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山形県東置賜(ひがしおきたま)地方高畠町の真ん中にある安久津八幡(あくつはちまん)神社は、貞観2年(860年)を始まりとする古く歴史ある場所。一番先に目に入ってくる三重塔から舞楽殿、茅葺き(かやぶき)屋根が特徴の拝殿・本殿と続く。また、春や秋には国家安念、五穀豊饒、長寿などを祈願する祭りが行われる。
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筆者である私が幼少期のときからなじみがあり、静かで心が洗われるようなこの場所に興味を持ち、宮司の一戸芳樹(いちのへ・よしき)さんに取材した。
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安久津八幡神社は平安時代、三重塔は室町時代末期に建立されたという長い歴史を持つ神社だが、廃絶や火災があった過去を持っている。それでも今も受け継ぐことができているのは当時の地域の人々によるたくさんの支えがあったからこそだという。再建によって昔の雰囲気が壊されることもなく、また建物自体の飾り気もないため周りの木々とうまく調和していて自然いっぱいなところが魅力的。
「観光資源として取り上げられるようになったのは昭和60年代。今でも一日に15〜20人くらいの人が来る」と、一戸さん。その頃建物を保存しようと考えたとのこと。
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この神社は、県指定重要文化財として県からお墨付きがあり、長年受け継がれてきたもの。なので「壊したりなくしてしまったりしないよう、守ることを大切にしている」だそうだ。
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一戸さんの話によると、「観光としての参拝客は増えている一方、祭りで舞ってくれる子どもだったり、茅葺き屋根のまま引き継ぐにあたって必要な茅や茅職人を探すのが大変」なのだそう。この先も神社を受け継ぐために、課題の解決にむけて活動していくとのことだ。
情報
安久津八幡神社
住所:〒992-0302 山形県東置賜郡高畠町安久津2011
電話番号:0238-52-5990
三浦歩綾さんの投稿