味の決め手は馬肉と肉味噌。山梨名物吉田のうどん【山梨県富士吉田市】

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「吉田のうどん」をご存じですか?香川県に住んでいる私が、山梨県富士吉田市を訪れて食べた「吉田のうどん」は普段から食べ慣れているさぬきうどんとは、また違ったおいしさと驚きがありました。今回は、「吉田のうどん」の成り立ちに併せ、香川さぬきうどんとの違いをお伝えします。

ふじやさんの「吉田のうどん」肉うどん。8月11日撮影。撮影者、木場晏門。

とにかく硬い麺が文化の吉田うどん

山梨県富士吉田市の郷土料理である「吉田のうどん」は、強いコシの太麺を、みそやしょうゆのだしで食べるのが基本で、具は茹でキャベツや馬肉が一般的です。とにかく特徴的なのがその硬さです。普段食べ慣れているさぬきうどんより遥かに硬く、食べ応えがありました。そんな一風変わったうどんの理由は、富士吉田ならではの気候にあります。かつて富士吉田一帯は冷涼な気候と火山灰土で稲作に不向きでした。そのため小麦などの粉食文化が根づき、やがて太く強い麺と、みそ・しょうゆを合わせた温かいだしの「吉田のうどん」が定着したと言われています。

肉うどんに使うのは牛ではなく馬の肉

私は「ふじや」といううどん屋さんに立ち寄り、肉うどんを注文しました。出てきたのは、馬肉が乗ったどんぶりでした。だしはみそとしょうゆを基調に、昆布や煮干しの穏やかな香りが立ち、硬い麺にほどよく絡みます。

もともとこの地域では、農耕や荷物の運搬に馬が欠かせない存在であり、役目を終えた馬は貴重なタンパク源として食用にされることが多く、馬肉を使う文化が自然に根付いたと言われています。さらに、馬肉は脂身が少なく赤身が多いため、痛みにくく保存しやすいという利点もあり、冷凍技術が発展する古くから重宝されてきたと言われています。普段から牛肉が乗った肉うどんを食べている私は、新感覚の味に衝撃を受けました。

店ごとで味の違うすりだね

卓上の自家製の辛味のすりだねも「吉田のうどん」の重要なポイントです。「吉田のうどん」は、店ごとに作られた自家製の薬味をつけて食べます。今回のすりだねは柑橘や山椒、唐辛子の香りが重なり、とても味わい深くおいしかったです。

地域を超えてつながる食文化

「吉田のうどん」は、前述した通り、うどんの硬さも、だしや自家製のすりだねの味も店ごとにそれぞれです。そのため、自分好みの組み合わせを見つけるまで開拓をしていける楽しさがあります。この食文化こそが、吉田うどんの一定のファンが居続ける理由だと感じました。

うどんやすりだね自体もお土産で購入できたため、いくつか香川に持ち帰り、すりだねとさぬきうどんとのコラボを楽しんだり、さぬきのだしで「吉田のうどん」を食べてみたり、普段香川に住んでいるからこその楽しみ方がありました。

木場晏門

木場晏門

神奈川県鎌倉市生まれ藤沢市育ち、香川県三豊市在住。コロナ禍に2年間アドレスホッピングした後、四国瀬戸内へ移住。webマーケティングを本業とする傍らで、トレーニングジムのオープン準備中。

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