JICA関西の“世界のごはん”を親子で体験。入ってみれば心も近づく 【兵庫県神戸市】

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兵庫県神戸市にある「JICA関西」。国際協力の最前線を担ってきたこの施設には、じつは一般の人でも入れる食堂がある。場所はJICA関西センターの1階。ちょっとした旅行気分で異国の料理を味わえるこの食堂は、国際理解教育の入り口として最適な場所である。今回は子育て中のご家庭にこそ訪れてほしいポイントをピックアップしてみた。

一般利用もOK。でも「入りにくさ」を感じる人も

筆者はJICA海外協力隊の経験者としてこの施設に親しみがあるが、それでも初めて訪れるときは、少し躊躇(ちゅうちょ)した覚えがある。海外研修の施設、国際機関のような雰囲気を持つ建物——知らない人にとっては、「ここって本当に入っていいの?」という遠慮が生まれても不思議ではない。

しかし、JICA関西の食堂はれっきとした一般開放施設であり、誰でも利用できる。しかもメニューは月替わり。訪れるたびに違う国の料理が味わえるのが魅力だ。アジア、アフリカ、中南米など、日常ではなかなか触れることのない多彩な料理が、手ごろな価格で楽しめる。

週替わりのエスニックメニューと安心の和食メニュー

例えば今週のメニューをのぞいてみると「タイ風グリーンカレー」「タンザニア風トマトシチュー」「ラオス風ひき肉ごはん」といったエスニック料理が並ぶ。辛さの調整や日本人向けのアレンジもされているため、子どもでも食べやすいものが多い。

もちろん、エスニックが苦手な人向けに和食メニューも用意されており、バランスよく栄養がとれる定食も充実している。家庭ではなかなか再現できない国の味を、親子で気軽に試すことができるのは大きな魅力だ。

加えて、ハラルフレンドリーのメニューが取りそろえられている点も特筆に値する。イスラム教徒の友人やゲストと一緒に食事をする場面でも安心して利用できるため、多様な文化や宗教に配慮した場所として覚えておきたい。

筆者はブラジル料理のフェジョアーダを注文

食べるだけじゃない、体験もできる

JICA関西の魅力は食事にとどまらない。1階には世界の文化や国際協力を学べる展示スペースがあり、民族衣装の試着や写真撮影も可能である。国旗や通貨、生活道具などの展示もあるため、子どもにとっては社会科見学のようなワクワク感がある。

最近では、JICAが公表した「JICAアフリカ・ホームタウン」構想について、自治体への負担や誤解が指摘され、最終的に認定事業を撤回する方針が明らかになった(交流支援自体は継続される見込みである)。この動きは、「国際協力」というテーマが政策や制度と結びつく難しさを象徴する出来事でもある。

こうした背景を踏まえると、「国際協力」という言葉が漠然と聞こえる家庭にとって、まずは「食」を通じて関心を持つことがなおさら価値のある入口となるだろう。日常から少しだけ視界を広げる体験として、JICA関西食堂は、手を伸ばしやすい場所である。

美術館とあわせて、週末のミニ冒険に

JICA関西は、兵庫県立美術館 (https://thelocality.net/hyougokenritsubijyutsukan/)から徒歩圏内にある。美術館でアートに触れ、ランチにはJICA食堂で異文化体験——そんな週末の過ごし方もおすすめだ。車でも電車でもアクセスしやすい立地で、関西在住の方にとってはちょっとした遠出にぴったりである。

「知らない国のことを、ちょっと知る」——その第一歩を、食堂での体験から始めてみてはいかがだろうか。親子で、世界の広さと多様性を感じるきっかけとなるだろう。


JICA関西 食堂情報
・場所:JICA関西 1階 (兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2)
・営業時間:ランチ11:30から14:00 / ディナー 17:30から21:00(ラストオーダーは各30分前)
・支払い方法:現金のみ
・予約:不要
・アクセスマップ:https://www.jica.go.jp/domestic/kansai/office/access.html
・今月のメニュー:https://www.jica.go.jp/domestic/kansai/office/restaurant/menu.html

阿部宣行

阿部宣行

山形にある探究教室の講師。子どもたちが熱中できることを見つけ、大人顔負けで実践できるように日々活動しています。ローカリティに参加してからの趣味は写真撮影。子どもたちの視野を広げるために記事を書き、写真を撮っていきます。

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