、出張期間を伸ばして交渉し続けたり、米国のFacebookも本社に赴いて、そもそも絵文字、デコメ、スタンプのカルチャーの歴史から講義したりしていました。ベトナムのZaloやインドのHikeなど含めて世界中のチャットアプリ会社との交渉で飛び回っていましたね。

日本発キャラクターの海外展開でエンタメ文化を後押し?クリエイターの価値向上にも注力

いろいろなお話をお伺いさせていただきましたが、展望などお伺いしたいです。

少しキャラクターの話が多かったのですが、Mintoは「漫画・アニメ」領域のエンタメビジネスを幅広く手掛け、アップデートする会社です。アニメをみたり、グッズを買って「推し活」をしたりということが、この数年で当たり前のことになってきましたし、業界の発展にも寄与していきたいと思っています。さまざまなクリエイターやIPホルダーの方と協業してビジネス作りのお手伝いをしつつ、自社で手がけるWebtoon、ショートドラマ、SNS発のコンテンツIPにも注力していきたいと思っています。

ありがとうございます。業界の発展に重点を置かれていくとのことですが、理想の社会像はありますか?

社会からのクリエイターやコンテンツの評価がもっと高くなるようにしていきたいと思っています。昨年、経団連がコンテンツ産業に関しての提言書を発表し、今年は内閣がエンタメコンテンツを産業として支援する議論をしていましたが、コンテンツ産業として定義し、政財界が適切な形でバックアップ(助成や支援の枠組み)してほしいと思っています。
韓国のエンタメ振興で言えば、K-POPや韓国ドラマが世界中で流行ると、韓国の電化製品や自動車が売れる、というようなこともあったので。他の産業にも影響を与える存在になることで、そのようなコンテンツの価値、コンテンツを作っているクリエイターの存在価値も高まると思います。

取材日:2024年4月10日 

   株式会社Minto

  • 代表者名:水野 和寛
  • 設立年月:2022年1月
  • 資本金:1億円
  • 事業内容:コンテンツソリューション事業、IPプロデュース事業、Web3事業
  • 所在地:〒107-0061 東京都港区北青山 2-14-4 the ARGYLE aoyama 6F
  • URL:https://minto-inc.jp/
  • お問い合わせ先:03-6821-2732

この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。

三芳洋瑛

三芳洋瑛

神奈川県藤沢市

編集部記者

山梨県甲府市(出身地)  神奈川県相模原市(生まれ育った地) 
47都道府県をヒッチハイクなどをしながら巡っている際に日本国内の魅力に沢山触れた経験をもとに記事の執筆編集を行っている。

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