〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
鹿児島県南大隅(みなみおおすみ)町。
大隈半島の南に位置するこの町はぐるりを自然豊かな海に囲まれ、眼前に桜島がのぞめる、佐多(さた)岬や美しい雄川(おがわ)の滝が有名な本土最南端に位置しています。
田中テツ子(たなか・てつこ)さんは夫とふたり本土最南端のこの地で、昭和35年にお肉屋さんをはじめました。
最初はお肉のみの販売でしたが、お肉を利用した美味しいものを提供したいとの思いから、10年ほど前から餃子などのお惣菜の製造販売もはじめました。
しかしそんな中、テツ子さんは一緒に店を頑張ってきた夫を亡くしてしまいます。この先どうしようかと思案にくれていた時、娘夫婦が店を継いでくれることになり、田中精肉店は存続できることになりました。今では2人の孫まで加わり、総勢5人の家族経営でがんばっておられます。
変わらぬ味をずっと提供したい
昭和11年生まれのテツ子さんは今年で86歳になりますが、毎日餃子をはじめコロッケ、唐揚げなどをつくり、お店に立っています。
取材中も電話が次々とかかってくる繁盛ぶりです。地元のお客さんに長く愛されているのがよく分かります。県外から車で2〜3時間かけて来られる方もいらっしゃるそうです。
「お客さんが求めているものにぴったり合った味なんじゃないだろうか」とテツ子さんはその人気の訳を分析してくれました。
テツ子さんはこれからの目標として「今の味を落とさないように大事に、一生懸命つくること」と語ってくれました。
2022年に「鹿児島ぎょうざ協議会」ができるなど、鹿児島にはたくさんの餃子専門店が軒をつらねていますが、「今の味を落とさないように大事に、一生懸命つくる」というテツ子さんの想いからは、どの餃子店にも負けない強い意気込みを感じました。
「本土最南端の地」ならではのお肉屋さん
鹿児島は風土も良く、自然に恵まれ、美味しい野菜やお肉が全て地元でまかなえる恵まれた場所です。
この本土最南端の地でお店をする良さについて、テツ子さんにお聞きしました。「山も海もあり、自然豊かで空気もおいしいし、人は人情味があり、生活がしやすい」。
親子3代、力をあわせての家族経営。最近では、親が商売をしていても、子どもは都会で就職するなど、店を継がないという例も多くなっていますが、田中精肉店では家族の誰もがこの地を離れることなく、今日も営まれています。
都会に人が出て田舎が過疎化してしまう中、地元で地元のお客様に愛されながら、何代にもわたって家族で商売を営んでいく、少し前までの日本の社会を、この南大隅町の田中精肉店は変わらず続けています。
このようなお店が増えていけば地方の活性化にもつながると思います。
テツ子さんが語る「山も海もあり、自然豊かで空気もおいしいし、人は人情味があり、生活がしやすい」豊かな環境に恵まれた、美味しい野菜やお肉と、家族の愛情がたっぷり詰まった美味しさを是非取り寄せてみてください。
そして本土最南端の風景と、大切に味を守り続ける家族に想いを馳せながら味わってみてはいかがでしょうか。