〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
山口県周南市(しゅうなんし)は南側が瀬戸内海に面し、主要産業である重化学工業の工場が立ち並んでいます。一方で、市の北側は緑と山の世界が広がり、農村地域が点在しています。
市の中心部から車で40分ほど離れた場所に、「鹿野ファーム」はあります。標高750mの山間部にあり、冬場は2mもの積雪地帯です。清流・錦川の源流に位置し、自然あふれる環境のもと、鹿野ファームは豚の飼育から生産までを行っています。
脱サラ3人組の挑戦 本場修行・試行錯誤の末、本物の味へ
脱サラした初期メンバー3人での会社設立は、43年前にさかのぼります。メンバーによると、設立当時、県内に豚肉業者がいないことから、新たな挑戦を始められたといいます。創業時の本場修行から、さまざまな試行錯誤を経て、今なお「本物の味」を追い求めている鹿野ファーム。社訓の「地域と融和する」という考え方は、地域とともに歩んできた歴史がよく分かります。
「『本物の味』を提供し、お客さまとの心の距離を近づけたい」
今回インタビューに応じてくれたのは、鹿野ファームのハム工房部門長でISO管理責任者の浮田秀樹(うきた・ひでき)さんです。創業者がソーセージの本場・ドイツなどで学んだ際には、そのおいしさに衝撃を受け、そこから研究を重ね、「本物の味」を目指しました。
「本物の味」とは何なのか? 浮田さんによると、四元豚を使うという素材へのこだわりはもちろん、餌から肉の加工の仕方まで、あらゆるところに工夫を凝らしているといいます。
大手業者が生産している加工品は、調味料と水分を加え、原材料の2倍程度の大きさにして、肉質も柔らかくするそうです。しかし、鹿野ファームでは、豚肉本来の味を損なわないよう、加水などの余計なことは一切せず、製品化します。
豚に与える餌や飼育環境も徹底しています。ストレスを与えない広い豚舎、通常よく与えるトウモロコシや大麦、ライ麦の他に、食用米や海藻粉末を加えた餌を与えることで、臭みを抑え、白く透き通った脂身、赤色でなくピンク色の肉色になるといいます。
歯ごたえがあり、繊維までおいしい肉。山口県で9割のシェアを誇るという「本物の味」は、こうした影の企業努力の結果で生まれた、ある種の芸術作品なのです。
「『本物の味』を提供することで、お客さまとの心の距離を近づけたい」と話す浮田さん。豚肉を通して、鹿野ファームのファンを作りたいという熱い想いが伝わってきました。「おいしさ+α」を感じること間違いなしの鹿野ファームの豚肉、ぜひあなたも味わってみてはどうでしょうか?