
O-NAZ 株式会社 代表取締役
Tasuku Uehara
上原 翼氏
沖縄生まれ、沖縄育ちのO-NAZ 株式会社の代表取締役・上原 翼(うえはら たすく)さんは、「安定より挑戦」を選び、大学を中退して多様な職を経験。その後、IT業界に転身し、レンタカー業界の課題に挑む予約サイト「OKIREN」を立ち上げました。地元密着で信頼を築きながら、沖縄のモビリティ課題にも挑む姿勢に迫ります。
「いつかは自分の会社を!」。夢実現のチャンスは逃さない
上原さんのキャリアのスタートから教えてください。
沖縄で生まれ育ち、沖縄国際大学に進学しました。当時の沖縄は、大学を卒業して公務員になるのが当たり前という雰囲気があり、それが一つのステータスだったのですが、私には合わないなと感じていました。せっかくの人生なら「何か大きなことをやってみたい」「いつか会社を経営したい」と考えるようになり、思い切って3年次に中退。大学を中退しても、卒業した人たちと同じ、もしくはそれ以上のことができると証明したいという思いもありました。
中退後はひとまず経験を積もうと派遣や契約社員としてさまざまな職場で働き始めました。しばらくすると、コンビニを経営する親族が新しく店舗を立ち上げることになり、手伝うようになりました。
しかし3年目を迎える頃にセブンイレブンが沖縄に進出し、既存のコンビニは今までのように順調に業績を伸ばすことは厳しくなるだろうと感じていました。ちょうどその頃、知人が勤めるITサービス関連の会社から「働いてみないか」と誘われて、コンビニの仕事を離れることを決意しました。それが、IT業界との出会いでした。

未経験からのスタートは大変だったかと思いますが、どのように知見を積んでいかれたのでしょうか?
Webサイト制作や運用、マーケティングなどが主な業務でしたが、上司や先輩たちが出ているミーティングに一緒に入って、何を話しているのか、何をしようとしているのかを、肌で感じながら少しずつ学んでいきました。2年ほどたった頃に、現在弊社の役員でもあり、弊社が入居しているシェアオフィス「ZORKS沖縄」を立ち上げた会社の社長でもある桶田幸志氏から「県内外の複数の会社が関わるプロジェクトが沖縄で立ち上がるので、参加してみないか」とお声がけいただき、参加することに。そのプロジェクトの内容というのが、Googleマップのように渋滞情報を「映像で見える化」するというものでした。沖縄は車がないと生活できない地域ということで、実証実験の場所として選ばれたんです。
プロジェクトでの私の主な役割は、レンタカー会社への営業でした。いざヒアリングしてみると、知らなかった課題を抱えていて、中でも一番多かったのが「集客に困っている」というものでした。集客で使う大手の予約サイトは掲載条件が厳しく、小規模事業者などは掲載すらできないといった現状があり、「それなら自分たちで新しい予約サイトを作ろう」ということに。「OKIREN」というレンタカー予約サイトを立ち上げる運営会社として、設立することになりました。

入社2年目で会社を立ち上げられたというのは、すごいスピード感ですね。戸惑いはなかったですか?
いずれは社長になりたいという思いをずっと持っていましたので、いいチャンスだと真っ先に手を挙げました。とはいえ、大きくなるプロジェクトだと予想していたので不安はありましたし、今でもその気持ちを持ちながら、なんとかくらいついています。
間口を広げ、沖縄のレンタカー会社のニーズにフィット
OKIRENは他社とどのような差別化を図っているのでしょうか?
既存のサイトにはさまざまな掲載条件があります。例えば、一定以上の台数を保有していないといけないとか、事業継続年数の条件があるとか、路面店を持っていなければならないなど。そのため、掲載できない小規模のレンタカー業者さんは自分たちで広告費をかけて集客するしかないのですが、大手と同じような予算はなかなか難しい。そうした課題を解決するために、手頃な価格で事業者の皆さんをサポートしています。
OKIRENの大きな特徴は、他社と比べて掲載のハードルが低いという点ですか?
そうですね。そのためユーザー側のメリットとして、大手サイトに掲載されていない地元の事業者さんも多く参加しているため、車種が非常に豊富ですし、価格帯も幅広いです。安価なプランから高級車まで、いろいろな選択肢があることが魅力だと思っています。弊社で契約しているのは230社ほどですが、県内でもトップクラスの店舗数だと自負しています。

