つなぎ、つながることで東北の未来を切り拓く。地域に密着する人材派遣会社の新たな挑戦とは<パーソルテンプスタッフカメイ株式会社 石黒和昭さん>【宮城県仙台市】

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一つの会社で定年まで勤め上げる働き方は、今や少数派となりつつあります。転職が一般化した時代において、求職者も企業も新しい雇用の形を模索しています。 東北地方で人材派遣やアウトソーシングなど人材サービスの提供に特化した、パーソルテンプスタッフカメイ株式会社は「雇用の創造、人々の成長、社会貢献」を理念に掲げ、地域の雇用と経済を支えています。
2023年6月に代表取締役社長に就任した石黒和昭(いしぐろ かずあき)さんは、「地域企業とともに東北の未来を切り開く会社にしていきたい」と語ります。少子高齢化と労働力の減少が進むなか、人材派遣事業などを通じた挑戦とその展望について、話を聞きしました。

バランス感覚をもち、相手を受け入れる。人材派遣事業に携わるまでの道のり。

パーソルテンプスタッフカメイ株式会社(以下、パーソルテンプスタッフカメイ)は、1988年11月に、東北を代表する商社であるカメイ商事株式会社の人材派遣部門として設立されました。2015 年3月よりパーソルグループに加わり、東北地域を統括する人材サービス企業として地域密着型のサービスを展開しています。

2023年6月に代表取締役社長に就任した石黒和昭さんは、大学卒業後に生命保険会社に入社し、キャリアをスタートさせました。

人材業界に興味を持ったのは、金融危機の時代に突入した頃です。様々な企業で組織再編が行われていく中で、「自分のスキルって何だろう」と自問する機会がありました。形のないサービスを通じて顧客のライフサポートを行う生命保険業界の経験を経て、人材業界にも同様の価値を見出し、まだ成長途中だったこの業界に将来性を感じ、2000年にテンプスタッフ株式会社に転職しました。

石黒さんが仕事をするうえでの信念や価値観ができあがった、一番のターニングポイントとなったのは、営業推進や企画の仕事から、関西地方の製造系のグループ会社に移った時です。

「0からの積み上げ方もゴールの置き方も違う。さらには、話す言葉から事業の進め方まで違うという世界で、どうやって自分を理解してもらうか、相手をどうやって理解するか」というせめぎ合いを常に繰り返していたそうです。

そのような環境でモットーとしていたのは、「進むべきとき、撤退すべきとき。主張すべきとき、相手を受け入れるべきとき。そのバランス感覚を持つこと。自分をしっかり持つ。その代わり、相手を尊重して、しっかり相手の意見を聞く。それを両立させること」でした。「生命保険業界で顧客と向き合った経験は、人材業界で企業やスタッフと向き合う姿勢にも通じている」と話します。     

三方よしの世界へ。御用聞き営業からの脱却。

石黒さんは、グループ内企業で社長などを務めた後、2023年6月にパーソルテンプスタッフカメイの代表取締役社長へ就任しました。

パーソルテンプスタッフカメイは、東北エリアの人材派遣事業や、人材派遣から派生するBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業、人材紹介事業の3つを柱に事業を行っています。

過去に様々な職場や地域で仕事をして、会社を経営してきた経験がある石黒さん。パーソルテンプスタッフカメイの派遣事業を通して行う挑戦は「単なる御用聞き営業から脱却し、派遣スタッフ・派遣先企業・パーソルグループの三者がハッピーになる『三方よし』の世界を実現すること」です。

パーソルグループには、所属する約150社が会社やサービスの垣根を超えて、全体で向き合っていく「ONE PERSOL」という考え方があります。

お客様から「派遣をしてほしい」と要望があった時に、要望通りに人材派遣を行うだけではなく、本当の課題がどこにあるのかをじっくり話し合い、人材採用や活用の課題を解決したり、事業の成長に貢献したりするために、いくつかのサービスを組み合わせて提案をしたりしています。

「お客様にとっての最適な解を、提供できれば、それがお客様にとって一番良く、働く方にとっても『その仕事がしたかった』という仕事ができ、社員にとってもお客様に満足していただく、環境を整えることができて、三方よしの世界になります」

社長自らが営業に同行。東北地域にどのように根差していったのか。

三方よしの世界を目指す石黒さん。東北地域に根差したパーソルテンプスタッフカメイで働きはじめた頃は、苦悩することもあったそうです。

自分から話をしてくれない東北ならではの地域性に、「私が喋ったことに対してどう感じているのか、今までとは全く違うやり方をしなければいけない」と思うこともありました。

