1年先まで予約が埋まる工務店、そのワケは。「とことん感動させ続けたい」代表の家造りのイロハ【新潟県新潟市】

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株式会社究工務店

Isao Hashizume
橋爪 勲氏

大工から建築業界入りした新潟の株式会社究(きわむ)工務店の代表・橋爪 勲(はしづめ いさお)さん。「今もずっと暗いトンネルの中だよ」と笑いながら話を聞かせてくださった橋爪さんの信条は「家造りはお客さまを感動させてナンボ」。徹底的に人に寄り添う家造りの根底にある思いや今後の目標など、橋爪さんの人柄が伝わるお話を伺いました。

独立後も続いた真っ暗なトンネル!?5年間大工を経験

立ち上げまでの経緯を教えてください。

私は高校を卒業してすぐに大工になりました。もともと大工になりたかったというわけではなくて、とにかく働かないと、と考えて、親のつてを辿ってなったのが大工という感じでしたね。

初めての職人の世界、苦労も多かったのではないですか?

大変でしたね。こんなところにいたら体が持たない。早く仕事を覚えて、一刻も早く独立してやる!そんな気持ちでいっぱいでした。毎日逃げ出したい気持ちをぐっと抑えながら、5年間耐え忍びながら仕事を覚えました。

5年は非常に長くも感じますが?

大工の世界は5年周期で節目がやってくるんですよ。それにあまりにも早く独立したのでは取引先の印象だって異なってくると思うんです。信用していただくためにも頑張っている姿を見てもらって「この男なら付いていこう」と思っていただきたかったという気持ちもありました。

独立後は順調に仕事をされ、今の会社形態になったのですか?

いろいろと大変でしたね。月末、仕事の依頼先の工務店へ集金に行ったら、会社はもぬけの殻。騙されたことも多々ありました。当時は、橋爪建築という名前で、何人かの大工とともに仕事をしていました。どうにか売上を出すために、と単価の安い仕事を受けては失敗、そんなことを繰り返していましたね。
8年前の2016年に今の会社形態となり、当時はあまりにもお金がなさすぎて、今後仕事を伸ばしていくには会社を大きくして、勝負に出ないとだめだと考えたんです。起業し、歩き出したのはよかったのですが、仕事がなくずっと真っ暗なトンネルの中を歩いている感じ。普通なら、途中でパッと明るい光が指してきそうなものだけど、その気配はまったくなくて……。どうやったら仕事を取れるんだろうと日々考えていました。

独立当時は「形振り構わず」な声かけで必死に営業。

営業活動はどのようにされていたのですか?

会う人、会う人に「家、建てさせてくれませんか?」「リフォームしませんか?」って言って回る。人を雇う金もないから、とにかく形振り構わず、必死に声をかけていましたね。

現在の事業内容を教えてください。

新築とリフォームがベースで、5年ほど前からは在庫物件を貸し出す、不動産賃貸も始めました。

1年先まで予約が埋まる要因は?“感動させる”家造りを心がけ

御社の強みはどこだと思いますか?

強み……、私の存在ですかね(笑)。無意識のうちに私の性格や波長の合う人を引き寄せている気がします。うちの会社、営業はいないんですが、ありがたいことに2025年の12月まで受注がすべて埋まっている状態。現在は順番を待っていただいているんです。

ただ家を建てることを目的にしているのではなくて、こちらの工務店で家を建てたいと考えている人が数多くいらっしゃるんですね。

ありがたいですね。家を建てたいと、うちの会社にお客さまがいらっしゃるじゃないですか。それで5分程度軽くお話をして、「うちに合わないかも」と私が感じたら、お客さまに合いそうな他社を紹介して「そちらのほうがよりお客さまに最適なご提案ができるかもしれません」とはっきり言うようにしています。家に対する価値観や考え方などの足並みが合わないと家造りはうまくいきません。

これまでお客さまにそう話されたケースも多々ありましたか?

