国宝・松本城と旧開智学校、街角レトロを“撮って歩く”松本建築さんぽ(前編)【長野県松本市】

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旧松本高等学校

重厚な「松本城」と、ちょっとキッチュなデザインの「旧開智学校」という二つの国宝がある、長野県松本市。北アルプスに囲まれ、さまざまな時代の建築と文化が息づくこの美しい街を、カメラを持って一泊二日の旅で訪れました!

一日目には旧松本高等学校、二日目は「松本城」と「旧開智学校」の国宝ツアーを前編後編にわけてお伝えします。

一日目 – 「旧松本高等学校」

松本市観光パンフレットより

私の住む名古屋から特急で2時間、2回目の松本です。前回は10年近く前に家族で安曇野に行った帰りにちょっと車で寄っただけなので、今回はじっくりと歩きます。

松本市街地は頑張れば全部徒歩で回れるくらいの広さですが、周遊バスも走っています。盆地で平坦な地形なので、レンタサイクルで回るのも気持ちよさそう!

お昼前に松本駅に着き、ホテルにチェックインする前にちょっと観光です。私は古い建物が好きで、松本は歴史的建築の宝庫なのであれもこれも見たい! 初日は日曜日で、松本城や旧開智学校は月曜も見学できるとのことなので、先に「旧松本高等学校」(月曜休み)を見に行くことにしました。

旧松本高等学校は松本市街地の一番東の方にあり、駅からはちょっと遠いのですが、途中にある「松本市美術館」も見たかったので、お散歩がてら歩いていきました。

こう言ってはなんですが、松本は思ったよりも都会です。駅周辺にキュッとコンパクトに商業施設が集まっていて、そこから観光スポットが広がっていくような感じです。センスの良い街並みで、おしゃれなお店が点在しています。

松本市美術館(草間彌生「幻の華」)

市街地の南端の「あがたの森通り」をてくてく歩いていくと、「松本市美術館」がありました。入口にある、水玉のモチーフで世界的に知られる芸術家、草間彌生の大きなオブジェで有名ですが、今回はちょっと時間がなかったので正面の写真だけ撮りました。鮮やかな色彩のこの入口付近のオブジェは、誰でも思わずシャッターを切りたくなりますね。ちなみに草間彌生は松本市出身だそうです。

松本は「工芸のまち」として知られています。江戸時代、松本は各地から集められた匠たちがたくさん居住する城下町として栄えました。戦後は柳宗悦の唱えた「民藝運動」に影響を受けた人たちが、木工、染織をはじめとした工芸品の製作をこの地で行い、街には今も「アート&クラフト」な雰囲気がそこかしこに漂っています。

あがたの森公園

さらに歩いていくと、「あがたの森公園」に到着! 旧制松本高等学校の敷地は現在「あがたの森公園」となっていて、市民の憩いの場です。

1919(大正8)年に開校した旧制松本高等学校は、翌年に仮校舎からこの場所に移ってきたそうです。本館は現在、公民館や図書館のある「あがたの森文化会館」として市民に開放されています。

官立の旧制高校の松本高等学校は、信州の名門校として政財界、学問などの分野に多数の人材を輩出しました。隣に建設された「旧制高等学校記念館」(写真左端の茶色い建物)には、卒業生の作家、北杜夫の書斎を再現したものが展示されています。

戦後の学制改革で旧制松本高等学校は信州大学文理学部となり、現在の松本キャンパスに移転する1973(昭和48)年3月まで使用されました。

旧松本高等学校本館は、2007(平成19)年に重要文化財に指定されました。大正時代の木造の学校建築様式の代表例で、保存状態も良好です。(印象的な本館正面の写真も撮ったのですが、翌日の松本城天守閣の上り下りでカメラにショックがあったのか、たくさんの画像ファイルが破損してしまいました…松本市のサイトでご覧ください。)

旧松本高等学校は市民に開放されており、無料で見学できます。ペールブルーの優しい色合いの、美しい学校建築です。

松本の市街地にはこのような城下町の面影を残す蔵造りの建築がたくさんあり、店舗として使われていました。

女鳥羽川

女鳥羽川をはさんで、南に中町通り、北に縄手通りという観光客で賑わう通りがあります。山がすぐ近くに見えますね。その先には美ヶ原高原があり、温泉地もたくさんあります。今回は松本駅近くのホテルに泊まりましたが、温泉にゆっくり泊まるのもいいですね。

カエル大明神

縄手通りの中ほどに「カエル大明神」という祠(ほこら)がありました。縄手通りにはカエルグッズを売るお店がたくさんあり、カエルはこの通りのシンボルのようです。

松本は湧水の多い「水の街」で、かつて女鳥羽川の水辺では、「河鹿蛙(カジカガエル)」というカエルが美しい鳴き声を奏でていたそうです。

しかし戦後になると川も汚れ、河鹿蛙も上流に追いやられ、通りも活気を失っていたそうです。

そこで1972(昭和47)年、もう一度水のきれいな活気ある通りに変えようと「カエル大明神」を祀った取り組みが始まり、現在に至るそうです。

二日目 -「松本城」と「旧開智学校」の国宝ツアー!へ続く

情報

松本へのアクセス
・電車で
東京から:JR新宿駅から中央線「あずさ」で約2時間30分〜50分
大阪、京都、名古屋から:新大阪から名古屋まで「新幹線ひかり・こだま・のぞみ」で約50分〜1時間10分、名古屋から松本まで「特急しなの」で2時間

・車で
東京から:約2時間30分
大阪から:約4時間30分
京都から:約4時間
名古屋から:約2時間30分

・飛行機で
福岡 — 松本:1時間50分
札幌 — 松本:1時間30分
神戸 — 松本:1時間

詳しくは松本市公式観光情報サイトをご覧ください。

松本市公式観光情報 新まつもと物語
松本城公式サイト
松本市美術館公式サイト
旧松本高等学校(松本市)
旧開智学校(松本まるごと博物館)
松本ホテル花月公式サイト

上田亜砂子

上田亜砂子

東京で生まれ育ち、名古屋に住んで20年以上になるフリーライターです。電動自転車に乗り、趣味の写真撮影を活かして取材先を回っています。音楽とアートと建築とお笑いが好きです。

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