長崎県の対馬北部、白い砂浜とエメラルドグリーンがきれいな三宇田(みうだ)浜海水浴場をバックに佇む東横INN対馬比田勝(ひたかつ)。ホテル敷地内で、日本在来種の対州馬(たいしゅうば)が飼育されており、天気が良い日にはホテルの前の広場で飼育員とともに散歩したり、厩舎(きゅうしゃ)で餌を食べたりしている姿を見学できます。
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各家庭に1頭いた対州馬が激減し、天然記念物に
対州馬は8種いる日本在来馬のうちの1種です。
日本在来馬はかつて生活のパートナーとして重いものを運んだり、農地を耕したりしていましたが、車や機械の導入により、役割を失い、激減してしまいました。対州馬も例外ではありません。今では島内外合わせて50頭ほどしか残っておらず、市の天然記念物に指定され、保存会などによって保護活動が行われています。現在27歳で対馬在住の小川香織さんは「かつては各農家さんに1頭いた記憶があります。おじいちゃんのお姉ちゃんの家で飼ってましたよ」と話します。
温厚で体高の低い対州馬とのふれあい
かつては力仕事を担っていた対州馬ですが、現在は観光資源の役割も果たしています。
対馬内で対州馬に会うことができる施設は3ヵ所。1つ目は目保呂(めぼろ)ダム馬事公園です。対馬北部にあり、対州馬保存会が中心となり飼育をしています。2つ目はあそうベイパーク。対馬中部に位置し、浅茅湾(あそうわん)に面したキャンプ場やアスレチック場がある広大な公園です。パーク内のふれあい牧場でも対州馬を飼育しています。どちらの施設も見学・餌やりや乗馬が体験できます。
3つ目は「東横INN対馬比田勝」。ホテルの敷地内に広場と厩舎があり、3頭の対州馬が飼育されています。こちらは有料の体験メニューなどはありませんが、時間が合えば散歩している姿や厩舎で食事している様子を見学できます。
体高が低く、鹿毛が特徴的な対州馬
東横INN対馬比田勝にいる対州馬は、対馬の魅力アピールの一助にと、在来馬の対馬市から貸与されたものだそうです。筆者が訪れた際にはあいにくの雨だったので、外には出ていませんでしたが、厩舎でくつろぐ2頭の対州馬を見ることができました。各馬の厩舎の前にはプロフィールがあり、名前や性別、誕生日などの情報や性格が書かれていました。鹿毛(かげ)といわれる茶褐色の毛に、たてがみや足先、しっぽの先が黒いのが特徴的です。体高は120cmほどでかわいらしい印象を受けました。
最近ではコロナ禍で運休していた韓国釜山と国際航路が復活し、たくさんの韓国の方が再び旅行に来ている対馬北部。観光のコンテンツとしての対州馬の活躍が期待できます。