沖縄県は2023年度、たくさんの「お宝=魅力」をもつ離島各所の事業者さんたちが、SNSなどの『デジタルツール』を利用してさらに魅力的な発信をしていけるように「沖縄県主催🌺価値を伝えて売りまくるためのデジバズ講座」という取り組みを行っています。
この記事は、参加された事業者さんを対象に、「ローカリティ!」のレポーターがその輝く魅力を取材し執筆したものです。沖縄離島の魅力をご堪能ください。
株式会社ロート・F・沖縄は、ロート製薬の子会社で久米島を中心に健康を軸とした事業を行う会社です。ロート・F・沖縄では、海洋深層水という久米島の地域資源を活用し、農作物の生産、そして微細藻類(びさいそうるい)の栽培と微細藻類を活用した製品の製造等を行っています。
今回は代表取締役である中原剣(なかはら・けん)さんに海洋深層水を使った農業や微細藻類の生産という新時代の農業にチャレンジする思いや背景について伺いました。
目次
久米島の地域資源「海洋深層水」を活かした新時代の農業
海洋深層水とは、水深200メートルより深いところにあり、水温が一定で冷たく表層の海水と比べると生命活動に欠かすことができない無機栄養塩が多く含まれていることが特徴の海水です。その海洋深層水を日本一汲み上げているのが久米島だそうで、久米島の地域資源とされています。
「海洋深層水の活用の仕方は色々ありますが、当社では農業への活用と微細藻類といわれる植物プランクトンの栽培で活用しています」と中原さんは話します。
ロート・F・沖縄では、2016年より海洋深層水を活用した農業実証を行っています。
「海洋深層水は水温が一定で年間を通して8度ぐらいの水温です。海洋深層水を通した配管を土の中に埋め込んで置くと土が冷え、夏場でも葉物野菜を育てることができるんです」
中原さんが話すように海洋深層水を活用することによって、時期に関わらず安定して野菜の生産を行うことができます。このように久米島の地域資源である海洋深層水を農業へ活用することへのメリットを実証しています。
微細藻類の可能性「青いクラフトビール!?」
「微細藻類はいわゆる植物プランクトンで30万種いるといわれていて、陸上植物と同じくらい資源性を持っていると言われています」
中原さんがそう話すように微細藻類は資源性を持った生き物ですが、ミジンコなどの敵(動物性プランクトン)に食べられて大量に育てることが難しかったといいます。しかし、テクノロジーの発展によってガラスチューブの中で培養でき、敵に襲われることなく大量に生産ができるようになりました。
「微細藻類の活用の仕方は様々で、食品はもちろんのこと化粧品原料や水産飼料、農業資材などとしての活用ができるので、その部分において製品化を進めているところです」
ロート・F・沖縄では微細藻類の製品化の第一弾として、色素を使った商品開発に力を入れています。微細藻類は様々な色を持っており、分離することでそれぞれの色をとることができます。中でも青色は自然界からはなかなかとることができませんが、微細藻類からは鮮やかな青色の色素がとれるため、食品等に入れて製品化を進めています。
中原さんに微細藻類の色素を使ったイチオシの商品を伺うと「青いクラフトビールですね!久米島の綺麗な青い海を微細藻類の色素を使って、クラフトビールで表現をしました。青というのはとてもインパクトのある色なので、皆さんビックリします」と笑顔で話します。
「小さくても社会のモデルケースにしていきたい」
中原さんに今後の事業展望について伺うと「微細藻類の農園を作りたい」と話します。微細藻類の畑をみながら、微細藻類の製品を飲んだり食べたりできるような施設をイメージしているとのこと。
「こういった取り組みを発信し、集客をして多くの方に微細藻類や冷熱性を利用した新しい農業について知ってもらいたいと思ってます。それが、一つのモデルとして地域そして世界に広がっていけばいいなと思っています」
中原さんは久米島の海洋深層水を使った農業や微細藻類の生産はあくまでも一つの持続可能な地域創生のモデルケースだと話します。「持続可能な地域資源を活用した事業が小さなかたちでも様々なところで広がっていってほしい」と語ってくれました。
ロート・F・沖縄は、カフェ「くめじまーるcafe」も運営しており、そこで微細藻類を使った製品や深層水を使ってできた野菜等も買うことができます。久米島へお立ち寄りの際は「くめじまーる」に足を運んでみてはいかがでしょうか。