香川県三豊市仁尾町で、伝統行事「ちょうさ祭り」が間もなく今年も開催されます。地元では「男祭り」と呼ばれ、地域にとって、秋の一大イベントです。100年近く地域の誇りとして受け継がれているこの祭り。参加する魅力を実際に2年連続で参加している私の体験をもとにお伝えします。

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江戸時代から続く祭礼文化
香川県西部に位置する三豊市仁尾町では、毎年10月第2週の金・土・日の3日間、「ちょうさ祭り」が行われます。豪華な刺繍幕や装飾が施された重さ2トンを超える太鼓台(ちょうさ)と呼ばれる巨大な山車を町民が担ぎ、地区内を3日間練り歩きます。
祭りの起源は江戸時代にさかのぼるとされ、京都の祇園祭に影響を受けた祭礼文化が瀬戸内地方に広がる中で発展したと伝えられています。
仁尾町民の健康と商売繁盛を祈願。大声響き渡る3日間
この祭りは、基本的には町民しか参加できない行事ですが、近年は二拠点居住や移住希望者との接点としても注目されています。私は2年前に三豊市に移住し、2年連続で参加してきました。
金曜日は町を練り歩き、「おはな」と呼ばれる、祭礼会費を集めます。平日のため、この日は若手が中心となり活躍しますが、土曜・日曜は、三豊に暮らす男たちが朝から太鼓台を担ぎながら町内全体を周り、神社や幼稚園など決まった拠点では、足を止め大きな掛け声と共にちょうさを担ぎ上げます。合間では、仲間と共に酒を交わし、そしてまた担いで。夜7時に太鼓台をしまうまで、祭りは続きます。

一年に一度の再開も。移住者と地元民つなぐ
ちょうさ祭りは、仕事も年齢も様々な地域の男たちが参加します。そのため、同じ街に住んでいても、1年に1回このちょうさ祭りでしか会わない人も多くいます。そんな1年に1回会えることを楽しみに、様々なバックグラウンドを持った人々が、同じ法被に腕を通し、太鼓台を担ぎ、酒を交わす。そんな楽しさもちょうさ祭りにはあります。改めて、移住者としてこの祭りに参加することが、地元の方々への「移住の挨拶」の意味合いにもなると感じています。
2トンのちょうさ、頭上へ舞う
終盤では、約2トンの太鼓台を肩で担ぎ、頭上に差し上げる瞬間があります。顔を真っ赤にして声を張り上げる大人たちの姿は、普段の生活では見られないものです。
ちょうさ祭りを通し、私は、地域の祭りは友情を深め、地域とのつながりを強くする場でもあると感じました。町民しか参加できませんが、今後、二拠点居住などの形で関わる人が増え、心の距離を縮めながらこの町を見てほしいと思うと同時に、私自身もこの祭りを通して、長い歳月をかけ、地元の方々との信頼関係を深めていきたいと、心から思います。
