〜この記事は、株式会社JTBふるさと開発事業部と合同会社イーストタイムズが共同で取り組んでいる「ローカル魅力発掘発信プロジェクト」から生まれたハツレポです〜
「日本茶は旨味、甘味、苦味、渋みがある。その中でも旨味を引き出すのは一番難しい」。
そう話してくださったのは、愛知県常滑市(とこなめし)にある「有限会社丸よ小泉商店(まるよこいずみしょうてん)」営業本部長の岩附由加里(いわつき・ゆかり)さんです。
有限会社丸よ小泉商店は、1949年創業で常滑焼急須を主に扱う産地問屋。日本だけでなくアジアや欧米との取引も行い、世界へ常滑焼の急須を広めています。
お茶の味をまろやかに整える常滑焼急須
常滑市は日本六古窯「常滑焼」の生産地です。
常滑焼は鉄分が多い粘土を使い、その鉄分を赤く発色させ、「朱泥(しゅでい)」という朱色の焼き上がりが特徴の焼き物です。常滑焼の中でも代表的なものが急須。誰もが一度は赤茶色の急須を目にしたことがあるでしょう。
黒い常滑焼は、朱色に焼き上がったものにひと手間加え、燻したものだそうです。
「常滑焼急須で淹れたお茶はとても美味しいです。急須の表面がお茶のタンニンを吸着し、まろやかな味わいに調えてくれます」と岩附さん。
常滑焼は、陶磁器をつくるときに使われる、ガラス質の釉薬(ゆうやく)を塗らないため、器自体が味を調えてくれるそうです。岩附さんは、常滑急須コーディネーター協会理事であり、そのコーディネーターでもあります。
『器で食べる』『丁寧』『心をそこに傾ける』そんな心のゆとりを生活に取り入れて欲しい
1990年代にお茶のペットボトルができ、誰もがお茶を手軽に飲むことができるようになりました。それと共に、急須を求める人は減ったそうです。
急須に茶葉を入れ、お湯を注ぐ。
そのたった5分間を美味しいお茶を淹れるためだけに集中する。
「お茶を飲むことで自分自身を整えて欲しい。心がニュートラルに戻る時間を作って欲しい。急須をその道具の一つにして欲しい。」そう岩附さんは話してくれました。
私は、実は緑茶が苦手でした。渋いと思っていました。そんな私が岩附さんからお茶の淹れ方を聞いて、心の底から、美味しいお茶を淹れてみたいと思いました。自分を整えるための時間を作ろう、岩附さんに私だけの常滑焼急須を選んでもらおうと感じるお話でした。