番組制作で培った技術で映像本来の魅力を最大限生かす。元整備士が映像制作を展開するまでの軌跡【北海道札幌市】

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株式会社コブラ映像札幌 代表取締役

Hiroyasu Hase
長谷 博康氏

札幌の映像制作会社・株式会社コブラ映像札幌。代表の長谷 博康(はせ ひろやす)さんが大切にしているのは、加工編集を最小限に抑えた、「人の経験による技術」で作り上げる映像です。「人の経験による技術」とは一体?ジャンルの垣根を超えた映像制作を目指すという長谷さんに、これまでの経験や現在の事業、展望についてお話を伺いました。

重機整備士から一転、カメラアシスタントのアルバイトをきっかけに足を踏み入れた映像の世界

立ち上げまでのキャリアを教えてください。

高校卒業後、重機整備の会社に3年間勤めました。元々機械いじりが好きだったのもあって就職したのですが、危険をともなう仕事で結構ハードワークでしたね。自分が入社する前の年に、整備中に事故で亡くなった先輩がいたと聞いていました。一生続ける仕事としては少々リスクが高いなと感じ、3年後に退職しました。その後、たまたま見つけたテレビ制作会社のアルバイトに応募し、カメラアシスタントとして働き始めました。「重機整備の仕事からなぜ映像の世界に?」と思われそうですが、興味が持てるアルバイトをたまたま見つけただけでした。当時21歳で、整備士以外の資格はなく手に職をつけたいという気持ちもあり、とりあえず映像の世界に挑戦してみることにしたんです。

まったくの未経験からどうやってプロのカメラマンにまで上り詰めたのですか?

当時の先輩たちからは、基本的にはアシスタントから本格的なカメラマンにステップアップをしていくが、その段階を乗り越えるのはなかなか厳しいと聞かされていました。でも、映像の世界でやっていくなら、カメラマンになる以外に道はないな、と感じていました。
また、仕事をするなかで、映像だからこそ表現できるリアリティさや鮮烈さによって視聴者に強烈な印象を与えられるそのパワーに徐々に魅了されていったんです。
カメラマンになろうと決心してからは真剣に取り組みました。映画やドラマなど、話題になる映像や作品は片っ端から観て、独学でカメラワークを学びました。当時は若かったせいか、「まず自分の考えを持たなければ疑問も持てない」と考えていたので世の中に溢れている映像から学ぼうとしていました。そうしていくうちに「意味が伝わる映像を目指したい」という自分が映像を制作するなかで大切にしていることもわかってきたんですよね。アルバイトから入って、約1年で正社員になり、結局22年間もお世話になりました。

会社の未来に危機感を覚え、仲間を救うためにも独立を決意。22年間で培ったパイプで安定軌道に

22年間活躍した愛着のある映像会社を去り、独立した理由は何だったのでしょう?

会社の人事体制が大幅に変わり、私が目指していた方向とのズレが生じたことがきっかけです。すでに私は43才でしたので、ここを辞めるなら転職ではなく起業だなと感じていました。クライアントとのパイプもたくさんあったので、自分が思うようにやれる会社を作ろうと思い、起業を決意しました。

いずれは会社を立ち上げたいという思いはお持ちでしたか?

全然ありませんでした。自然な流れでそうなったという感じです。フリーランスという選択肢もありましたが、仲間と大きな事業を行いたいとの思いから法人化を選びました。また、同僚が会社を辞めた場合の受け皿的な役割になるのもいいかなと。自分が代表の会社だと入りやすいかなという思いもありました。
ちなみに、社名の由来は、わかりやすくてハードなインパクトを重視しました。周りからは「怖いんじゃない?」という反対の声もあったのですが、少しマイナスな印象の方が、会社として成長していけるのではないかと考えた末、「コブラ映像札幌」と名付けました。

なぜ、札幌で会社を立ち上げたのでしょうか。

これも自然の流れですね。私は妹背牛町出身です。地元近くの工業高校を卒業して就職で札幌に出てきてからはずっと札幌で暮らしています。まったく知らない土地でスタートを切るより、22年かけて培った人脈やパイプがたくさんある札幌での起業は、ごく自然なことでした。それに北海道で映像の仕事をするなら、情報の発信地でもあり、テレビ局も揃う札幌が一番需要があると思いました。

これまでもこれからも「あくまで作り方はアナログ」。エフェクト頼りにならない編集

現在の事業内容について教えてください。

メインはテレビの情報番組です。UHB(北海道文化放送)の「いっとこ!」や「みんテレ」、HTB(北海道テレビ)の「イチオシ!!」「イチモニ!」、STV(札幌テレビ放送)の「どさんこワイド」などです。私のほかに2人のスタッフがいて、それぞれが個別に担当しています。番組制作チームの撮影メンバーとして参加しています。
ほかには観光動画や、イベント動画、企業PR動画、ライブ配信撮影などに対応しています。

