2万人が熱狂! LEDが回るド派手な奇祭「いわき回転やぐら」が夏のいわきを彩る【福島県いわき市】

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1万球のLEDランプがまぶしい回転やぐら(撮影日:2024年8月14日、筆者撮影)

福島県いわき市内郷(うちごう)地区で開催される「いわき回転やぐら盆踊り大会」は、国内でも珍しい光るやぐらが回る派手な祭りとして、地域住民のみならず、県内外のお祭りファンにも広く知られている。ここでは今年の様子と、この祭りが地域で長年行われてきた意味について紹介したい。

回転やぐらの周りをさらに踊り手が囲む(撮影日:2024年8月14日、筆者撮影)

今年の「いわき回転やぐら盆踊り大会」は、8月13日から15日の3日間、JR常磐線内郷駅前で盛大に開催された。高さ13メートル、県内唯一の国宝建築物・白水阿弥陀堂を模した見事な回転やぐらを囲み、会場は熱気に包まれた。夜空に輝くきらびやかな1万球のLED電飾と、力強い太鼓のリズム・歌声が響き渡る中、3日間で2万人以上(関係者談)老若男女が一体となって盆踊りを楽しんだ。

いわき回転やぐら盆踊り大会の歴史は、昭和27年(1952年)にさかのぼる。常磐炭鉱の事故で亡くなった人々の慰霊を目的に始まったこの祭りは、以来、地域住民の心の支えとなってきた。炭鉱の衰退とともに一度は中断された時期もあったが、地域住民の熱意によって復活し、昭和34年にはやぐらが従来の人力で回す方式からモーター駆動の電動式に進化、現在に至る。回転やぐらは、単なる建造物ではなく、地域住民の思いが込められた象徴であり、炭鉱の記憶を継承する大切な役割を担っている。

現在も残る炭鉱設備の一部と専用鉄道を転用した市道(撮影日:2018年1月、写真提供:いわき市)

近年、いわき回転やぐら盆踊り大会では、地域住民だけではなく、県内外からの観光客の姿も見かけるようになった。きらびやかな回転やぐらと、熱気に満ちた会場は、いわき市を代表する夏の風物詩のひとつとして、多くの人々の心を捉えている。また、この祭りは、地域経済の活性化にも貢献している。地元の飲食店や商店は、この期間、多くの客で賑わい、地域全体が活気あふれる雰囲気に包まれる。

昼間の回転やぐらまつり(撮影日:2022年8月、写真提供:いわき市)

いわき回転やぐら盆踊り大会は、単なる娯楽の場にとどまらず、地域の歴史と文化を後世に伝えていくための重要な役割を担っている。近年では、SNSを活用した情報発信や、地域の小学校での盆踊りの指導など、若い世代の参加を促すための取り組みを実施。伝統を守りながら、新しい試みも積極的に行われている。

にぎわう屋台(撮影日:2024年8月14日、筆者撮影)

この祭りは、地域住民の熱意と、長い歴史が育んだ貴重な文化遺産。祭りは来年70回目を数える予定だ。今後も、この素晴らしい伝統が途絶えることなく、多くの人々に愛され続けることを願う。単なる盆踊り大会を超えて、地域全体の活性化に貢献し、未来へとつながる希望を与えてくれる。

昆愛

昆愛

福島県郡山市

第4期ハツレポーター

埼玉県川越市出身。前住地は山形県鶴岡市。会社員のかたわら、地域資源の掘り起こしとその魅力発信活動に取り組む。2023年、「誰もいなくなった町。でも、ここはふるさと~原子力発電所と共存するコミュニティで“記憶”と“記録”について考える【福島県双葉郡富岡町】」で本サイトのベスト・ジャーナリズム賞を2年連続受賞、また2024年、天文活動の報告・交流等を目的としたシンポジウムでの発表「天文文化史で地元の魅力発信?九曜紋が導く新たな誘客構想とは【福島県南相馬市】」で渡部潤一奨励賞を2年連続受賞。

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