
株式会社ディーエーオー 代表取締役
Sato Takuya
佐藤 拓也氏
HP制作を通して、医療関係や中小企業の経営をサポートする北海道札幌市の株式会社ディーエーオー。「札幌ホームページ制作ラボ」という新サイトを立ち上げ、サービスのパッケージ化とアフターフォローで“選ばれやすい”会社へと成長しました。お客さまの満足感を満たすHP作りについて、代表取締役の佐藤 拓也(さとう たくや)さんに、お話を伺いました。
HP制作にビジネスチャンスを感じて独立
立ち上げ以前のキャリアについて教えてください。
大学卒業後、知り合いのデザイン会社に就職し、そこでデザインやレイアウトを学びました。当時は印刷系のDTPオペレーターとして、デザイナーが作ったラフを元に版下を制作していましたが、上から指示されたことをやるのではなく、自分でクリエイティブなことをしたいという意識が強くなっていきましたね。
初期の作成ソフトを用いて簡単なHPを作りながら独学で技術を身に付けていましたが、ちょうどインターネットが爆発的に広がっていた時期でもあり、今後はおそらく紙からWebへと媒体も移るだろうと予測しました。そこにビジネスチャンスを感じたため、1997年に独立し、2001年に法人化しました。

独立後、どのようにお仕事を開拓されていかれたのですか?
自分でHPを作り、異業種交流会で名刺を配っていました。当時は個人でECサイトを立ち上げて商売をしている方もいましたので、その集まりに参加してアピールしていました。その流れから、彼らのHPで技術的に足りない部分や外注部分のサポートもしました。
あとは広告代理店経由でしょうか。2002年にはデジタルハリウッドの専門スクール「STUDIO札幌」で講師を、2012年には北星学園大学の非常勤講師を勤めました。それらの仕事を通じて、仕事を紹介していただき少しずつビジネスの場が広がっていきました。仲間のデザイナーが受注した仕事で、テクニカルな部分を私たちがサポートするというケースも多いですね。
独立してから約3年は1人で、自宅で作業をしていました。現在のスタッフは私を含めた5人です。デジタルハリウッドの卒業生や、元々ゲームメーカーであるハドソン(現コナミグループ)でゲームを作っていたプログラマーが在籍しています。
どういった会社作りを目指されたのでしょうか?
弊社のお客さまは、中小企業がメインです。インターネットはマスメディアに高いお金を支払わなくても、自分のビジネスの宣伝や告知ができますので、お客さまの課題に対して解決策を導き出し、見る人を惹き付けるような要素を持たせた、集客に役立つHPを作ってあげたいと考えていました。自分と同じような立場の人たちの役に立てる会社にしたいという思いが強かったですね。
医療系のHPが高評価。一気に受注増加へ
得意とする業種はありますか?
医療系が多いですね。2015年に医療器具販売業者が弊社のHPを見つけて連絡をくださって、その紹介で人工股関節の専門医である石部基実医師のHPを制作しました。そのHPの評判が良くアクセス数が非常に伸び、メディアにも登場するようになり、患者数も増えたようです。
その頃から、医師のブランディングサイトが増えていったように感じます。今思うと、私たちの取り組みは先駆的だったと言えるでしょう。

