低い椅子と机と路上メシ。ベトナム南部の麺料理フーティウをローカル店で食す【ベトナム・ホーチミン】

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ローカルな飲食店で、その国ならではの料理を食べるのは海外旅行のだいご味。

今年(2024年)5月にベトナムのホーチミンを訪れ、現地の人にローカルレストランに連れていってもらい、「フーティウ」という今までに食べたことが無い料理を味わってきた。ベトナムならではの料理を五感を使って楽しんできたので、ぜひ皆さんにもその感動をお伝えしたい。

豚骨ベースのスープとコシのある米粉麺のフーティウ(2024年5月 筆者撮影)

ベトナムの日常、老若男女が路上メシ!

海外旅行の楽しみの一つは現地の料理を食べることである。日本国内にも海外の料理を出すレストランが多くあり、あらゆる国の料理を口にすることができるが、それでも海外で“本場の味”を楽しむことは旅ならではの貴重な体験だ。

旅行会社と提携していたり、ガイドブックに載っていたりするレストランは観光客向け、外国人向けのお店であることが多い。そういったお店の料理は十分おいしくハズレも少ないと思う。しかし、どうせ海外に行くのなら、現地の人たちが普段食べているお店で、現地の人たちと同じように料理を楽しむほうが、よりその国の濃い部分を味わえるのではないだろうか。

ホーチミン市内を歩いていると、道端の至る所でご飯を食べている人の姿を目にする。飲食店の前の歩道や、屋台の周囲に椅子と机が並べられ、目の前で車とバイクが行き交う中、若い人から老人まで食事を楽しんでいる。

日本の衛生観念からみると、決して清潔とはいえない道端で食事をするなんてありえないようにも感じるが、ベトナムではいたって普通の光景のようだった。

お店の前の歩道で食事をする光景はベトナムの日常(2024年5月 筆者撮影)

そんなローカルなお店でご飯を食べるという経験をしてみたいと思うが、海外旅行に慣れているわけではない私としては、外国でそのようなお店に一人で入るのは少し勇気がいる。そこで今回は知人を介して知り合ったベトナム人に「現地の人がいつも行くような料理店に連れて行ってほしい」とお願いをし案内してもらった。

まるで風呂場の椅子?低い机で食べたフーティウは絶品!

日本で知られているベトナム料理といえば、フォーやバインミーなどがあげられるが、今回は「フーティウ」というベトナム南部料理のお店に連れてきてもらった。

歓楽街として有名なブイビエン通りの近くにある「Hủ Tiếu Nam Vang Thành Đạt(フーティウナムヴァンタインダット)」というフーティウの専門店だ。調べてみるとホーチミン市内に何店舗かあるようだ。

やはりお店の前の歩道の上に椅子と机が並べられており、空のもとで食事を楽しむタイプの飲食店だった。お酒を楽しんだ後のシメとして、遅い時間に行ったにも関わらず、若者であふれておりとてもにぎわっている。

フーティウの人気店「Hủ Tiếu Nam Vang Thành Đạt」は深夜でも賑わう(2024年5月 筆者撮影)

席に着く前に、その椅子と机の低さに驚いた。お風呂場の椅子と同じくらいの高さのプラスチックの椅子が並んでおり、机も日本のちゃぶ台くらいの高さだろうか。背の高い人だとかなり縮こまってご飯を食べることになりそうだ。大柄な欧米人だったら椅子に座ることも難しいかもしれないと、余計な心配までしてしまった。

メニューは数種類あるようだったが、勧められるがままに一番シンプルな「フーティウ」を注文すると、5分もたたないうちに提供された。

「フーティウ」とはフォーと同じ米粉の麺料理だが、麺が細く少しコシがあることが特徴だ。一度天日干しにして乾燥させる工程を挟むことで、独特な歯ごたえが生まれるらしい。

具材として豚肉や豚のレバー、エビなどが入っているのだが、具材の味が濃くとても食べごたえがある。よっぽど新鮮なのか臭みなどはまったくない。

スープもフォーとは違い、味としては豚骨スープに近く、豚骨よりも豚の脂の甘味を感じて、見た目以上にコクのある風味だった。あまりにおいしかったので、麺を食べ終わってからも何度もスープをすすってしまった。

日本では食べたことがない味だが、日本人にも非常に受け入れやすいと感じる。お酒を飲んだ後のシメとしては最適だ。日本でフーティウを食べられる場所が少ないことが悔やまれる。

後入れ調味料や香草で味変するのがベトナムスタイル

ベトナムのローカル料理店では、料理を注文すると、頼んでもいないのに大きなザルに大量の野菜が盛られて出される。これらは香草や野菜で、もやし、レタス、バジル、パクチー、シソといった日本でもよく食べられるものから、スペアミントやドクダミのような日本では日常で口にしないものまでさまざまだ。

フォーやフーティウなどの麺料理のスープの中に、自分でちぎった香草を好きなだけ入れて楽しむのがベトナム料理の定番スタイルだ。日本ではなかなか食べない香草を楽しむのも旅行ならではの楽しみだが、パクチーやドクダミなどは味も匂いもかなりクセが強いので、初めての人は少しずつ試すといいだろう。

また、ベトナムの人たちは机の上にある調味料やソースを使って、“味変”しながら料理を楽しむのも好きなようだ。にんにくのスライスや、辛味のある調味料を入れてスープの味を変えたり、小皿にチリソースを出して具材をつけて食べるなど、一つの料理をいろいろな楽しみ方で味わっている。ただし、ベトナムの唐辛子(チリペッパー)は非常に辛味が強いので、こちらも少しずつ調整しながらでないと痛い目をみる。

飲食店に置いてある調味料と料理に入れる香草や香辛料(2024年5月 筆者撮影)

ホーチミンにはきれいなレストランも多くあり、さまざまなおいしいベトナム料理を楽しめるお店もいろいろと紹介してもらったのだが、今回のようなローカルな料理店で食事を楽しむのは格別な体験だった。

店員にはベトナム語しか通じなかったが、身ぶり手ぶりで「これが食べたい」と伝えるとちゃんとこちらの思いを理解し、「カム オン!」とベトナム語で感謝の言葉を伝えると、店員もほほえみを返してくれる。そんな何気ないやり取りが、海外を旅する楽しみを大きくしてくれた。

ホーチミンを訪れた方は、ぜひローカルなベトナム料理を路上で食べてみてほしい。

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兵永和寛

兵永和寛

東京都江東区

編集部記者

IT企業で人事・広報として働く元バンドマン。静岡に生まれ、濃い20代を関西で過ごし、今は東京で暮らしています。カメラを持って街歩きしながら、独自の目線で景色を切り取るのが好きです。現在は記者見習いとして日々勉強中!!

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