「日本三大史跡が入場無料!?」東北・多賀城跡に本格的歴史を学ぶ場が誕生 【宮城県多賀城市】

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多賀城の創建から1300年に合わせて去年復元された「南門」

東北のまんなかで、歴史にふれるぜいたくを。新しく生まれたガイダンス施設が旅の目的地になる。

2025年4月25日、宮城県多賀城市に新たな歴史スポットが誕生した。国の特別史跡「多賀城跡」の敷地内にグランドオープンしたのは、「多賀城復元南門」と「多賀城跡ガイダンス施設」である。

歴史を深く、そして楽しく体験できるこの施設は入場無料。気軽に訪れられる「知的な旅先」として、今年のゴールデンウィークのお出かけ先にもぴったりである。

多賀城跡ガイダンス施設入り口のモニター

奈良時代から続く東北の中心、多賀城

多賀城は奈良時代の724年に築かれた、当時の東北地方における政治・軍事・文化の拠点である。律令国家が東北支配を進めるために設置した拠点「国府(こくふ)」の中でも、日本三大史跡のひとつとして、平城京や太宰府と並ぶ歴史的価値を持つ。

国の特別史跡にも指定されている多賀城跡では、現在でも土塁や石敷きの遺構が広がり、かつての広大な都市空間をしのぶことができる。

しかし、その歴史的価値を十分に伝える展示施設はこれまで限られていた。今回のガイダンス施設の完成により、多賀城の全体像や人々の暮らし、当時の文化を“体験”というかたちで学べる環境が整う。

かつて多賀城の規模は約900メートル四方で、南・東・西に門が開いていた

デジタル×史跡で、体験型の歴史学習を

館内には200インチの大型LEDモニターを備え、CGで再現された当時の多賀城や街のにぎわいを映像で鑑賞できる。さらに、出土品や建築構造を3Dで操作できるタッチパネル型展示も導入されており、親子で楽しめるインタラクティブな学びの場となっている。

歴史に詳しくない人でも、「見る・触れる・感じる」ことから自然と知識が深まる構成が魅力である。夏休みの自由研究や、知育を兼ねた旅先としても高いポテンシャルを秘めている。

ガイダンス施設の大型LEDモニター

百人一首の歌枕が点在する

多賀城の魅力は、古代の政治遺構だけではない。この地は古くから「歌枕の地」として知られ、平安時代の和歌にも数多く登場している。百人一首に選ばれている歌の舞台としても知られ、清原元輔の「末の松山」、二条院讃岐の「沖の石」など、全国的に有名な歌枕が市内各地に現存する。

とりわけ「末の松山」は、“契りきな…”の一節で広く知られ、地元では今なおその風景と物語が受け継がれている。ガイダンス施設と合わせて、これら歌枕の地をめぐる“短歌の小さな旅”も、多賀城市ならではの文化体験である。

清原元輔の「末の松山」
二条院讃岐の「沖の石

南門と史跡公園、まち歩きに最適な構成

ガイダンス施設からすぐの場所には、復元された「南門」が位置する。巨大な木造門の前に立つと、かつての国府のスケールを体感でき、四季折々の風景とともに楽しめる。芝生の広がる史跡公園は、ピクニックや小休憩にも最適で、ファミリー層にとっても快適な観光環境が整っている。

施設も周辺エリアもすべて入場無料であることも大きな魅力である。駐車場も完備しており、日帰りドライブや仙台観光のサイドトリップにも便利な立地である。

多賀城跡から眺める街の風景

GWは家族で“東北のはじまり”を感じる旅へ

子どもと一緒に学びながら遊べる場所を探しているなら、この春はぜひ多賀城市を訪れてみてほしい。古代の国家が広がっていた空間を歩き、和歌に詠まれた風景に耳を澄ませる。そんな旅は、大人にとっても心に残る時間となるだろう。

親子でゆっくり歴史散歩を楽しもう

※写真は全て筆者が撮影

情報

施設概要
名称:多賀城跡
住所:多賀城市市川
料金:見学自由
駐車場:20台
アクセス:JR国府多賀城駅から徒歩15分

■関連リンク
多賀城市観光協会
多賀城市 万葉デジタルミュージアム

阿部宣行

阿部宣行

山形にある探究教室の講師。子どもたちが熱中できることを見つけ、大人顔負けで実践できるように日々活動しています。ローカリティに参加してからの趣味は写真撮影。子どもたちの視野を広げるために記事を書き、写真を撮っていきます。

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