合同会社 Mdeza 代表
Mayumi Yamauchi
山内 真由美氏

未経験からIT業界に飛び込み、実務を通じてウェブ制作のスキルを磨き上げた合同会社 Mdeza代表の山内 真由美(やまうち まゆみ)さん。彼女の強みは、データに基づいたウェブ解析スキルにあります。沖縄初の「ウェブ解析士マスター」としてその知見を生かし、クライアントの信頼を獲得してきました。ウェブ業界の発展や地域への貢献にも意欲を見せ、新たな挑戦を視野に入れる山内さんに、これまでの歩みと展望について伺いました。
IT未経験から就職、現場のたたき上げでウェブ制作の知識と技術を獲得
御社を立ち上げるまでの山内さんのキャリアを教えてください。
学生の頃はダンスに夢中で、沖縄から上京してフリーターをしながらダンスのレッスンに通うようになりました。そのような最中に結婚して、しばらく専業主婦をしていました。IT業界とはまったく関わりのない人生だったのですが、離婚を機に沖縄へ戻ることになり、働かなくてはならない状況に。そこで、もともと興味があったIT業界やデザインの分野に挑戦しようと決意しました。未経験ながら、やる気があれば採用してくれる会社に入社することができ、実務を通じてウェブ制作の技術を学びました。
当時の給与は低く厳しい状況が続いたものの、新しい世界で学ぶことが楽しかったので、努力を続けました。しかし次第に無理がたたって体を壊してしまい、もう少し職場環境の整った会社へ転職し、さらに経験を積みました。そこではデザインからコーディング、制作、サーバー管理、ディレクションなど、幅広い業務を担当し、約2年でウェブ制作に必要なひと通りの業務をこなせるようになりました。最終的に5年間の実務経験を経て、一人でも十分なスキルを身に付けたと感じ、独立しフリーランスとして活動し始めました。
起業までの経緯を教えてください。
個人事業主として活動をスタートし、売上は右肩上がりで順調に成長しました。しかし年商が1,000万円を超えた頃から、すべての責任を自分一人で負うことに限界を感じるようになりました。
またクライアントからも、個人事業主だとリスクを感じるという声が多かったため、安心して取引してもらうために、2024年4月に弊社を設立しました。特に大きなビジョンがあったわけではなく、必要に応じて法人化した形です。
沖縄初のウェブ解析士マスターに。ウェブ解析を強みに売上を伸ばす
売上が順調に伸びた要因は何だったのでしょうか?
私の強みは「ウェブ解析士マスター」という、一般社団法人ウェブ解析士協会が認定するウェブ解析士の最上位資格を持っており、ウェブ解析に特化していることです。「ウェブ解析ができる人がいる」と口コミで広がり、案件が増えていきました。私自身は営業活動をしたことがなく、すべて紹介でつながっていきました。
ウェブ解析士の資格を取得された理由を教えてください。
最初に資格を取ったのは、勤務していた会社で自分がデザインしたサイトがどれくらい見られているのかを知りたかったからです。また、資格手当がつく制度があったことも理由の一つです。取得当初は上級だけでいいと思っていたのですが、独立して仕事をする上で、専門性を証明するためにもマスター資格まで取得しました。
初級では基本的なデータの見方を学びますが、上級ではコンサルティングの視点でデータ分析を行う内容になります。マスター資格は教える立場としての役割を担うものです。仕事もしながら資格取得の勉強をしていたので非常にストレスフルでしたが、結果的に沖縄初のマスターとなり、解析の知識を生かしてクライアントに具体的な提案ができるようになりました。クライアントに解析データを見せながら、サイトの効果を説明することで説得力が増し、信頼を得ることができたと感じます。
解析スキルを武器に、クライアントの信頼を勝ち取る

専門家としての信頼性が高められたのですね。ウェブ制作を一通りご自分でできるとのことですが、会社設立後は、スタッフを雇われたのでしょうか?
どうしても物理的に無理な場合は外部にお願いすることもありますし、システム系は自分はできないので信頼できるエンジニアに依頼していますが、ロゴ作成やサイトのデザイン、コーディング、サーバー管理までは基本的に全部私自身で担っています。
業務量が膨大で大変ではないですか?
この業界の仕事は基本的に分業なのですが、私はいろいろなことに興味があるので、むしろ全部自分でやることが楽しいんです。今日は解析、明日はデザイン、次はコーディング、のように分散すると、ずっと同じことをやらずに済むので飽きません。また、ウェブに関することを一気通貫で任せられる、ということが強みにもなっています。それだけ比重も責任も大きくなりますが、すべてに自分の目が届きますし、成果にコミットすることもできます。このスタイルで作り上げたサイトは、検索順位をかなり上げられていると自負しています。
一気通貫で業務を担えること以外で、御社の強みはどのような点だと思われますか?
