福岡県八女市の福島八幡宮境内(けいだい)で、放生会の奉納行事として江戸時代から続く「八女福島燈籠人形公演」。2024年9月20日(金)の口開け公演を皮切りに、本公演が9月21日(土)~23日(祝・月)の3日間上演されました。
本公演は1日5回計15公演。舞台設営解体・人形方・囃子方・衣装方など運営のほとんどに携わるのは、地元(福島地区)の人たちであり、普段は別の仕事をしたり学業に励みながら地元一丸となって燈籠人形の保存伝承に尽力しています。
毎年「秋分の日」の頃3日間本公演が上演される八女福島の燈籠人形公演は、昭和52年(1977)に国指定重要無形民俗文化財に指定されています。
公演は、福島八幡宮境内に釘を1本も使わず3層2階建の屋台を組み立て、1階部分の舞台にて上演されます。通常は、舞台まわりに板や障子が張られ、人形を操ったり、お囃子が演奏する姿はまったく見えません。
しかし千秋楽(15回目)のみ、それらが外され、一層に人形遣い(下遣い)6人、二層に人形遣い(横遣い)が東西(左右)に6人合計12人、三層に囃子方(三味線・太鼓・鼓など)16人前後が姿を現します。
9月23日午後9時過ぎ、千秋楽が終わり、上演に携わるすべての人たちが舞台に勢揃い。
地域に伝わる伝統芸能を守り伝えていくために多くの人たちが関わり、協力していることが見て取れました。
人形遣い(東側横遣い)の石井稔郎さん(62)は「270年以上続く伝統芸能の歴史の重みと同じぐらいのやり甲斐を感じています。同時にこの伝統を次世代につないでいくことに大きな責任を感じています。」とのこと。
千秋楽終了後、八女市在住Sさん(61)は「コロナ禍で2年中止のあと、公演が再開されてから今年で3回目。毎年観に来ています。こうした地域に根付いた伝統芸能が末永く続くことを強く願います」と話してくれました。
日差しのある午後、オレンジ色に染まった夕方、とっぷりと日が暮れてからの「燈籠人形公演」は、どれも見ごたえのある舞台です。特に、千秋楽の弾けるような盛況ぶりと華やかさは、お薦めの観光イベントとなっています。