美しく儚い命の切り花に心と手をかける 本土最南端のバラ農家のこだわり【鹿児島県南大隅町】

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〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜

「新しもん好き」の父が見つけた栽培法で林業からバラ農家へ転身

鹿児島県肝属郡(きもつきぐん)南大隅町にある富田バラ園は現在代表取締役を務める富田昭仁(とみた・あきひと)さんの父と祖父の代では、林業と米栽培などの農業を営んでいました。時代と共に林業を続ける難しさを感じ、イチゴや露地野菜、カーネーションや菊の栽培なども検討しながら方向性を模索し、本格的に始めたのがバラの栽培でした。


富田さん曰く、もともとバラは土を耕し種や苗を植え育てる土耕(どこう)栽培という方法で栽培されていましたが、「新しもん好き(笑)」のお父さんが、九州で先駆けてはじめられた「水耕栽培」の一種で、自然の鉱物を土の代わりに利用し、そこに養液を染み込ませ植物を育てる「ロックウール栽培」に手応えを感じ、その栽培方法に切り替え一気にバラ専業ヘと舵を切ったそうです。

富田さんはバラ農家として2代目ですが、事業を法人化したタイミングの20代の若さで代表取締役就任。若い社長として「なめられた」経験もあったそう。鹿児島という土地柄「自然災害なども多く、突拍子もないことには慣れてる」と笑う富田さん。昨今の甚大な自然災害や石油の値上げなど、経営的な試練は続いています。そんな経験があるからこそ取締役として強い意志を持ち、経営を一手に背負う心構えができたといいます。

バラへこだわる「当たり前」が生んだ当たり前じゃない品質基準

「花のボリューム感・葉の美しさやサイズ・スーッとしっかりとした茎。1本で美しいバラを作ることがポリシー」という富田さん。時間をかければかけるほど花が大きく育つので、冬から春にかけては1年で一番満足度の高いバラを出荷できる時期だそうです。そしてこの時期は富田さんにとっても「楽しい時期」なんだそうです。

富田さんのバラは「日持ちがする」「花色(花そのものの色)がキレイ」と県外の固定客にもブライダルや特別の日のお花として好まれています。

「当たり前のことをしている」と話す富田さんの当たり前は、時には軽トラ一台分の廃棄をするほど厳しい品質基準を保持している「当たり前じゃない」こだわりがあるのです。

「切り花にゆっくり心と手をかける時間を楽しんで欲しい」

切り花の命は美しく儚い。だからこそその花を手に取った人にも、その命に心と手をかける時間を楽しんで欲しい。「そんな切り花の楽しみがあっていいんじゃないか」と話す富田さんの言葉がとても心に響きました。

生産性を追って周りの農家がやめていく中、富田さんは今後の展開を「今の規模を保ちながら今以上にバラの質や品種にこだわっていきたい」と語ります。

良いものを作ると「ワーっ!と嬉しく心がワクワクする。またそんな想いを知らなくとも商品に満足があれば買って下さるお客様もまたワーっ!と喜んでくださる。そんな共感をさらに深めていきたい」と静かな中に熱を持って話してくれました。

「大隅の人の人柄に助けられ美しく咲き誇るバラ」

大隅町の良さは?の質問に「そこに住む人たちの人柄」を上げた富田さん。バラ農家が他にいない中でも孤立せずにやって来れたのは「他の業種の方々と接点を持ってやって来れたから」。と大隅の人たちの温かい人柄に助けられてバラの栽培ができていることに感謝をしていました。

そんな本土最南端の大隅町からお届けするお花は、南国鹿児島の太陽をたくさん浴びた美しい花の色が自慢です。

【楽しむためのワンポイント】
・風や外気に当てない
・直射日光を避ける
・水は毎日交換(難しい時は保存剤の使用をおすすめします)
・更に長く楽しみたい方は8分咲き位でドライフラワーにするのもおすすめ中でも「オレンジは乾燥しても色がキレイなんですよ」富田さんからの選び方の裏技を伝授していただきました。

前田 明子

前田 明子

東京都足立区

第6期ハツレポーター

東京都葛飾区亀有生まれ、満3歳からずっと東京都足立区在住。

本業の集客目的ではじめたツイートで1000日間、100文字3投稿を継続したTwitter継続おばちゃん。合計30万文字の発信から文字で人と繋がる楽しさ発見。現在母の自宅介護中『書くなら自分の時間で出来るよね』とライティングを学ぶ。書く事で共感の輪を拡げます。

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