全長30メートル強の竜に雨乞いを。仁尾町の竜祭りに今年も参加してみた【香川県三豊市】

2 min 9 views

香川県三豊市仁尾町で毎年開催される「竜祭り」は、巨大な竜を担ぎ、街を練り歩く雨乞い祭りです。竜は全長約30メートルにも及び、その堂々たる姿は訪れる人々を魅了します。地元民だけでなく、県外からきた人も参加し楽しめるこのお祭りに私も参加してきました。

30m級の巨大な竜を担ぐ。県外からの交流も受け入れる多様な雨乞い祭り

竜祭りが開催される仁尾町は、人口約5000人の小さな町です。しかし、この祭りには普段の人通りの何十倍もの人々が集まり、町全体で祭りを盛り上げます。竜祭りでは小中高生を含む幅広い年齢層の方々が祭りに参加できる点が大きな特徴です。単なる子供向けの祭りとは異なり、30メートル級の巨大で立派な竜を扱いながらも、子供たちが積極的に参加できる機会が現存していることは、地域社会にとって価値ある側面です。さらに、県外からの参加者も当日参加が可能であり、交流が生まれていることも魅力の一つです。
竜の行進にあたり、沿道には、大人の胸ほどの高さがある業務用の大きなバケツが多数設置されており、参加者は水鉄砲や個人のバケツに水を汲み、竜と、竜を担ぐ人々に水をかけます。これは雨乞いの祈りの行為とされていて、県内外から訪れた人々が、竜を担ぐ側、水をかける側、それぞれの立場で祭りを心ゆくまで満喫します。ここ数年は祭りの開催から一週間以内に実際に雨が降ることが多く、「縁起の良い雨乞いの祭り」としても知られています。

全年代が楽しめる祭り。夜の本番に向け、日中から盛り上がる子供たち

私はこの祭りに3年連続で参加し、その熱気を肌で感じてきました。祭りの当日は、昼間から子供向けのイベントが開催されています。大きな滑り台や、泡の出る機械と音楽が用意され、子供たちは思い思いに楽しみます。夕方頃には出店が立ち並び始め、祭りの雰囲気は一層高まっていきます。

竜が実際に動き出すのは夜8時頃からと比較的遅い時間ですが、仁尾町の全長1.2kmにわたる運河沿いの通りを、竜が練り歩きます。竜は途中で持ち上げられたり、活車の上に下ろされたりしながら進みます。この際、雨乞いのための「アーマゴイジャーミズアブセ」という掛け声や、仁尾町の別の祭り「ちょうさ祭り」でも使われる「ヤートーマーテイ」や「イーヤーヨノナカミゴトニセイ」といった大きな掛け声が交わされます。

祭り自体が消滅の危機。価値ある祭りを後世へ

竜祭りの竜本体の完成度は非常に高く、その姿は参加者を圧倒します。しかし、この素晴らしい祭りを支える職人の数は減少傾向にあり、竜の鱗作りや顔の修復などを担当する専門の職人は非常に少ないのが現状です。これにより、祭りの継続性に対する懸念も生じています。

この祭りは、人口約5000人の小さな町が、世代や出身地を超えて人々を巻き込み、共に伝統を守り、未来へと向かう希望を象徴しているといえます。職人が減少しているからこそ、私は竜作りに関わり続けたいし、関わってくれる人を増やすために声をかけたり、この祭りの価値を毎年発信し続けていきたいと考えています。

木場晏門

木場晏門

神奈川県鎌倉市生まれ藤沢市育ち、香川県三豊市在住。コロナ禍に2年間アドレスホッピングした後、四国瀬戸内へ移住。webマーケティングを本業とする傍らで、トレーニングジムのオープン準備中。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です