地域密着型のコミュニケーションを大切に
ほかにも、OKIRENならではの強みはありますか?
一番の強みは、弊社が沖縄県内に本社を置いていて、地元で活動している点です。他社は全国展開が多いですが、地元密着で、コミュニケーションの取りやすさを大切にしています。事業者さんに呼ばれたら、時間が合う限りすぐに現地の店舗に訪問して、打ち合わせをしたり、要望を聞いたりしています。課題に一緒に向き合って、解決していけるように、ということが会社のビジョンでもあります。
密接な関係になると、信頼関係も大事になってくるかと思いますが、事業者さんと接する上で特に心がけていることはありますか?
「できるだけオンラインで完結させない」ことを心がけています。電話だけだとどうしても距離感が出てしまうので、直接お会いして日常会話を交えながら関係性を築くようにしています。
掲載している事業者さんは、上原さんご自身がお声がけして集められたのでしょうか?
初期の頃のお客さまにはほとんど私が営業していましたが、最初に協力いただいた50〜100社のお客さまがどんどん周りに広めてくださり、さらに昨年テレビCMを流し、加速度的に広がっていきました。成果が出るまでのスピード感は、やはり地元のレンタカー事業者さんに必要とされていたことを表していると思います。
モビリティの問題解決で、生まれ育った沖縄に貢献したい
今後の展望を教えてください。
現在はOKIRENをスタートしてまだ2年目ですので、全力を注いでいる状況です。ただ、今後は沖縄全体のモビリティの課題解決に取り組んでいきたいと考えています。
御社は「モビリティ課題解決のタスクフォースで在り続ける」ことをミッションに掲げていますが、具体的には、どのような未来を思い描いているのでしょう?
例えば、沖縄だと電気ステーションが少なく、“電気自動車がなかなか普及しない”という課題があります。解決に向け、電気ステーションの整備などを弊社で請け負うことで、沖縄県に貢献していけたらと思っています。
また、昨今の燃料費の高騰もあり、事業者さんが運営していく上でのコスト面の課題も噴出してきました。OKIRENでもっと送客することができれば、売り上げが上がり、ひいては沖縄の雇用機会の創出にもつながるはずです。
より大きな目標でいうと、レンタカーに限らず、沖縄全体の交通課題の解決や観光も視野に入れています。今年は沖縄県の北部にジャングリア沖縄という新しいテーマパークが誕生したことで、レンタカー需要の増加や高速道路周辺の交通状況など、必ず影響が出てきます。具体案はまだまとまっていませんが、何らかのお手伝いができればうれしいですね。

「沖縄への貢献」という点も、かなり意識されて取り組まれているのですね。
そうですね。私自身、沖縄が大好きなんです。沖縄で生まれて、これからもずっと生活していくと思うので、せっかく観光に来てくださる方々が「楽しかったね」「また来たいね」と思って帰ってもらえるような沖縄になるよう、少しでも力になりたいですね。
最後に、どんな方に入社してほしいと考えていますか?「こんな人だったらうれしい」というイメージがあれば、ぜひ教えてください。
「こういう企画をしたい」など、自発的に何かを考えて動ける方がいいですね。 もう一つ大切なのは、人とコミュニケーションを取るのが好きなこと。弊社の仕事は、多くの事業者さんと密に連携していかなければいけない仕事です。人とのつながりが何よりも大事なので、楽しく実行できる方には、ぜひ働いていただきたいですね。
取材日:2025年4月21日
O-NAZ 株式会社
- 代表者名:上原 翼
- 設立年月:2023年8月
- 資本金:100万円
- 事業内容:沖縄県におけるレンタカー予約サイト運営事業
- 所在地:〒902-0067 沖縄県那覇市安里381-1 ZORKS沖縄
- URL:https://o-naz.com/index.html
- お問い合わせ先:HPのお問い合わせ
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