〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
九州・大分県のほぼ中央に位置し、別府市から南へ25分ほど走ったところにある庄内町。由布市の「台所」と言っても過言ではない、農作物の生産地です。その地域に店舗を構えているのが「小野酒造株式会社」です。
創業は1906年(明治39年)。初代となる小野猪六(おの いろく)さんは、もともと地元で商売をしており、「地元の人たちに、気軽に安くておいしいお酒を飲んでもらい、地域の活性化を図りたい」との思いから、焼酎造りを始めたそうです。
初代の住んでいた地域は「小野屋」と呼ばれ、「小野」という苗字の世帯が多い場所でした。大分川と小狭間川の合流地点にあるため昔から水害が多く、何度も家の流出や人的被害に見舞われました。その度、地域の人々は土地をかさ上げし、復興を試みてきました。猪六さんは復興に向けた活動も率先して行っていたようです。
昔から「大亀が人を食う」と言い伝えがあり、毎年「大亀」を退治し地域の安全と安泰を願うお祭りも行われており、それも猪六さんが始めたといいます。そんな地元を大切に守ってきた思いもあったからこそ「焼酎造り」を始められたようです。
現在は4代目の小野宗之(むねゆき)さんが社長を、兄の昌利(まさとし)
さんが杜氏を務めています。従業員は7人でそのうち家族は4人。主に麦焼酎とリキュールの製造を行なっています。年間500石(こく)ほど製造しているそうです。
焼酎造りは、常圧蒸留器一台と減圧蒸留一台を使い分けながら、出来る限り地元産の原料にこだわって製造しています。特に常圧蒸留器は古く、同じものは国内に2台ほどしかないといいます。
「全く同じ原料の裸麦と麦麹を使って仕込んでも、蒸留器を変えることで白と黒くらい違う味わいの焼酎が出来ます。常圧蒸留器はガツンとした味わいや香ばしい風味、減圧蒸留器は軽やかな喉越しとすっきりとした味わいになるんですよ」と小野さん。
年2回仕込みを行いますが、仕込み始めが一番難しく、その年の麦の出来や麹、天候などを加味して、調整に2~3週間もかかるのだそうです。