「 継続的なコミュニティの要素って?」印刷工場をリノベしコミュニティスペースを運営する広告会社社長に聞いてみた!【徳島県美馬市】

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徳島県美馬市(みまし)で1960年に創業した広告会社の三代目社長を務める中川和也(なかがわ・かずや)さん。使われなくなった印刷工場をホステル・コワーキングスペースなどが入る複合施設「ADLIV」(アドリブ)にリノベーションし、人と人が繋がるハブの場として運営している。2階建の大きな倉庫の中には昔活版印刷に使われていた道具が展示されていたり、ハンモックやこたつの部屋があったりと、大人でも一歩踏み入れるとワクワクする空間になっている。

中川さんが目指す場作りについて話を聞いたところ、継続的なコミュニティ運営のための「2つの要素」が見えてきた。

内装写真

なぜ? 広告会社がホステルやコワーキングスペースの運営を始めたきっかけ

まず気になるのは、広告会社がホステルやコワーキングスペースの運営を始めたきっかけだろう。聞くと、お祖父さまが印刷会社として1960年に創業された頃からの印刷工場がしばらく倉庫として眠っており、「ずっと何かに活用できないか考えていた」という中川さん。2017年頃、知り合いから「コリビング」という概念を教えてもらったという。コリビングとは2010年代後半に欧米から派生したもので、居住空間と働く場所を共有する、というような概念らしい。

「印刷業や広告業って情報をインプットしてアウトプットしていく業態なので、そこをコミュニティスペースみたいな形にできないのかな」という気持ちから、複合施設「ADLIV」の構想が始まったそうだ。

2010年代に始まったサテライトオフィスの誘致をきっかけに、美馬市にも少しずつ移住者が増えていた中で、「地元事業者側として、移住者が来たらちょっと何か紹介してあげられるとか、そういうハブになったらいいかな」という思いもあったという。

「広告」と「住む」の融合「ADLIV」(アドリブ)という名前に込めた思い

スペースの名前に対しても中川さんなりのこだわりと期待が込められている。広告業(アドバタイズメント)の「アド」は、どこかに入れようと決めていたそう。「アド」につながる言葉を探していたところ、アドに住む、という意味で”リブ”が良いんじゃないかと思いついた。2つの言葉をつなげた「アドリブ」という言葉も一般化されていて、いろんなことができる場所という意味合いも込めて「ADLIV」と名付けたという。

ちなみにADLIVのロゴもオシャレだ。

ロゴ写真

「地元に住んでいる人を主役に」オープンから4年半で少しずつ変化してきた思い

2018年に「ADLIV」がオープンし、現在までさまざまなイベントを開催し国内外から多くのゲストを受け入れてきた中川さん。「今までは外から来る人を受け入れる形だったけど、これからは地域内関係人口というか、地域の中の人と一緒に何かできることがないのか」と、地域の人との活動を模索し始めた。この4年半で少しずつ心境の変化があったようだ。

1日や2日の単発イベントであれば、外から来てくれた人だけでも成り立つが、結局数日後には帰ってしまう。そんな一時的なイベントよりは、地元の人が主役になるコンテンツの方が、継続的に色々できると考えるようになった。

そんな思いで2020年から実施している、スキルシェアで繋がる持続可能なコミュニティ「アドリブ大學」では、今後地元の人がスキルアップしたいテーマを積極的に盛り込み、地元サイドが盛り上がってくれるようなコンテンツにしていきたいという。

中川さんは、「外から来る人が美馬っていう地域に来てくれて、その魅力が地元の人の魅力に落とし込まれるのが一番自然かな」と、期待を込めて語ってくれた。

「個人と個人がつながってそのスキルとスキルが交わる」継続的なコミュニティ

「なんとなくBBQやってワーって盛り上がって良かったっていうよりは、地域の仕事を一緒にできる環境づくりができた方が継続性がある」

継続的なコミュニティの要素として、「地元の人が主役になる」ことのほかにもう一つ中川さんが挙げるのは、個人と個人がスキルでつながることだ。せっかく外から美馬に来てくれるのであれば、その人のスキルを地域と掛け合わせることができればそこに新しい価値の創造ができ、それが何かの仕事につながれば、継続的な関係性になる。中川さんは「やってて楽しい仕事って、ローカルでもあるはずなんで」と自信を持って語る一方で、「まだまだこれからやらないかんことは多いな」と笑顔を見せてくれた。

アドリブ大學写真

今回お話を聞いた際、中川さんは、実際はここには書ききれないほどの夢や、やりたいことを語ってくれた。「僕の構想は壮大なんよ」と笑いながら話す姿は、筆者にとってとても印象的だったし、これまでも常に”自分のやりたいこと”を軸にさまざまなことに挑戦してきた背景を聞くと、「壮大な夢だけど、なんかこの人なら叶えちゃうんじゃないか」と、自然に思わされるような、そんな方だと感じられた。

(西岡明美さんの投稿)

ローカリティ!編集部

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