
目次
お客様と地域全体への心遣いが人々を引き付ける。地元に根付いた老舗酒店のもうひとつの形態
「PUB」イギリス、アイルランドなど英語圏の国々において、古くからお酒をたしなみ人との交流を生むその国の社会における大切な文化であり、大都市からのどかな田舎町までその地域性や個々の店ごとに魅力に富んだパブが本当に数多く存在しています。ここ日本でもイングリッシュパブ、アイリッシュパブと呼ばれるお店がいくつもあります。
筆者が住む宮城県仙台市には日本酒の立ち飲み処の良さをあわせ持った他にはなかなかない個性的なアイリッシュパブがあります。それが今回取材をさせていただきました。「PUB THE SWAN」(パブ ザ スワン)です。
仙台市の繫華街、一番町にて酒とたばこの販売をされている菅原酒店。創業は1895年。「杜の都」仙台市と共に歴史を紡ぎ、市民の方々に宮城県の地酒をはじめとするいろいろなお酒を提供されてきました。その菅原酒店が手がけるアイリッシュパブがPUB THE SWANなのです。
繁華街に訪れる人を笑顔にしてくれる。安らぎをもらえる。憩いの場として多くの人々に愛されるアイリッシュパブ。その魅力とスタッフの方々の思いに迫ります。
多くのお客様に酒のおいしさを伝えたい。スタンディング日本酒バーをオープン
今回の取材では店長を務められています菅原 伸友(すがわら のぶとも)さんにお話しを聞かせていただきました。PUB THE SWANを運営されている株式会社菅原酒店は1895年に創業。長い歴史を持つ酒屋さんです。宮城県内の日本酒をはじめいろいろなお酒を幅広く扱い、販売や配達をしておられます。
たばこもあつかっており、紙やパイプ、キセル、葉巻などこちらも色々なたばこを販売されています。
また宝くじ売り場も設けており温かい声をかけてくださる販売に心がほっこりしました。
そんな菅原酒店は従来の酒とたばこの販売、配達と並行して2011年1月に店内にバーカウンターを設け、日本酒中心のスタンディングバーの営業をはじめました。そこに至ったのはお酒の消費量が時代と共に低下している背景がありました。そこでより多くのお客様にお酒を提供したいと思い、スタンディングバーをはじめられました。
自身が感動したギネスビールを提供し、、環境への配慮を兼ね備えた個性あふれるアイリッシュパブへとリニューアル
日本酒のスタンディングバーのオープンから10周年を迎えた2021年5月29日に、アイリッシュパブ「PUB THE SWAN」へとリニューアルオープンしました。リニューアルのきっかけは、現在お店で提供されているギネスビールにありました。他のお店でギネスビールを飲んだ時にその味に感動し、「いつか自分たちも提供したい」というスタッフみんなの思いから、研鑽(けんさん)を積みPUB THE SWANはオープンしました。
そして注目すべきもうひとつの点が、たばこの煙に対する更なる対策です。前身の日本酒スタンディングバーのときから店内にはたばこの煙対策の設備が設けられており、喫煙者の方も非喫煙者の方も利用しやすい環境が整えられていましたが、現在のPUB THE SWANでは店舗面積に対して規定を上回る機能の設備を導入することで「喫煙者の方も非喫煙者の方も楽しい飲食をしてほしい」という店主の想いからの設備投資をしています。
「近隣に喫煙できる場所が少ないことから多くの人に利用していただくことで、公共空間での受動喫煙や歩行喫煙の防止、たばこのポイ捨て問題の解決につなげたい」
菅原さんが話す言葉からは、自分たちの住む地域のことまで考えられた取り組みがみられました。
こだわりのギネスビールはいやしのひとときへと誘う一杯
ここでお店で提供しているギネスビールについて少し触れたいと思います。ギネスビールは18世紀にアイルランドで生まれた世界的に有名な黒ビールです。その深い味わいと香りは多くの人々に愛されてきました。
PUB THE SWANはギネスビールを提供するお店の中でも特に美味しいギネスビールをいただけるお店としてPERFECT PINT PROGRAM(パーフェクト・パイント・プログラム)認定を受けている。いわばお墨付きです。泡の高さ、滑らかさ、ビールの温度など一定の基準をクリアした上質なギネスビールをいただけます。

きめ細かく滑らかな泡、香ばしい香り。おだやかで澄んだ苦み、複雑で豊かな味。作り手の皆さんとそれを提供するお店のスタッフの皆さんの技術が生み出す一杯でした。
お店の原点とも言える日本酒も変わらず素晴らしい味わい
リニューアル後もそれまでの日本酒スタンディングバーとしての良さも踏襲されており、おいしい日本酒もいただけます。甘口の日本酒を中心に提供されておられるとのことです。

お店に伺ったさいにいただきましたこちらの日本酒は、宮城県加美町の中勇酒造店の天上夢幻(てんじょうむげん)の特別純米酒です。豊かな旨味と清らかな香りに、柔かな飲み口。素晴らしい味わいです。
料理にもこだわりがたっぷり
お酒と共にいただく料理にも力を入れておられます。スタッフの皆さんの心が込められた料理。筆者はアイリッシュパブで味わうのなら、アイルランドやイギリスでの定番と言えるものがいいと思い、フィッシュアンドチップスを注文しました。

ふんわりと揚げられたホクホクの白身魚に卵の旨味を感じるタルタルソース。この組み合わせは、ビールにも日本酒にもあいます。カラリと揚がったフライドポテトにケチャップ。馴染深い味です。白身魚には途中、少々のお酢を振りかけるとまた少し違う味を楽しめます。
お酒を飲まれない方も楽しめるのが嬉しい。
お酒以外の飲み物も充実しており、じっくりと時間をかけて抽出した水出しコーヒーなどの飲み物や元パティシエのスタッフの方が作られるケーキなどの本格スイーツ、塩とスパイスをほどよく利かせたクッキーなどもとてもおいしいと大好評です。(時期によってはスイーツ類は提供していない時もあります。)
お酒をたしなまれる人もそうでない人も訪れやすいのは、大きな魅力です。
日本とアイルランドの文化がつながる場所を提供したい。
今回の取材では主にお話しを聞かせていただきました店長の菅原さんをはじめ、スタッフのみなさんはとても親切で気さくに色々なお話をしてくださりました。

こちらのお店によく訪れる人はもちろん、初めて来た人も気持ちが温かくなる。なにか活力がわいてくるような、そんな人情がお店全体にあふれています。まさにいこいの場であり、そこで得られるいやしは日本もアイルランドも同じではないでしょうか。
菅原さんにこれからの目標のひとつを伺うと、「PUB THE SWANを日本とアイルランドの文化がつながる場所として提供していきたい」とおっしゃいました。PUB THE SWANで、温かい人情とともに両国のよき文化を感じてみてください。
写真はすべて筆者が2026年9月11日に撮影
ギネスビールの写真はPUB THE SWANより頂戴したもの。
※ギネスビールの写真を差し替えました。2026年10月2日 ローカリティ!編集部
情報
PUB THE SWAN
〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町4丁目3−1
HP:https://pubtheswan.base.shop
インスタグラム:https://www.instagram.com/pubtheswan