そのような状況でも、「相手と向き合うこと」を忘れずに、地場の企業のお客様のところへ営業社員と同行し訪問をしています。「社長さんが来てくれたのは初めてです」と言われることもあり、顔が見える関係性を築き上げ、どんどんと結び付きが強くなっていきました。また、仙台に本社があることも強みになっており、東京本社ではなく東北に本社がある当社に頼みたいという企業も増え、東北で横の繋がりができています。

一方で、課題もあります。「役職者は50代の社員が中心となっているので、若い人材を採用して、育成してを繰り返さなければいけないと思っています。東北の若い世代が東京を目指していってしまうのは、都会が魅力的だからであり、東北にも魅力のある仕事やポジションを、派遣事業としても、社員にとっても、生まなければいけないと思っています」

関東圏から転居してでも東北で働きたい。魅力のある仕事をつくるとは。

パーソルテンプスタッフカメイでは、東北に魅力ある仕事を作るために人材派遣の幅を広げる取り組みを行っています。

1つ目は、専門職を増やしていくことです。2023年12月1日より新事業「理化学系人材に特化した派遣サービス」を開始しました。東北エリアでバイオメディカル系のお仕事を開拓し、雇用拡大に貢献しています。岩手県のエリアで求人を出したところ、「関東圏から転居してでも働きたい」というケースが2件生まれ、「やはり魅力ある仕事を作ることは大切なことだ」と石黒さんは改めて感じたそうです。

2つ目は、年齢の問題や体調の問題で働くことが困難な方に向けた在宅の仕事を増やしていくことです。「ワークシェア」という考え方を在宅ワークに取り入れることで、資格や能力を持っている方が業務を行うことで少ない人数でも回せるようになるというメリットもでてきます。特に東北エリアでは在宅ワークのニーズが高く、実証実験まで進むような自治体も出てきているので、ノウハウを蓄積し、取り組んでいます。

その他にも、少子化・高齢化に悩んでいる地域が多いため、「シニア層」の仕事を増やしていきたいという動きもあります。

東北の今の社会課題を見つめ、東北に住む方々や若者世代にとって魅力ある仕事をどんどんと作っています。

「つなぎ、つながる 切り拓く」東北の未来を切り拓く会社へ。

東北に魅力ある仕事を作るために事業を幅広く展開している石黒さんですが、「我々のビジネスだけを拡大していくというのは、どこかで無理がくる」と考えています。

「労働力人口という考え方に、「在宅」や「ワークシェア」を取り入れて、考え方を少しずつ変えていくことでみんながハッピーになれると思っています。そこの道筋をつけるのを当社だけで頑張ろうと思っても、なかなかうまくいかないと思うので、在宅で仕事をされている方や、シニア層の方たちと一緒になってやっていただいたり、企業にも理解していただいたりできるように取り組んでいきたいです。ビジネスは時代の流れに合ってるかが必要で、大切なので、うまく合わせていくことが課題です」

課題を解決していくために、東北ONE PERSOLでは昨年「つなぎ、つながる 切り拓く」という新しいスローガンを掲げました。

つなぎ」というのは、人と人をつなぐ、人と企業をつなぐ、その人の思いをつないでいくこと。

つながる」というのは、パーソルグループ同士がちゃんとつながっていくことと、我々とお客様がつながる、我々とスタッフの方がちゃんとつながるということ。

そんなつながりが東北の未来や働き方を切り拓いていきます。

「パーソルテンプスタッフカメイがあったから、東北エリアが元気になったよねとか、おかげで会社の事業をうまく回せるようになったよ、とかそんなことを言っていただける会社になりたいな」と語る石黒さん。

長年、お客様に対しても、一緒に働く仲間に対しても、そして東北地域に対しても誠実に向き合ってきたからこそ、関わる人がハッピーになる環境ができていきます。パーソルテンプスタッフカメイは人材派遣にとどまらず、東北の企業の課題解決、さらには東北の経済が元気になり、東北の明るい未来をつくる企業へと躍進していきます。

https://www.persol-tempstaffkamei.co.jp

聞き手:手島慧 執筆:山下春奈

山下春奈

山下春奈

北海道札幌市生まれ、埼玉県川口市育ち。2021年4月に多摩川の源流域である山梨県小菅村にて地域おこし協力隊に着任。卒業をし、現在は小菅村を楽しむ総合情報サイト「こ、こすげぇー」にて村の賑やかで豊かな暮らしの発信を行っている。趣味はラジオを聴くこととはしご酒。ワクワクするローカルの魅力をどんどん発信していきます!

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