誰が買うの?「水ゼリー」が駅の自販機に並ぶ理由とは【東京都渋谷区】

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JR東日本の駅に設置されている自動販売機に並んでいる、「水ゼリー」と書かれたペットボトル。一般的にゼリーといえばフルーツが入ったゼリーや、コーヒーゼリーのようなものを思い浮かべますが、水のゼリーとはどういうものなのでしょうか。「味が無い透明なゼリー?」「いったい誰が買うの?」と気になることばかりです。

実はこの不思議な商品には、緻密なマーケティング戦略に基づいたメーカーの狙いと、新規のお客様獲得への挑戦の秘話がありました。

実際に発売された2020年3月には、SNSなどでも話題となり、予想の174%の出荷を達成するほどの人気ぶり。今回は「From AQUA<フロムアクア> 天然水ゼリー」を販売しているJR東日本クロスステーションの広報担当の方にお話を伺うことで、水ゼリーの謎に迫りました。

清涼感のあるパッケージの天然水ゼリー(2023年7月31日 筆者撮影)

「ちょっと大人向けのゼリー飲料を作りたい」

「From AQUA 天然水ゼリー」は、JR 東日本クロスステーション ウォータービジネスカンパニーが、エキナカを中心に展開しているacure<アキュア>のオリジナル飲料ブランド acure made<アキュアメイド>から発売されています。「水をスプーンですくう」という普通ではあり得ない画像のパッケージは、とてもインパクトがあるので、JR東日本の駅などでacureの自動販売機を見た方なら、「なんだろう?」と気になった経験があることでしょう。

そもそも水をゼリーにして、ペットボトルに詰めて売るという発想はどのように生まれたのでしょうか。

acure madeの商品は、企画の段階で商品がどの時間帯に、どんな年齢層が買っているのかリサーチした結果を元に開発が進められています。これまでに販売されていたゼリー飲料は10代の若者に人気があったのですが、リピート購入が他の年代に比べて少ないため、20代以上の需要開拓を狙いたいと考えていました。そこで今までに無かった「ちょっと大人向けのゼリー飲料」をコンセプトに開発が始まりました。

また、もともとacureは「From AQUA 谷川連峰の天然水」というミネラルウォーターを販売しており、谷川連峰の自然保護活動にも取り組んでいました。「その谷川連峰から湧き出た天然水を使って何かできないだろうか」という想いも合わさり、アイデアの一つとして“水のゼリー”という企画が誕生したのです。

515gの大容量サイズは売り切れになるほどの人気です(2023年7月31日 筆者撮影)

フリフリ動画がTikTokでも人気に!

前代未聞の試みということで、開発には試行錯誤が多々ありました。

「From AQUA 天然水ゼリー」はペットボトルを振ってゼリーを崩して飲むものですが、ゼリーが硬すぎればペットボトルから出てこず、柔らかすぎると振ったときにすべて崩れてゼリー感が失われてしまうため、最適な硬さの調整にも苦労があったそうです。

また清涼感を出すためにミントフレーバーがついていますが、フレーバーが強すぎると薬品のようなケミカルな味になってしまうため、味のバランス調整も難しかったとのこと。

その苦労の甲斐あって、2020年3月に「From AQUA 天然水ゼリー」が発売されると、発売からわずか4ヶ月で緊急増産が決定することとなりました。ちょうどコロナ禍が始まり、他の飲料の売上が落ちるなかで、「From AQUA 天然水ゼリー」は大きく売上を伸ばしたのです。

当初は280gの商品のみでしたが、2022年に515gの大容量タイプが発売されると、こちらも計画の2.6倍という大幅な売上増を記録しました。

売上を大きく伸ばした要因は、TwitterやTikTokなどのSNSにアップした写真や動画が、多くの人の目に触れたことです。コロナ禍になり、一人で旅をする鉄道ファンがTwitterに投稿したツイートがバズったり、10代の学生などにペットボトルを振るというアクションがウケて、TikTokの動画にアップされたことも、新たな顧客の獲得にもつながったようです。

 振る回数や強さによって、ゼリーの硬さが調整可能(2023年7月31日 筆者撮影)

暑い夏にピッタリ!アレンジで映えるカクテルにも

購入して飲んでみたところ、まったく振らないとゼリーは出てこないのですが、よく振ってから飲むと、つるんとしたなめらかな舌触りのゼリーが口の中に滑り込んできます。甘さ控えめなラムネ味に、ミントの爽やかな風味が加わり、絶妙な清涼感を感じます。

暑い季節に飲みたくなる、「ちょっと大人向け」という言葉がぴったりな飲み物でした。

JR東日本クロスステーションの広報の方にオススメの飲み方を伺ったところ、大容量タイプの方は凍らせる事ができるので、冷凍庫で凍らせて半分シャーベット状になったゼリーを食べるのも良いとのことでした。夜に凍らせて朝に冷凍庫から取り出せば、昼頃には少し溶けたシャーベット風のゼリーを楽しめるようです。

またSNS上では、ゼリーにリキュールなどを注ぎ、オリジナルの映えカクテルの投稿をされている方もいました。爽やかなラムネとミントの風味はジン系のスピリッツなどとも合いそうだと感じました。自分でオリジナルの飲み方や、映えるドリンクを考えるのも楽しいかもしれません。

「ちょっと大人向けなゼリー飲料」という、今までに無かった需要を開拓したacure madeの「From AQUA 天然水ゼリー」。acure madeでは、ビッグデータやお客様の声を活かしたユニークな商品を複数展開しています。

『ほかにはない、価値ある飲みものを。ほかではない、あなたの飲みものを。飲む人の気持ちにとことん寄り添い、ノドもココロもうるおう楽しさを、あなたといっしょに創りあげます。』というブランドコンセプトのとおり、これからも買って飲むのが楽しくなるような商品を開発してくれることを期待します。

 振る回数や強さによって、ゼリーの硬さが調整可能(2023年7月31日 筆者撮影)

兵永和寛

兵永和寛

東京都江東区

編集部記者

IT企業で人事・広報として働く元バンドマン。静岡に生まれ、濃い20代を関西で過ごし、今は東京で暮らしています。カメラを持って街歩きしながら、独自の目線で景色を切り取るのが好きです。現在は記者見習いとして日々勉強中!!

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