
2月22日、壱岐市の壱岐空港で実業団陸上競技部による陸上教室が開催された。今回のイベントは、地域で行われる一般的なスポーツ教室とは決定的に異なる、特別な体験が魅力である。それは、普段は立ち入ることのできない「滑走路」を実際に走ることができるという点だ。子どもや地域住民の健康増進、スポーツ振興を目的としたこの取り組みでは、YKK(富山県)、富士山GX(山梨県)、中電工(広島県)の3つの実業団陸上競技部による陸上教室を体験することができる。地元の小学生から高校生までの子どもたち47人が参加した。筆者もこのユニークな内容に惹(ひ)かれ、陸上未経験ながら参加してみたところ、多くの学びを得ることができた。
地元出身選手も参加、トップアスリートによる直接指導
入場検査を受けた参加者たちは、普段は駐機場として使用されているスペースに集合し、学校低学年、高学年、中高生の3つのブロックに分かれて教室がスタートした。
壱岐市で長距離合宿を行っている実業団チームのトップアスリートたちから、直接指導を受けられる貴重な機会である。筆者は中高生ブロックに参加した。中電工陸上競技部には、青山学院大学陸上競技部に所属し箱根駅伝優勝メンバーの一員だった選手や、5000mを14分30秒を切る記録で走る選手も在籍している。そんな選手らの話に島内の中高生たちは真剣なまなざしで耳を傾けていた。
小学生ブロックでは鬼ごっこなどのレクリエーションを取り入れ、子どもたちが体を動かす楽しさを体感していた。笑い声が広がる和やかな雰囲気が印象的だった。一方、中高生ブロックでは、けが予防のための効果的なストレッチ方法や腕振り、上半身の使い方など、より専門的な指導が行われた。地元出身の選手の姿もあり、地域スポーツを盛り上げようとする思いが伝わってきた。
滑走路で超長距離リレーに挑戦
教室終了後、いよいよ滑走路でのランニング体験が始まった。参加者は学年を超えて3チームに分けられ、1人300mを2本、合計600mを走るリレーに挑戦する。陸上に関わりがないとなかなか聞き慣れない距離だが、50mを12回走る長さだと考えるとその距離が想像しやすいのではないだろうか。
海が見える全長1200mの滑走路は、見渡す限り一直線。小さな壱岐島にこれほど広大な施設があることに驚き、新たな壱岐の一面を知ったように感じた。
コースは滑走路を縦に二分割した折り返しのコースで、17区間に分かれている。半数の走者は向かい風の中を走ることになるが、その向かい風区間を見事に引き当てた筆者は第10走者として出走した。普段あまり走らないため不安もあったが、教室で学んだポイントを意識して挑戦した。実業団選手に伴走してもらい、なんとか300mを走り切ることができた。
壱岐の力強い海風を全身で受けながら走る感覚は格別だった。2分もかからずにあっという間に300mに到達したが、まっすぐに続く大きな道はいつまでも走り続けられそうな心地よさがあった。滑走路を駆け抜けるという非日常体験を通して、走る楽しさを覚えた筆者は、参加特典でもらったランニングポーチを手に、週1回のランニングを決意した。
教室後、子どもたちからのアンケートに答えた選手は「これからもスポーツを通じて地域を盛り上げたい」と語った。スポーツという分野から地域に貢献するという新たな視点に触れ、自分たちにできることを実践する選手たちの姿勢に深い感銘を受けた。
写真は2026年2月22日筆者の母撮影





