見た目は麦茶、抽出にこだわった「薄いコーヒー」に人生をかける。コーヒーの変態“まいろー”さんの濃い人生【秋田県秋田市】

秋田県内をめぐり、こだわりのコーヒーを提供しているキッチンカーがある。

MY ROAST COFFEE（マイローストコーヒー）のコーヒーは見た目は麦茶。一口飲んでみると、全く苦くなく本当にコーヒーなの？と思えるすっきりした印象。

が！飲み進めるうちにコーヒーの香りが全身にいきわたり、その芳醇（ほうじゅん）な香りに「なにこれーーー！？」となる、そんな不思議な体験ができるコーヒーだ。

このコーヒーを提供するのは秋田県横手市出身の佐々木敦史（ささき・あつし）さん。マイローストコーヒーの店主なので、自身を「まいろー」と呼び、周りからも「まいろーさん」と呼ばれている。

20代から始まったコーヒー巡り

まいろーさんは高校卒業後上京し、東京都内の専門学校に進学し東京で数年暮らす。その後、全国展開する会社に就職し、狙ったわけではなかったが、たまたま秋田に配属になった。

秋田で会社員として働きながら、秋田県内や出張先の東京で、新規店から老舗（しにせ）など様々な喫茶店を巡り、コーヒーを独学で勉強するようになる。

15年ほどコーヒーにのめり込むうちに、「なぜ日本のコーヒーは濃いのだろう？」と考えるようになり「もっと薄いコーヒーがあっても良いのではないか」と思うようになる。

その結果、麦茶や紅茶のようにすっきりとしていて、えぐみや渋味を極力抑え、薄くてもしっかりとコーヒーを感じられ、小さな子どもでもブラックを飲めてしまうすっきりとした『クリアなコーヒー』の完成に至る。

会社員として車で秋田県内をくまなく移動する必要があったまいろーさん。秋田県は広く、150kmを超える距離の移動などを普通にこなす日々がつづく。

そんななか、地域のパンフレットなどでコーヒー店の紹介を見るたび漠然と焦りが湧いて、自分はこのままでいいのかと思うようになる。

17年ついに思い立ち、休日にイベント出店に挑戦。

それがきっかけで出店の回数を重ねるようになり、さらに出店をする経営者の人たちと付き合うようになるうち、サラリーマンの価値観に疑問を持つようになった。

新卒で約20年勤めた会社を21年1月についに退社。コーヒーの道に進むことを決意。

とはいえ、それまでに結婚もし子供も授かっていたまいろーさんは、それだけでは食べていけないことも知っていた。

とにかく自分の強みを生かしつつ、お金に結びつく情報を探しながら、自らの発信もひたすら続けている。個人事業主むけのコンテンツや投資の発信など、その発信は多岐にわたる。

「秋田県で頑張る人の総力を集結させよう！」と、魅力ある秋田の商品を全国むけに販売する「あきたこまーす」という通販サイトも立ち上げた。

まいろーさんの濃い人生を煮詰めてたどり着いたのは「薄いコーヒー」。見出しでコーヒーの変態と書いたが、それは最上の褒め言葉だ。

まいろーさんの発信はとにかく頻度が高いし濃い。噛めば噛むほど味が出るという言葉があるが、マイローストコーヒーの「薄いコーヒー」には、まいろーさんの濃い人生が凝縮されているかもしれない。

まいろーさんの人生に興味ある人も別に興味ない人も、まいろーさんのコーヒーを一度飲みにきて。

自分の思いを貫き人生を楽しむ大切さに気づくいい機会にきっとなるはず。

コーヒーの変態だけど、発信の変態でもあるまいろーさんの変態ぶりをお楽しみください