〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
鹿児島県南大隅町(みなみおおすみちょう)に本社を置く「南州農場(なんしゅうのうじょう)株式会社」は、養豚、食肉卸売、食肉の加工・販売を行っています。南州農場は、現在の代表取締役である本田玲子(ほんだ・れいこ)さんの父・本田信一(ほんだ・しんいち)さんが創業しました。
南州農場では、創業当時から自社の情報開示を徹底し、消費者に安心で美味しいものを届けることを大切にしています。そして、現在は生産から販売までを一貫して行い、消費者がより安心して美味しいものを食べられるような体制づくりを行っています。
今回は、代表取締役の本田玲子さんに、「消費者が安心して美味しく食べられるものを届ける」背景を伺いました。
「豚に寄り添い、愛情をもって育てる」
南州農場の創業は1976年8月。玲子さんの父である信一さんと地元の農家さん5名で設立されたそうです。養豚事業を始めた場所は南大隅町佐多伊座敷(さたいざしき)の山林。地域の方々と協力して道路や電気、水道、ガスなどのインフラを整備するところから始まりました。
「設立したての頃、私は4歳ぐらいで、農場が徐々に出来上がっていったのを覚えています。自分たちでイチから農場を作っているからこそ、豚たちを一頭一頭を大事に育てていたと思います。」と玲子さんが語るように、南州農場では豚への感謝や尊敬を常に忘れません。
「商品を大切に扱うというと当たり前かもしれませんが、豚を飼育する際には社員が豚の目線になって考えることを大切にしています。豚の異変に気づいたり、欲しているものを察したりと豚に寄り添い、愛情を持って育てています」
「お客様に正直に、安全で安心なものを提供したい」
南州農場の経営理念の一つに「生産に関わる全ての情報をお客様に公開し、安全・安心な食糧品を届ける」があります。南州農場では、お客様に情報開示することを47年前の創業当時から行っています。
「今でこそ、情報を開示することは当たり前かもしれませんが、47年前には正直で詳細な情報を公開することは斬新な試みでした。苦労する面もありましたが、消費者に、納得して安心できるものを買っていただきたいという思いが強く、当社では情報開示を続けてきました」
玲子さんが話すように、消費者にとって安心で安全なものを提供したいという思いが情報開示を徹底して行うことにつながっています。
そして、今後の展望について伺うと「集落の保全について考えていきたい」と玲子さんは話します。
「農場のある南大隅町は人口減少が深刻で、特に当社の農場がある集落は、野生動物と人間の生活との境界線が曖昧になってしまっています。野生動物は、さまざまな感染症を媒介するため境界線が曖昧になることによって、豚が病気になるリスクや地域に住む人たちへ影響を与える恐れがあります。そういった地域課題に対しても、重点的に取り組んでいくことが当社の役割でもあると思っています」
今回の取材を通して、南州農場の安全で安心なものを提供したいという思いが、「当たり前のことを当たり前に行う」ということにつながっていると感じました。そして、地域の未来を見据えた活動にも注目したいと思う取材でした。