亜熱帯のジャングルや、高い透明度を誇る海、満天の星空など手付かずの自然が魅力の沖縄県の八重山諸島。観光の拠点となる石垣島には、かまぼこでおにぎりを包んだ「おにかま」と呼ばれるソウルフードがある。トークバラエティ番組『マツコの知らない世界』でも紹介されたこの商品、実は八重山観光のマストアイテムとしても有名だ。その魅力を現地石垣島からレポートする。
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まかないから生まれた秘伝レシピ
「もともとはお店のまかないだったんです。60〜70年の歴史があるらしいんですけど、(レシピができた)詳しい経緯はわかりません。販売するようになったのは、ここ20年くらいです」と語るのは、おにかまを製造・販売する、かみやーき小(ぐゎー)かまぼこ店の大城清美(おおしろ・きよみ)さん。
おにかまは、その名の通り、おにぎりとかまぼこを掛け合わせたレシピで、ミネラルたっぷりで腹持ちの良い石垣島産の黒紫米(こくしまい)に魚の脂が染み込んだ逸品だ。ピパーズ(島こしょう)、アーサ(アオサ)、チーズ、ピリ辛チーズなど、様々なアレンジを楽しめるのも特長で、島内の人のみならず、観光客にも愛されている。
オススメの理由その1:日持ちがして、持ち運びやすい
八重山観光の拠点となるのが、ユーグレナ石垣港離島ターミナルである。ここを拠点に、西表島や竹富島、小浜島といった離島へのフェリーに乗ったり、レンタカーで島内を移動したりすることになる。
その際に考慮したいのが「食べ物事情」である。八重山諸島では、本州都市部のように、どこでも食べ物を買えるわけではない。離島はもちろん、それなりの人口規模を誇る石垣島も例外ではない。特に、石垣島北部の方ではコンビニなどの数も少なく、食べ物の調達に苦労することがある。
そこでありがたいのが、離島ターミナルからおよそ徒歩10分、かみやーき小かまぼこ店で買えるおにかまだ。もともと保存食として作られた八重山かまぼこは日持ちが良いので、数日間滞在する場合も数個持っておくと安心である。消費期限は、当日作ったものであれば、その日を含めて3日間。要冷蔵10℃以下なので、可能な限り、冷蔵庫やクーラーボックスに入れることをオススメする。
夜に小腹が空いた時や、離島のアクティビティでお腹が空いた時、おやつとして食べるのに持ってこい。大きさもコンパクトで、まさに旅のお守りである。
オススメの理由その2:優れた栄養バランス
石垣島の日差しや紫外線の強さは、本州の2倍以上とも言われている。夏は、暑さも相まって移動するだけでも体力を消耗してしまう。汗を大量にかくことでミネラルが体外に流れ出てしまい、体調を崩してしまう観光客も多いと言う。
ここでもまた、おにかまが役に立つ。おにかまはミネラル豊富な黒紫米を使っており、発汗で失った栄養素を補うのにもってこいである。さらに、PFCバランス(人間が生きていくのに必須なタンパク質、脂質、炭水化物)に優れていて腹持ちも良いため、身体を動かすアクティビティの前に食べておけば安心である。
とりわけ、タンパク質の含有量が高いことを考えると、育ち盛りの子どもやアスリートにオススメの逸品と言えるだろう。
オススメの理由その3:とにかくおいしい!
おにかまをオススメする最大の理由は、なんと言ってもおいしいからである。
かみやーき小かまぼこ店は、創業者のカマド婆さんの代から約90年続く老舗で、島の多様な恵みを最大限に活かしながら、長い歳月をかけて、かまぼこの味を磨き上げてきた(かみやーき小かまぼこ店の歴史はこちら https://thelocality.net/kamaboko_isigakijima/)。
大城さんにオススメの味を尋ねると、「私はチーズが好きです」と一言。実は筆者も店頭のおにかまを全制覇したが、一番と感じたのはチーズおにかま。チーズのコクが、魚の旨みと、もっちりした黒紫米にマッチして、何個でもいけそうな感覚になる。
唯一残念なのは、本州でおにかまを手にいれるのが困難だということ。大城さんによると「過去に、福岡空港で真空パックにして売っていたこともあるんですが、やっぱりそのままがおいしいですね」と、やはり現地で出来立てを食べるのが一番なようだ。
伝統を大切にし、創意工夫を重ねる
「もともとチーズかまぼこがあって、それをおにぎりにしたらおいしいんじゃないかと思ってできたのが始まりなんです」と大城さんが語るように、この絶品のチーズおにかまも、スタッフ一人一人の創意工夫から生まれた。
初代のカマド婆さんの味を守りながら、「これからもいろんなもの、新商品にチャレンジしていきたいです」と楽しそうに語る大城さん。地域の食文化や、観光客の楽しい時間を彩ってきた、かみやーき小かまぼこ店の活躍に今後も注目だ。
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かみやーき小かまぼこ店