東京都心から1時間ほど。海外からの観光客にも大人気の高尾山は、豊かな自然に恵まれ、「世界一登山客が多い山」とも言われています。
しかし、この「高尾(たかお)山」が、まさに「蛸(たこー)山」であることを知る人はあまりいません。多くの人は「誰もが登れる」「『天狗』の山」だと思っているのではないでしょうか。
実はこの高尾山、世界でも非常に珍しい「蛸」を崇める(あがめる)山なのです。今回は、高尾山の「蛸」を崇めるスポットとその伝説をご紹介します。
目次
天狗が神への道を作る時に、大樹に生えた「タコ足」
高尾山には、厄除け、開運、良縁成就、金運向上、商売繁盛など多岐にわたるご利益があるとされる修験道の聖地「高尾山薬王院(やくおういん)」があります。当時より、多くの人々がこのご利益を享受したいと登山をしていましたが、高尾山は急勾配の山(※1)であり、道が整備されていない時代は、登ることがとても困難だったとか……。
※麓に近い登山道は急勾配であるためケーブルカーがひかれましたが、日本一急勾配のケーブルカーとなっています。(2023年7月現在)
そこで、多くの人がお参りをしやすいようにと「天狗」が集まって参道工事をした時、どうしても邪魔な大きな杉がありました。この杉を切り倒すしかないとなった翌日、杉がタコのように足をからめながら、道を開けたという伝説があるのです。(諸説あり)
タコ杉、タコ供養碑、タコ御守り。蛸を崇める本気度が伝わる?
「たこ杉」は見た目だけでなく、樹齢も若くはなく、推定樹齢450年、樹高37m、目通り約6mとインパクトのある存在です。
その杉が「道を開く=開運」の象徴として設置されたのが、タコの像です。大きく「開運」と書かれており、触るとご利益があるそうです。
一時期は「置くとパス(蛸=オクトパス)」という触れるモニュメントもあったそうですが、今はなくなってしまったそうなので、関心がある方は調べてみてください。
高尾山を登りながら、神聖さとユーモラスさを味わう
高尾山は、このように「蛸」という視点で見ると、今までと異なる楽しさを味わえるのではないでしょうか。神聖さなのか、ユーモラスさなのか。感じるのは個々人次第ですが、ぜひ高尾山に登る機会があったら、思い出してみてください。