「和楽(わらく)」という和菓子店の『修禅寺物語』というモナカを見てほしい。
モナカには、オバケのような顔が形取られてある。(写真1)
このオバケのような顔は、鎌倉幕府二代将軍「源頼家」の仮面をモチーフにしている。
頼家は、現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』と深く関わっている。
頼家は北条政子と源頼朝の嫡男(ちゃくなん)であり、18歳という若さで将軍になった。
頼家は周りの期待に応えるために、独裁的な政治を行うようになった。それに不満をもった御家人達が、北条氏を中心に「13人の合議制」を結成し、将軍に代わって政務を行うことになった。
これが、「鎌倉殿の13人」。
さて、先程のオバケのような仮面を思い出してほしい。
静岡県伊豆の国市韮山の光照寺にある「病相の面」にそっくりである。
━━━━『病相の面にまつわる言い伝え』━━━
頼家は、鎌倉から修禅寺に出家させられた。独裁的な政治による反感が理由である。
頼家が修禅寺で温泉に浸かっている時、湯口から大量の漆を流され、全身がかぶれてしまう。(一説)そして、病に伏せてしまった。
鎌倉にいる政子(頼家の母)は、頼家の病状を知るため、彫り師に頼み、頼家の顔を面に刻ませ、7日ごとに鎌倉へ運ばせていたと言われている。当時は、今のようにインターネットも写真もなかったからである。
13回目の面が完成し、政子へ届ける際、頼家が亡くなってしまう。その知らせを聞いたのが、韮山の光照寺付近であったため、鎌倉へ届けるわけにもいかず、その面を光照寺に預けることにしたのである。
(写真2)写真にあるように、顔がパンパンに腫れている。これは漆のせいではないかと言われている。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
オバケのようだと思っていた顔は、頼家の病状の悪化を表したものであった。
韮山の光照寺に是非足を運んで見て欲しい。
伊丹 雅姫さん