
美容業界では長らく、大規模な広告投資や著名人の起用がマーケティングの中心を担ってきました。しかし、それだけで本当に必要だと感じている人に必要なブランド・商品が届いているでしょうか?
株式会社アイスタイルは化粧品に関する消費者情報をデータベース化し、企業の各種マーケティング活動の支援を目的に1999年に設立しました。「ビッグデータ」という言葉すら存在しない時代から「データ」に着目し、25年以上にわたり、美容系総合サイト「@cosme(アットコスメ)」の企画・運営をしてきました。
蓄積してきた生活者の声と行動データを活用し、必要な人に必要なブランド・商品が届く仕組み、そして新たな市場づくりに挑んでいます。
アイスタイルの執行役員として業務に携わるかたわら、2025年にはアイスタイルデータコンサルティング株式会社を設立し、同社代表取締役社長を務める天野博之さんに、その挑戦の背景と未来像を伺いました。
目次
誰の体験に変化を与えている?生活者と直接向き合う事業へ
天野さんは大学卒業後、株式会社リクルートに入社し、営業、マーケティング、新規事業開発、事業戦略など幅広い業務を経験しました。フリーペーパー全盛期には、駅やコンビニなどの接点設計にも携わり、多くの事業成長に関わってきたといいます。
一方で、キャリアを重ねるなかで感じていたことがありました。
「事業は成長している。でも、その先にいる生活者が見えにくい」
マッチングビジネスは世の中に変化や価値を生み出しますが、自分たちの仕事が実際に誰の体験を変えているのかを感じられる機会は決して多くありませんでした。
そんなときに出会ったのがアイスタイルです。
「生活者中心の市場の創造」をビジョンに掲げ、メディア、店舗、ECを持ち、生活者と直接向き合う事業モデルに魅力を感じ、2019年に入社しました。
口コミサイトのその先へ。何を見て、何を迷い、何を選ぶか
アイスタイルと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは美容系総合サイト「@cosme(アットコスメ)」です。
当時、メディアの@cosmeは、多くのユーザーが口コミを閲覧するだけで離脱してしまう傾向にありました。しかし天野さんは、口コミを見るだけで終わるサービスにしたくなかったと語ります。@cosmeは、生活者が何と何を比較して迷い、どの商品を選んだのか。そして、その商品に対してどんな感想をもったのかが一気通貫で分析できるデータを持っているのが強みです。今後、ブランドにより包括的なマーケティングソリューションを提供していくうえでは、このようなデータが充実していることが重要でした。
そこで取り組んだのが、メディア・店舗・ECの3つを横断する体験設計です。
アプリの活用を進め、メディア・店舗・ECを連携させながら、生活者が「探す」「比較する」「購入する」をより自然につなげられる環境づくりを進めました。
その結果、「見るだけ」や「購入するだけ」のユーザーは減少し、「見て、比較して、購入する」ユーザーが増加していきます。そして、この変化が後のデータビジネスの基盤となりました。
データは答えではない。意思決定を支えるために存在する
こうして2025年に誕生したのがブランドのマーケティング活動を包括的に支援するアイスタイルデータコンサルティング株式会社です。「@cosme」の膨大なデータを活用し、化粧品・美容業界の企業の課題解決をしています。

天野さんは、自らをデータ分析会社だとは考えていません。
「データは意思を持って活用されて初めて意味が生まれると思っています」
どんな課題を解決するためにどんなデータがいるのか。なぜその課題を解決したいのか。データを通じて本当に見たいものは何なのか。
同社が提供しているのは、分析結果そのものではなく、クライアント企業の意思決定のための材料です。
データをもとにマーケティングを変え、ブランドと人が出会う

美容業界では長らく、莫大な広告費を投下できる企業が市場をけん引してきました。しかし、どれほど価値を持っている商品であっても、その仕組みに乗れなければ、必要としている生活者に届きません。
アイスタイルが持つデータは、そうした構造を変える可能性を秘めています。
実際に、企業が想定していたターゲットと、商品に興味を持ち、購入している層が異なるケースも少なくありません。データによってその事実が可視化されれば、新しい出会いが生まれます。
データをもとにマーケティングの手法を変えることで、企業は商品を必要としている層に情報を届け、生活者はすぐに必要な商品を見つけられる。
「ブランドと生活者の新しい出会いをつくりたい」と天野さんは話します。その積み重ねが、市場全体を豊かにしていくのです。
信頼を軸に、日本発の市場創造モデルを世界へ
生活者の声を大切にし、ブランドと生活者をつなぎ、新たな出会いを生み出す。現在、アイスタイルは東アジアを中心に、@cosmeの海外展開を進めています。
さらに、アイスタイルの挑戦は、生活者とコスメやブランドとの出会いを生み出すことにとどまりません。今後はインナーケアなど、幅広いビューティ市場へとフィールドを広げ、生活者が本当に求める価値が選ばれる市場へと、そのあり方をアップデートしようとしています。
印象に残った言葉
「データは意思を持って活用されて初めて意味が生まれると思っています」
「ブランドと生活者の新しい出会いをつくりたい」
聞き手:丸山夏名美 執筆者:田口有香
※写真は提供画像を除きすべて2026年5月25日丸山夏名美撮影
会社情報
会社名:株式会社アイスタイル
設立:1999年7月
本社所在地:東京都港区赤坂一丁目 12番 32号 アーク森ビル 34階
事業内容:美容系総合サイト「@cosme」の企画・運営、関連広告サービス、マーケティング・リサーチサービスの提供
URL:https://www.istyle.co.jp/
Who we are:MARKET DESIGN COMPANY
Vision:生活者中心の市場の創造
Mission:Beautyの世界をアップデートしながら、多くの人を幸せにしよう
会社名:アイスタイルデータコンサルティング株式会社
設立:2025年2月
事業内容:アイスタイルグループが運営する「@cosme」の膨大なデータを活用し、化粧品・美容業界の企業の課題解決を一気通貫で支援するデータコンサルティング事業及び、AI分析ツール、リサーチサービスの提供
URL:https://group.istyle.co.jp/is-dataconsulting/
Mission:生活者のデータから、beautyの可能性を顧客と広げていく