「あくまで作り方はアナログ」にこだわる意図についてお聞かせください。

映像を編集する際に、エフェクトをかけすぎないようにしています。今はスマホでも簡単に動画編集ができる時代で、加工技術を多用する映像が世の中に溢れ出ています。エフェクト機能は、動画配信者には便利な機能ですし、そういう動画を否定するつもりはありません。
ですが、テレビ番組撮影の基本から叩き込まれている私は、加工は編集の二の次です。エフェクト機能に頼らず、視聴者に伝わりやすいようなカットのつながりや組み立てなどが第一優先です。もちろん加工すれば、簡単にかっこいい映像にはなりますが、それだと一般の動画クリエイターと変わらない。加工ありきにはせず、本来の映像が持つリアルや美しさを引き出せるのは、人間の経験による技術だと思っています。映像そのものの良さを伝えていきたいです。

撮って作って納品では終わらない。検証と改良を重ねてクライアントの目標達成につながる映像を

映像の意図が視聴者に届いているかを検証し、改良を重ねているそうですがその意図は?

納品して終了では、作った映像が世間にどんな影響を与えているのか、どんな反応が出ているのかがわからない。放送・配信後の効果や反応を検証し、よりよい映像制作に向けて改良していく。クライアントが求めるゴールまで付き合う制作をしています。目標達成できる映像にこだわっていきたいですね。

これまでで印象に残っている事例を具体的に教えてください。

昨年一般の方からのオーダーで、同窓会の様子をライブ配信してほしいという案件がありました。「当日同窓会に来られないメンバーが、オンラインで参加できるようにライブ配信をしたい」とのことでした。とても思い出深いクラスの38年ぶりの再会で、担任の先生へのサプライズの意味もあり、特別な同窓会にしたいという要望でした。その思いに全力で応えようと、ドローンを使ってオープニング映像を制作するなど、さまざまな工夫をしました。
当日、映像をお披露目すると、38年前を思い起こして感動してくださり、大変喜んでもらえました。会の雰囲気はとてもよく、幸せな時間が流れていました。このようなできごとに関われるのもこの仕事の醍醐味ですね。素晴らしい思い出づくりに協力できて、本当にうれしかったです。toC向けのライブ配信事業にも注力していくきっかけとなりました。

スタッフの自己実現を応援。「得意や好き」を伸ばして自分の道を切り開いていく手助けに

今後、どのような会社にしたいとお考えですか?

これまではテレビ番組の制作がほとんどでしたが、これからはCM、映画、番組などジャンルの垣根なくやっていきたいと思っています。そう思いながら12年経ったのですが、なかなか叶わずにいます。でも企業案件も少しずつ増えてはきましたので、今後もここを目指していくつもりです。
新しい試みとしては、結婚相談所とのコラボも視野に入れています。実は妻が、結婚相談所を運営しているんですよ。成婚後に結婚式や思い出ムービーなど映像面でコラボ展開できたらいいなと考えています。

一緒に働く仲間に対して、会社としてどのようなことを求めますか?

最終的には独立して、自分の理想を叶えてほしいです。私もメンバーが目指すところに辿り着けるよう、できる限りサポートしていくつもりです。
自分が本当にやりたいと思う道を切り開くなら映像にこだわらなくてもいいと思っています。失敗を恐れず、トライアンドエラーを繰り返して自己実現を達成してほしいです。一つの会社に縛られることなく、若い人がどんどんチャレンジしたくなるような業界にしたいですね。

取材日:2024年8月7日

株式会社コブラ映像札幌

  • 代表者名:長谷 博康
  • 設立年月:2012年10月1日
  • 資本金:1000万円
  • 事業内容:映像制作、グラフィックデザイン、WEB制作、システム開発
  • 所在地:〒060-0003 札幌市中央区北3条西11丁目 マーシャルノースⅡビル2F
  • URL:https://cobra-eizo.jp/
  • お問い合わせ先:011-300-5311

この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。

宮本 和加子

宮本 和加子

北海道札幌市

クリエイターズステーション

15年間出版社に勤めた経験を活かしてフリーライターとして活動中。フェローズでは風雲会社伝の札幌を担当。普段は雑誌やWebでグルメ系や人物取材記事などを執筆している。ライター以外には、マヤ暦アドバイザーという別の顔も持つ。

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