沖縄県は2023年度、たくさんの「お宝=魅力」をもつ離島各所の事業者さんたちが、SNSなどの『デジタルツール』を利用してさらに魅力的な発信をしていけるように「沖縄県主催🌺価値を伝えて売りまくるためのデジバズ講座」という取り組みを行っています。この記事は、参加された事業者さんを対象に、「ローカリティ!」のレポーターがその輝く魅力を取材し執筆したものです。沖縄離島の魅力をご堪能ください。
「ずみ」とは、宮古島の方言で「最高」という意味。他にも「かっこいい」「かわいい」などポジティブな意味合いの言葉です。
「ZUMI」に「To keep thinking about one thing 〜ひとつのことを思い続ける〜」という言葉を加えた言葉を信条に掲げて活動をするひとりの男性がいます。MKBRAND(エムケーブランド)の久貝正樹 (くがい・まさき)さんです。
目次
「ずみ!」そう言い続けられる宮古島らしさとは何か。
MKBRANDは沖縄県宮古島を中心にアパレル、バスケットボール関連事業、Web関連事業、コンサル、コミュニティのデザインと運営、地域循環共生圏に係る市の委託事業などを行っています。代表の久貝さんは沖縄県宮古島出身。つまり生粋のみゃーくぴとぅ(宮古の人)です。
久貝さんが宮古島を次世代に繋ぐために活動を始めたきっかけは、大好きなバスケットボールでした。会社設立前から宮古島バスケットボール協会の役員と指導者をしていた久貝さんは「指導している学生が大学入試に向かう時の費用をサポートしたいや宮古島を離れるまでにできるだけ多くの経験、体験を通して少しでも刺激を与えられる環境を作りたい」と思い活動を始めました。
その中の1つに「ZUMI To keep thinking about one thing 〜ひとつのことを思い続ける〜」というデザインをあしらったオリジナルTシャツの販売があります。
「ZUMI」には宮古島のかっこよさを伝えたい想いを、「To keep thinking about one thing」には、1人1人違うけど宮古島のことを思って、ひとつのことを思い続けやり通していくことがかっこいいという想いを込められています。
「このような活動は2006年から17年間続けています。最初は1人で勝手に取り組んでいましたが『年間通して活動していくなら』と、協力してくれる仲間が増えはじめました。それを優先させるために時間やお金を自分でコントロールしていきやすいように会社を設立しました」
「この数年で流れは変わりました。”ずみ”宮古最高だよ!と伝えたくて、この活動を始めた時から早17年です」
「ずみ!」宮古島最高だよ!と伝えたい、あしながおじさんの奮闘。
久貝さんは島の北部に位置する狩俣地区で生まれ育ちました。今では考えられないかもしれませんが10年以上前は、宮古島はダサいと思われていたと感じていた久貝さん。実際に狩俣地区でも人口が減っていました。
「結局人がいないと守ること、生活すること、繋いでいくことが成り立ちません。人口が溢れる市内なら成り立つけど、狩俣地区でも働き手の人たちと子どもの数を保てるようにしていきたい。そのために他地域と対等に話せる力は持っていたいです」
子どもたちが成長して、大学進学や就職で島外に行く時に「何も分からず島を出る」のではなく、「いつか地元で何かしたい気持ち」を持って行ってほしいと言います。そして島外へ出たからこそ「地元だけの力だけでは成り立たないことに気づき、都市部の人ともコミュニケーションが取れるまでになってほしい」と後輩に期待を込めています。
先輩から後輩へ。点と点を繋ぎ、線にするチームプレーで子どもたちに残したい未来へ
今後は地元の後輩を育成する組織を作っていきたいと考えているという久貝さん。
「人の力、数の力、地元の人の力。団結力を持ってやらないといけない段階にきています。『誰かがやってくれるのを待つ』のではなく、誰かがやらないときっかけは起きません。これがいつか良いように動いてくれると信じています。時間とお金は有限なので、みんなで協力して後輩を育成していきたいです」
宮古島が変わってきている時に、どうやって宮古島らしさを残していくか。変わっていくことが悪ではないが、バスケットボールや島人の繋がりをきっかけに、先輩後輩、人やモノを繋ぎ合わせていきたいと久貝さんは言います。
孤軍奮闘している団体が横断的に繋がり、一緒に行動を起こせば課題を解決しながら、宮古島の価値をより高めていくことにつながっていくのではないか。それが「ずみ」な宮古島をずっと残していくことに繋がっていくのでは無いかと考えているそうです。
「みんなで話しながら、何ができるか考えていく未来を描いています。まずはバスケットボールメンバーでは、自分が関わってきた人を中心に先輩と後輩を繋げたいです。小中学生には高校生の姿を見せて憧れを抱いてほしい。中高生には自分たち大人の姿を見せて、将来この人たちと一緒に仕事をしたい、こういう人になりたいと思える姿を見せたいです」
先輩が後輩へ伝承し、後輩を島の外へ送り出す。そしていつか島へ帰ってきた時に一緒に事業をするサイクル。それを実現するためにも久貝さんは奮闘します。
「元々の宮古島らしさを残していきたい。そのために行政や補助金頼みではなく、地元の自分達が発信していく。それはしていかないといけないことだと思います」
変化が激しい宮古島の今。狩俣地区に住むオジィやオバァを見ると「ローカルでゆったり暮らしている方が人間らしい生活が送れているのではないか。自分達のコミュニティの中で人間らしい生き方をしている」と感じることもあるという久貝さん。
本当に発展なのか?豊かさなのか?それを見極めながら1000年先まで残したい宮古島のために、久貝さんは今日も点と点を線にして繋げていきます。