三重県熊野市から紀宝町にかけて熊野灘に沿って続く七里御浜(しちりみはま)。その防風林の中に、ひっそりと龍神様がお祀りされています。石塔のまわりにはきれいな白い石が敷き詰められていて、ちゃんとお世話されているのがわかります。花の窟(はなのいわや)神社や産田(うぶた)神社でもそうですけど、この辺りで神様をお祀りするときには、白い石を敷くみたいです。
かつてこの辺りは、高潮で悩まされていたそうです。特に、稲が花を咲かせる季節に高潮が河口を上ると、お米が実らずに不作に見舞われてしまったそうです。また、熊野へ向かう参詣者にとっても、難所とされていたそうです。
この志原尻(しわらじり)の龍神燈はその高潮を鎮めるために建てられたものだそうです。七里御浜には同じような供養塔がいくつもあります。
すぐ近くに、志原川(しはらがわ)の河口にかかる橋があります。昭和時代の初めに造られたもので、橋の下は水門になっています。この水門は高潮のときには自動的に閉じる仕組みになっているそうです。同じような水門橋が、御浜町の市木川(いちぎがわ)の河口にも造られています。
七里御浜に沿って走る国道を通るとわかりますが、この辺りは川が海岸線に平行に流れているところがあります。志原川に河口手前で合流する産田川(うぶたがわ)もそうです。潮害の影響を受けやすいのも、このような地形が関係しているのでしょうか。
紀伊半島魅力発掘隊Facebookより 投稿日:2019年2月7日