やはり解析能力ですね。データ分析のスキルには自信があります。数値を基に提案していきますので、時にクライアントの要望通りにならないこともありますが、数値的根拠を示しながら可能な限りわかりやすく提案し、調整してくことで、納得いただける結果を出しています。その成果か、「山内さんに任せれば大丈夫」と言っていただけることが増えてきましたし、そういう評価が広がっている実感があります。ありがたいことに、周りの方々にとてもかわいがっていただいています(笑)。
クライアントの笑顔が一番のモチベーション
成果にこだわる山内さんの真摯な姿勢がクライアントに伝わっているのでしょうね。そのほかにも、業務を進める上で心がけていることや、こだわっているポイントはありますか?
少し自己満足になるかもしれませんが、依頼してくださった方に笑顔になってもらいたいと思いながら仕事をしています。「ありがとう」と言ってもらえた時の反応を見るのが好きで、何よりのモチベーションなんです。だからこそ、頑張ろうという気持ちになりますし、そのために時にやり過ぎてしまうことも。本来なら規定の料金内におさまらないことまでやってしまうことが多々あります。お客さんの笑顔が見たいから、ほかの会社なら追加費用が発生する部分まで全部やってしまう性分なんです。
それでは山内さんが損してしまうのでは?
最近ようやく控えるようにし始めました(笑)。とはいえ、こうして地道に種をまきながら信頼関係を築いたことで、周囲の方々が自分のことを推してくれる環境が生みだせたという自信にもつながっているので、結果オーライとしています。
数値分析の重要性を沖縄に普及しながら、次のビジネスにも挑戦
展望を教えてください。
沖縄のウェブ業界は、数値分析の重要性をあまり理解していない会社が多いと感じており、もっと周知させたい、活性化させたいという思いがあります。例えばウェブ解析士協会などに協力を仰いだり、イベント告知プラットフォームの「ドアキーパー」を活用したりしながら、著名な講師の方々を招き、沖縄でも最先端のITや経営に関する話が聞ける環境を作りたいと考えています。実は今、そのようなイベントを準備している真っ最中です。
それはとても意義のある取り組みですね。ほかにも今後挑戦したいことはありますか?
IT以外の分野にも興味があります。特に地域密着型の医療系の事業、訪問看護に興味を持っています。これは、医療機関のクライアントと関わる中で、看護師の方々の「患者さんが地域に根付くためにどう支援するか」という熱い思いに触れ、心を打たれたことがきっかけです。まだ調べている段階ですが、例えば訪問看護は、看護師が3人いれば開業できると聞いていて、経営者として何かできる可能性があるのではと考えています。ITの仕事はPCがあれば完結する部分もありますが、医療の現場では「人とのつながり」がすごく重要です。IT以外でも人とつながれる仕事に携われたら素敵だと思っています。
ITとは異なる分野ですが、人と関わることへの興味が根底にあるのですね。
はい。ITの仕事も、私の一番のモチベーションは、クライアントの笑顔を見たいから。医療業界は、オンライン診療が普及しても、結局は対面での医療が重要であり続けるはずです。医療が必要な人と接して、その人の笑顔のために働けるのであればうれしい限りです。まだアイデアベースですが、いつか実現したい夢ですね。
最後に、今後どのようなクリエイターと一緒に働いてみたいですか?
今はほぼ一人でやっていますが、いずれ人を雇うことも考えています。ただ、求めているのは「仕事をください」という人ではなく、「自分で動ける人」です。例えば、「この部分はこうした方がいいのでは?」と提案できる人。指示を待つのではなく、主体的に行動し、自分から情報をキャッチし、積極的に学ぶ姿勢を持ち、アイデアを出してくれる人が理想ですね。コーディングでもデザインでも、「新しい技術が出たので試してみてもいいですか?」というような提案をしてくれると、とてもうれしいです。ただ既存のやり方を踏襲するのではなく、プラスアルファを持って取り組める人と一緒に働きたいですね。
取材日:2025年2月13日
合同会社 Mdeza
- 代表者名:山内 真由美
- 設立年月:2024年4月
- 事業内容:WEB制作(デザイン、コーディング)、WEB集客、MEO対策
- 所在地:〒900-0016 沖縄県那覇市前島3-25-2 泊ポートビル1階
- URL:https://m-deza.co.jp/
- お問い合わせ先:yamauchi@m-deza.co.jp
この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。