どのように発注が来るのでしょうか?
医師がクリニックや医院を開設する際、医薬品卸業者が持つ医療系のコンサルタント部門が支援をするケースが多いんです。例えば、開業地の選定や市場調査、医療機器の購入、従業員の雇用などのサポートをするのですが、その一環として弊社にHP制作の依頼が来ます。
弊社のHPにはこれまでの実績も掲載していますので、それが信頼や安心につながるのでしょう。直接お問い合わせが来ることもあります。
HP制作においては、それぞれの医師の専門分野や得意なこと、アピールポイントがありますので、それを細かくヒアリングし、分かりやすく魅力的に見せるよう心掛けています。
明瞭な価格とスピード対応で勝負
2021年から「札幌ホームページ制作ラボ」というサイトを立ち上げたその理由を教えてください。
マーケティングを学ぶうちに、ネーミングが重要だと気付きまして。札幌でHP制作をしていることが一見して分かるように前面に打ち出しました。実際、「札幌ホームページ制作ラボ」の名前を掲げたことで検索順位も上がり、新規のお客さまも増えました。
御社の強みを教えてください。
分かりやすくリーズナブルな価格設定です。お客さまが迷わないよう、サービスをパッケージ化しました。いくつかプランを打ち出していますが、価格も明瞭なのでお客さまも悩まず、成約率も高いですね。初期費用を抑える代わりにきちんと更新費用をいただくことで会社の経営も安定してきました。
さらに制作後のフォローやサポートにも力を入れており、更新ボリュームは少々多くても、毎月定額で対応しています。また、更新依頼には基本的に24時間以内に対応するようにしています。他社と契約されているお客さまのなかには、対応や更新が遅いことに不満を抱えている方も多くいらっしゃいます。スピード感はお客さまの納得感に影響しますし、実際、弊社に契約を変更された方の理由の一つにもなっているようです。
AIのアイデアに+αで他社との違いを生み出す
印象に残っている仕事を教えてください。
「アグリウエザー」という農業コンサルタント会社のHP制作です。農場や圃場内の数カ所に設置した気象観測機器を用いて気象現象の予測や観測データを収集し、農作物栽培に生かすというサービスで、そのWebサイト作りや気象観測モニタリングシステム作りを担当しています。
このHPの特徴は、ピンポイントでリアルデータを見ることができる点にあります。決められた地域に絞って、日光量による作物の糖度の変化や、降水量などの相関関係から収穫時期を予測することができるため、農業の効率化が図れます。
私たちは、気象解析システムからサーバーに送られてきたデータをまとめ、サイト上にアップしています。昔はFlashという技術を使っていましたが、現在はHTML5でグラフを自動的に作成しています。
AIツールも増えていますよね。
そうですね。今は次から次に新しいAI技術が登場し、パソコンのスペックや環境も目まぐるしく変わっています。AIの力を使えば少ない予算でコンパクトにHPも作れるでしょう。すでに企画やライティングはAIの力を借りていますが、AIが書いた文章はやはり平均的というか、人としての温かみがない。読んでいてもあまり心を動かされませんし、引き込まれるようなものがないと思います。それでは見る人にこちらの思いが伝わりません。ですから、必ず自分たちでプラスαのものを追加して、人間らしさがでるように意識しています。
そのプラスαはどうやって生み出しているのでしょうか。
基本的なことですが、本やニュースからさまざまな表現や言葉、情報をインプットします。AIがたどる標準的なものに、効果的な言葉を差し込んだり転調するといったサプライズを加えることで、インパクトをもたらします。
考えて挑戦して、新しい方法を導き出す

今後の会社作り、ビジョンを教えてください。
今後はAIと協業し、お客さまにとって効果的な、時代に合ったサービスを続けていきたいですね。また、AIを活用した独自のサービスも展開していきたいと考えています。
会社は、スタッフが居心地良く働けて、それぞれの強みを発揮してもらい、生きがいを感じられるような環境にしていきたいです。私自身まだまだ頑張るつもりでいますが、行けるところまで行ったら、あとは若い世代に売却という形でお任せしたいと思っています。
最後にクリエイターを目指す人にアドバイスをお願いします。
この仕事は、自分で学べる人が向いていると思います。今は情報のスピードが早くトレンドもすぐに変わってしまいます。私は仕事上での問題や疑問が生じた時は、技術系のブログで解決法やヒントを検索し、比較し、実際に自分で試してみて解決策を導き出します。
とにかく自分で1度トライしてみるのは大事ですね。例えばコードがうまく動かなかった場合、ほかの人の方法や手段をヒントにすればいい。そして自分で考えて、新しい方法に書き換えられるようなスキルが必要だと思います。そうした自己解決能力に長けた人が向いていると思います。
あとは、相手の立場に立って物事を考えられるようになってほしいです。クリエイターとして仕事をしていくのであれば、どうしたら今の世の中で多くの人を振り向かせることができるかを、考えて考えて、考え抜いてください。
取材日:2025年2月19日
株式会社ディーエーオー
- 代表者名:佐藤 拓也
- 設立年月:2001年9月
- 資本金:300万円
- 事業内容:ホームページ企画・デザイン・制作・運営・保守業務、インターネットサーバー構築・運営・保守・賃貸、WEBシステム企画・設計・開発、印刷・出版業、通信販売業務
- 所在地:〒 063-0061 北海道札幌市西区西町北20丁目5-6-203
- URL:https://www.sapporo-homepage.com/
- お問い合わせ先:011-668-6551
この記事は株式会社フェローズが運営する、クリエイターに役立つコンテンツを発信する「クリエイターズステーション」にも掲載されています。