
地域に伝わる民話を通じて会津の心を次世代へ伝えようと、第17回「全会津民話祭り~語りから学ぶ会津の心~」が9月、会津若松市文化センターで開催された。主催は「全会津語りの会」。地域で活動する語り部や個人会員が出演し、会津各地に残る昔話を披露した。
この日に披露されたのは、熊の肝(西会津町)、幽霊の仇(あだ)討ち(猪苗代町)、黄金の駒(磐梯町)などの郷土色豊かな演目。野生動物や歴史を題材にした物語から、人々の営みを映す笑い話まで多彩な内容が続き、子ども連れの家族から年配層まで幅広い世代が来場し、熱心に耳を傾けた。
語り部たちは、それぞれの個性を生かした表現で物語を紡いだ。しんみりとした声色や張りのある明るい語り口など、舞台上では多様な語りが展開された。物語の結びには「ざっとむかしさけました」「こんにひとつさげもうした」「いっちょうさげもした」といった会津ならではの語り納めの一節が響き、会場からは大きな拍手が送られた。
会津の民話には、土地の風土や人々の暮らし、先人たちの知恵が息づいている。語り部の声に耳を傾けるうちに、まるで昔の会津にタイムスリップしたような感覚に包まれた。民話は単なる昔話ではなく、地域の記憶であり、心のよりどころでもある。こうした祭りを通じて、語りの文化が次世代へと受け継がれていくことの意義は大きい




