「春一番」の語源は壱岐。江戸時代に漁民が恐れた強風【長崎県壱岐市】

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気象庁の発表によると2024年1月から3月は全国的に平均気温が平年より高いと予想されている。強い風が吹くと、春一番かと、冬の終わりを予感させる。実は、「春一番」の語源は長崎県の離島、壱岐島である。江戸時代に壱岐の漁夫が恐れた強風が「春一番」と呼ばれていたそうだ。

長崎県の離島に「春一番」の語源

長崎県の離島、壱岐島においても、2024年2月現在、真冬並みの寒さを感じる日は比較的少ない。気象庁の定義では、2月4日ごろの立春から3月21日ごろの春分までの間に、広い範囲で初めて吹く暖かく(やや)強い南風のことを「春一番」という。

実は「春一番」の語源は壱岐島にある。島の玄関口である郷ノ浦(ごうのうら)フェリーターミナルから歩いて、5分のところに「春一番の塔」と慰霊碑が建つ。

江戸時代に漁民を襲った「春一番」

地元の漁民たちは早春に吹く南の暴風を、その風が去ると春が来ることから、「春一番」、「春一」と名付け、恐れていた。1859年(安政6年)のある日、快晴で、絶好の出漁日和だった。小型の漁船が4、5人乗りで集まり、漁を始めた。しかし、南の水平線に黒雲が湧き上がるのを見つけ、漁船は急いで仕掛けたばかりの延縄(はえなわ)を切り捨てて、戻ろうとした。しかし、南風は急激に強まり、海は荒れ狂い始めた。大きな波が漁船を次々と襲った。船は海に飲み込まれ、漁民たちは命を落とした。

「春一番の海難記」より

春の訪れを感じ、自然の脅威を思い出す「春一番」

同市郷ノ浦町元居(もとい)公園内にある「春一番の塔」

その後、海と共生する壱岐の人々に自然の怖さを忘れないようにとの思いを込めて1987年、春一番の供養塔が建てられた。

春一番の言葉を聞くと、春の訪れを感じるが、自然の脅威を思い出してほしい。春一番を伝える天気ニュースでは、「急速に発達する低気圧の影響で、竜巻などの突風を伴うこともあり、注意が必要」と呼びかけられている。さて、2024年の春一番はそろそろだろうか?

写真は全て2022年2月筆者撮影

田口有香

田口有香

長崎県壱岐市

校閲記者兼コミュニティマネージャー

第4期ハツレポーター/ライター兼農家の嫁であり、3人の子どもの母。生まれ育った大阪から壱岐島に家族で移住。
壱岐島は長崎県の離島ですが、福岡から高速船で65分という抜群のアクセス!!海がきれいなのはもちろん、お魚もお肉も野菜も米も焼酎もそろっておりグルメも自慢できます。

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