〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
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豊富な川魚、コウノトリ… 食物連鎖が綾部市の自然を生み出す
京都府北部に位置する綾部市。若狭湾へとつながる一級河川・由良川(ゆらがわ)が市内を流れ、1年を通してアマゴやアユ、サケなどの魚が水揚げされる豊かな漁場となっています。
たくさんの川魚がいれば、それを餌にする地上の動物たちも豊富です。中でも近年、飛来が確認され、たびたび地元のニュースに取り上げられているのが、国の天然記念物のコウノトリです。コウノトリを守る地元の市民団体や写真愛好家が熱い視線を送っています。
その綾部市で自然環境と生き物たちに正面から向き合う農場を運営しているのが、創業35年の「蓮ヶ峯農場」(はすがみね)です。
死に直面した父がこだわった「食」、世代超えて受け継ぐ純国産鶏
蓮ヶ峯農場では、食肉や卵を収穫するための鶏を飼っているほか、米や野菜も育てています。
農場を開墾したのは、現在の代表取締役の峰地幹介(みねぢ・みきすけ)さんの父、幹郎(みきお)さんです。峰地さんによると、幹郎さんは若い頃にB型肝炎を患い、余命2年と宣告されました。最終的に病気は治ったのですが、死に直面した幹郎さんは入院・治療生活を経て病気を克服する中で、どう生きたいかを再考し、人の命や毎日の健康に関わる「食べ物」を自らの手でつくる仕事をする決意をしたといいます。
峰地さんによると、日本の農場で飼育されている採卵鶏(卵を産む鶏)の95%以上は、毎年、もとを海外から輸入している外国鶏だということです。しかし、蓮ヶ峯農場では創業当初から純国産の「もみじ」という品種の採卵鶏を使い続けています。外国鶏と比べて純国産鶏は卵を産む数が少なく生産性は低いのですが、それでも峰地さんが純国産鶏にこだわるのは、日本人の味の好みにぴったりと合う卵ができるからに他なりません。
鶏は「家畜」である前に「生き物」 尊厳を保つ独自の飼育法
農場の鶏舎には約3000羽の鶏がいます。数万、数十万羽の養鶏場が主流の今、養鶏場としては小規模ですが、これは密度を低くして平飼い(ケージではなく、平場の地面で飼う方法)をするためです。蓮ヶ峯農場では生産性を上げるためにすし詰め状態で飼うよりも、鶏が心身ともに健康な状態で日々を過ごせるよう配慮しています。
峰地さんは「鶏は『家畜』である前に『生きもの』です。卵を人の手で採り、餌を人の手から与えるなど、すべて手作業で行います。生き物を飼うという畜産の原点に返るのが、この農場の一番のこだわりです」と力を込めて話します。
最後に、卵のおいしい食べ方について峰地さんに聞きました。「産んでから3日~1週間くらいの卵は、生で食べる『卵かけご飯』がやはりおすすめです。飼料に魚粉を入れているので、鰹節や魚醤(ぎょしょう)との相性が良いです。1週間以降の卵や賞味期限が近い卵は、ゆで卵にするといいので、ぜひ試してください」。