〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
目次
白い食器へのこだわり「粉引」とは
滋賀県の信楽町で、食器を作り始めて50年以上!古谷製陶所の3代目として、信楽(しがらき)焼きを作っている古谷浩一(ふるたに・ひろかず)さん、お姉さんの古谷香織(ふるたに・かおり)さんにお話をお伺いしました。
古谷製陶所さんで作られる器の特徴は「白い器」。
お父様の代から受け継がれた「粉引(こひき)」という製法で作られています。信楽焼きの中でも、「粉引」という製法をメインで行っている窯元は珍しい存在だそうです。
「うちでやっている粉引は、赤土で成形→乾かす→生化粧(白い泥状のもの)にくぐらせる→素焼き→釉薬(ゆうやく)掛け→本焼き→釉薬を刷毛で塗る→2度目の本焼き、と工程が多いんです。通常、粉引は割れやすい、汚れやすいという特徴がありますが、2度焼きすることにより器自体が強く、汚れにくくなり、さらに風合いもつきます。手作りにこだわっているので、短いものでも完成まで2週間はかかります」と古谷さんは教えてくれました。
「粉引は土と化粧と釉薬の相性がガチっと合っていないと、脆い器になってしまうので、父が粉引の土台をしっかり作ってくれたのはありがたいです」と古谷さん。
お父様の代では和食器がメインでしたが、3代目の浩一さんと香織さんは、「粉引」のやり方はそのままで、現在のライフスタイルに合わせて和食にも洋食にも使えるようなデザインの器を増やしています。
信楽では工房の数が減ってきているそうですが、古谷製陶所では若手の育成にも力をいれており、今は20名ほどのスタッフが働いています。「身につけたものを独立して役立ててもらいたいです。伝統工芸のようなものなので、続けるひとが増えたらいいですね」と古谷さん。
心ときめく器はどうやってできるのか
「暮らしに寄り添う」をコンセプトに作陶された器は、使い勝手のよいシンプルなデザインながら温かみもあります。古谷製陶所さんでは、ご実家の一部をリノベーションしたスペースに、料理教室などを行うキッチンスペースやショールームがあります。定期的に開催されるお料理教室では、自由に食器を使うことができるので、お客さんが盛り付けた様子や、何気ない一言にデザインへの新たな発見があったりするそうです。
「また、昔のアンティークや骨董だったり、陶器以外のガラスや建築物からイメージをもらうこともあります。常に試行錯誤しながら、試している感じですね」と古谷さん。筆者は個人的に、新作も定期的にチェックしたくなりました。
「毎日気軽にたくさん使ってもらいたい」
「作家の器・入門編と思って、しまわずに毎日たくさん使ってほしいですね。そうしていただけると本当に作家冥利に尽きます。割れてしまっても、安定した供給を心がけているので、また買い足してもらうこともできます。うちの器は、1回使ったらまた集めたくなったと言ってくださるリピーターさんがすごく多いんです。気に入ったらぜひ信楽まで遊びにきてください」とにこやかにお話されるお2人が素敵でした。
お料理がより美味しくみえる・感じる器をぜひ体験してみてください。