もちろん、ありました。「本当にうちでいいんですか?」って何度も聞いて、「一度帰って再考してみてください」なんて言うこともあります。それでも「やはり橋爪のところがいい」と言ってもらえたら、図面を引く。私にとってはここからが真剣勝負。採算なんてどうでもいい。とにかく、選んでいただいた方々が満足してくれるためにできる限りの工夫や内容を、造る家に込めるんです。家造りは、お客さまを感動させてナンボですよ。

顧客の銀行の融資に同行も!?「徹底的に寄り添うのがうちのスタイル」

1年に何棟ほど建てられるのですか?

32、33の住宅と15ほどのアパート。これを1人で担当しています。打ち合わせして、銀行に同行して、現場に行って……。毎日飛び回らせてもらっています。

先ほど「感動させてナンボ」とお話されていましたが、その考え方は昔からですか?

昔からですね。うちのお客さまの多くは20〜30代で、金銭的な問題で家造りを諦めなくてはいけない年代だったりします。でも、諦めてほしくないんですよね。だから、全体的な金額をできるだけ最低限のところまで切り詰めて、家が建った後、無理なく払っていける融資額まで計算して、銀行の融資に同行する。たまに自分でも「人助けだな」と思うことがあるくらい、徹底的に寄り添うのがうちのスタイルです。

現在の御社のスタッフ数を教えてください。

私のほかに図面作成の補助をしてくれるスタッフと、経理がいます。私自身のスタイルが色濃く反映された会社なので、お客さまと話をして、気持ちを捉えるのは私じゃないとだめなんですよね。その時間をつくるためのスタッフ構成が今の形です。私が常にプレーヤーじゃないとこの会社はだめなんです。だから、この会社は一代で終わるつもりです。年齢の問題もありますし、辞め時を常に考えていますよ(笑)。

家を建てた顧客とは「一生付き合っていきたい」。その心は?

辞めたい理由はあるのですか?

建築業って事故と背中合わせだったりします。特に建築現場にはリスキーな場面も数多くあります。細心の注意を払っていても何があるか分からない。身体も若いときのようには動かなくなっていきますから、長くできる業界ではないなって。
でも、うちで家を建てていただいた方々には言っているんです。「アフターケアが必要なときは電話してください、すぐに駆けつけるから」って。うちの、私のファンになってくれた方とは一生付き合っていたいし、とことん感動させ続けたいですから。

目標を教えてください。

この会社をたたんだら、屋台のラーメン屋になりたいですね。一杯350円で、利益も出ないようなラーメン屋のオヤジに。それで食べ終わったお客さまから「オヤジ、うまかったよ」と言われたい。人とふれあいたいんです、とにかく。そういう性分なんですよ。それにそんな屋台があったら話題になって新潟もより明るくなるでしょ(笑)。

地域を明るくしたいという考えもお持ちなんですね。

ありますね。同様の思いで、地元サッカーチームのアルビレックス新潟のバナースポンサーをさせていただいています。もともと人のご縁からいただいたお話でした。新潟を楽しくしたいという思いは、家造りと一緒。こういったご縁は本当に大事だと思っています。

取材日:2025年1月4日 

株式会社究工務店

  • 代表者名:橋爪 勲
  • 設立年月:2018年3月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:建築一式工事/大工工事/内装仕上げ工事/土地売買/建物販売/中古住宅販売/マンション販売/不動産賃貸業
  • 所在地:〒950-0986 新潟市中央区神道寺南1丁目11番9号
  • URL:https://e-rich.jp/
  • お問い合わせ先:025-311-6705

この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。

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コジマタケヒロ

コジマタケヒロ

大学時代からライターとして文筆。大学卒業後は、新潟県内でエリア情報誌を発行する出版社に就職。編集に従事し、エリア情報誌の編集長や各種ムック本制作を担当する。2019年よりフリーランスに。出版社時代から得意ジャンルとしている日本酒や地域のグルメ情報を中心に新聞やウェブ媒体に執筆している。※この記事を書いた人にお仕事をお願いしたい場合には、サイトボタンより直接クリエイターズステーション編集部にご連絡ください。

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