
山形県小国町五味沢地区は、朝日連峰への登山口として知られる自然の宝庫である。標高1,870mの大朝日岳を主峰とするこの連峰は、南北約60kmにわたる広大な山岳地帯をなしている。その登山口の一角に広がるのが、3本のつり橋を巡るトレッキングルートである。
3つのつり橋と原生林の中で味わう冒険心
五味沢口からの道中には、浅い清流に架かる大石橋・白布橋・カクナラ橋の3つのつり橋がある。大石橋、白布橋と渡る度に少しずつ森に深く入り込んでいくような感覚があり、最後に現れるのは“日本一細い説”があるカクナラ橋への挑戦である。踏み出すたび揺れる狭い板の上を、清らかな渓流を見下ろしながら渡るスリルと開放感は、日常では味わえない特別な瞬間である。



このトレッキングルートが特別なのは、つり橋だけではない。300年以上の樹齢を誇る巨木や、豊富な高山植物が織り成す原始的な景観は、まるで森の静寂に包まれた別世界に迷い込んだかのような心地よさをもたらす。
緑のトンネルの中、川面に映る光や葉の隙間から差し込む陽光、揺れるつり橋の影。まさに自然の美と冒険心を両方満たす絶好の背景が広がっている。


揺れるつり橋を越えて行く、原始の森の入口までの道のり
登山口はJR小国駅から車で約40分、五味沢登山口には無料駐車場(約7台分)もある。足元は滑りにくいトレッキングシューズを選び、暑さや虫対策も忘れずに。軽いスナックや水分も携帯すると安心だ。
トレッキングの帰りは金目そばの館で山菜の天ぷらを味わったり、白い森木工館で木工体験を楽しむこともできる。宿泊も視野に入れながら計画を立ててほしい。
せわしない日常から少し距離を置き、つり橋を渡る緊張と森の静寂に触れる安らぎが、きっと心を軽く開放してくれるはずである。

