一級河川である加古川水系の支流・篠山川の水源の一つである鍔市(つばいち)ダムの奥にある水源地に立ち寄り、兵庫県版レッドデータブックBランクに指定されている絶滅危惧種であるクリンソウ(九輪草)の様子を見てきました。
毎年恒例の自主的なパトロールです。


クリンソウはサクラソウ科に属する日本固有の植物で湿地に生えます。仏教寺院の屋根の先端にある九輪に姿が似ていることが、その名の由来だそうです。
兵庫県は分布の西南限に位置していますが、丹波篠山市の多紀連山周辺は我が国でも有数の大きな群落が存在しています。
以前は生息場所が今ほどしっかり把握されていなかったようですが、1980年くらいになってから、さらに大きな群落が見つかり、移植もされたそうです。
その後、クリンソウの南限が篠山の多紀連山であることが明らかになり、保護活動が盛んになったことも手伝って徐々に数を増やしてきたそうです。
また、クリンソウは有毒なため、シカなどの草食動物による食害は受けないようで、湿地という生育環境さえ維持されていれば逆に近年増える傾向にあるとのこと。
筆者は、「篠山自然の会」という自然保護団体で活動していますが、長年活動を続けてこられた会の長老の方から伺いました。

水くみ場があり飲用も可能な湧水から続く流れに群落がありますが、例年5月に入ってからが満開の時期なので、まだ咲き始めで何株かに小さな花が咲いているだけでした。
しかし小川が水源池に流入するあたりに以前はあった群落は、誰かに踏み荒らされたのか数が激減していました。


水源池の周囲にはコロナ禍が始まった時期くらいから、京阪神から気軽に来れるせいかキャンプやバーベキューをしに来る人たちが目に見えて増えています。
湿地植物はデリケートな存在です。
食べ残しのゴミを水源に捨てたり、不用意に植物を踏み荒らしたりしないようお願いしたいです。
情報
丹波篠山市公式観光サイト