
2025年9月、JR芦屋駅前のラポルテ本館1階に、ひとつの新しい“縁”が生まれた。
その名も「〇ギャラリー(エンギャラリー)」。〇には「円」と「縁」、そして“めぐる・つながる”という意味が込められている。
「アートに詳しくなくても大丈夫なんです」と話すのは、ギャラリーのオーナー・川口さん。
実は川口さん自身、アートの専門家ではない。それでもこの芦屋の地でギャラリーを始めようと決意した背景には、偶然とも思える“ご縁”の積み重ねがあった。

目次
ジェームズ・ディーンと芦屋の小さな奇跡
物語のきっかけは数年前。アメリカの俳優ジェームズ・ディーンの最後の90日を追った写真展を、芦屋にある「ギャラリーナベタモ」で開催したことにさかのぼる。思いがけず多くの来場者に恵まれ、アートの持つ力と、人を引きつける力を実感した。
そのナベタモが2025年6月に閉廊するという話を耳にし、「次は自分がこの場所をつなごう」と立ち上がったのが川口さんだった。
「アートが暮らしに溶け込む場を、今の芦屋に残したい」。そう思ったとき、専門知識よりも「人と人をつなぐこと」こそが大切だと感じたという。

毎月変わる展示、アーティストとの出会い
ギャラリーでは、週替わり・月替わりでさまざまなアーティストの作品展示を行う予定だ。ジャンルは平面、立体、写真、イラストなど幅広く、すでに2026年の年末までスケジュールは調整済み。中には、初個展をここで開くという若手アーティストも含まれている。
「作品を売るための場所」だけでなく、「誰かに見てもらえる機会を提供する場」として、ギャラリーとしての役割を果たしていきたいとのこと。
さらに、展示期間中には作家本人が在廊する日もあり、直接話を聞けるチャンスも。
「この色はどうやって出してるの?」「タイトルの意味は?」「どんな失敗があったの?」
そんな素朴な問いかけから始まる会話が、アートの敷居をぐっと下げてくれる。


入りやすい立地、気軽に立ち寄れる空間
〇ギャラリーが入るのは、JR芦屋駅から徒歩1分の「ラポルテ本館」1階。
カフェや雑貨店が並ぶ商業施設の一角にあり、ふらっと立ち寄れる雰囲気が魅力だ。
展示スペースはこぢんまりとしているが、壁の白さと光の入り方に工夫があり、作品が映える空間になっている。
展示を見たあと、近くのカフェで感想を語り合うのも良さそうだ。
アート鑑賞を“特別な予定”ではなく、週末のお散歩コースの一部にしてほしいという思いが込められている。

「円」がつながる、未来を照らす場所へ
「〇ギャラリー」は、アーティストと鑑賞者、地域と文化、人と人を、静かにつなぐ場所である。
「アートに詳しくないから…」と感じている人にこそ、ぜひ一度足を運んでほしい。展示を見終えた帰り道。心に何かが残っていたなら、それはもう「アートと出会った」ということだ。
「縁」という見えない糸を、誰かの手と手のあいだでたぐり寄せるように。〇ギャラリーは今日も静かに、訪れる人を待っている。
店舗情報(2025年9月現在)
施設名:〇ギャラリー(エンギャラリー)芦屋
住所:兵庫県芦屋市船戸町4-1-130-2 ラポルテ本館東通路側1階
アクセス:JR芦屋駅すぐ
公式サイト:https://en-gallery.jp/
入場料:無料
営業時間:展示により異なる(詳細は公式サイトまたはInstagramを確認)
今後の展示予定:10月以降も、月替わりで新進作家の展示を継続

