BEAMS JAPANが届ける「常磐もの」の魅力~震災乗り越えた福島の海の幸!【新宿区・福島県】

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福島県の魅力を全国に発信するタイアッププロジェクト「ふくしまものまっぷ」が、2025年3月13日(木)~4月9日(水)まで都内で開催されている。2018年にスタートした本プロジェクトはBEAMS JAPANと福島県が連携し、県内の魅力を多角的に伝えてきた。7年目を迎えたこのプロジェクトを通じて、フクシマの「モノ・コト・ヒト」が県外でどう発信されているのかその一例を紹介したい。

人気アートディレクター寄藤文平(よりふじ・ぶんぺい)氏によるオリジナル赤べこ

福島の「今」を伝える——「ふくしまものまっぷ」の歩み

会場は東京メトロ新宿三丁目駅から徒歩1分のBEAMS JAPAN。周辺はレコードショップや飲食店が立ち並ぶエリアで、Z世代の若者だけでなく海外からの観光客の姿も目立つ。あいにくの雨模様だった取材当日も、店内には多くの客が訪れ、にぎわいを見せていた。

道路に面したウィンドーには赤ベコ=2025年3月16日、BEAMS JAPAN、筆者撮影

第50弾「ふくしまの海」——潮目の海が生み出す食文化

東日本大震災以降、福島の県産品に対する風評被害は少しずつ改善してきてはいるものの、まだ購入をためらう人が5%ほどおり、依然として他の産地にはないハンディを背負っているのが現状だ。そこで、プロジェクト「ふくしまものまっぷ」では、単に良質な福島県産品を紹介するだけではなく、その背景にある文化や作り手の思いを伝えることを重視。BEAMS JAPANのバイヤーが現地に足を運び、直接話を聞きながら商品を選定することで、伝統と現代を融合させた新たなスタイルを提案してきたという。記念すべき第50弾となる今回は、その軌跡を振り返るとともに「ふくしまの海」にフォーカスした商品が並ぶ。

金曜日の煮凝り3種(左)、上乾しらす(中央下)、乾燥あおさ(中央奥)、かけるあおさ(右)

福島県沖は、黒潮と親潮が交わる“潮目の海”として知られ、豊富な海産物に恵まれている。会場では、浪江町産の乾燥シラス、相馬松川浦産のあおさ、さらにはいわき市の老舗「おのざき」によるアンコウやヒラメを使用した「金曜日の煮凝り」など、多彩な海産物が並ぶ。

これらの品々は、ただおいしいだけでなく、震災からの復興とともに培われた技術や文化が詰まっている。震災を乗り越え、未来へとつながる福島の食文化が、こうした取り組みを通じて広く知られていく意義は大きい。

「当たり前」が「魅力」に変わる瞬間

 福島県民にとっては日常の一部である伝統や食文化も、外部の視点を通すことで新たな価値が生まれる。BEAMS JAPANのコンセプトとも共鳴するのが、「視点が変われば、当たり前が魅力に変わる」という考え方だ。震災以降、新たな挑戦を続ける事業者や地域の人々の努力が、こうしたプロジェクトを通じて広く共有されていくことは、福島の未来にとっても重要な意味を持つ。

寄藤文平さんが描き下ろした「ふくしまものまっぷ Vol. 50」の表紙

これからも続く福島の「今」の発信

お店の出入り口近くに設置されたコーナーでは、商品を手に取る客が多く見られた

50弾を記念した今回の総集編では、2018年の第1弾からの軌跡を振り返るデジタルブック版ウェブサイトも開設された。これにより、これまでの取り組みを一覧できるだけでなく、より多くの人々が福島の魅力に触れる機会が増えることが期待される。

「ふくしまものまっぷ」は、単なるプロジェクトではなく、福島の「今」を伝え続けるプロジェクトとして、これからも全国、そして世界へと発信を続けていくだろう。

参考:令和5年度福島県産農産物等流通実態調査報告書(農林水産省)、福島県の風評払拭・風化防止に向けて(福島県)

情報

ふくしまものまっぷ特設サイト https://fukushima-monomap.jp/

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昆愛

昆愛

埼玉県川越市出身。前住地は山形県鶴岡市。会社員のかたわら、地域資源の掘り起こしとその魅力発信活動に取り組む。2023年、「誰もいなくなった町。でも、ここはふるさと~原子力発電所と共存するコミュニティで“記憶”と“記録”について考える【福島県双葉郡富岡町】」で本サイトのベスト・ジャーナリズム賞を2年連続受賞、また2024年、天文活動の報告・交流等を目的としたシンポジウムでの発表「天文文化史で地元の魅力発信?九曜紋が導く新たな誘客構想とは【福島県南相馬市】」で渡部潤一奨励賞を2年連続受賞。

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