馬もサーフィンもロボットも!?移住相談窓口に聞くココで叶える自分らしい暮らしとは。【福島県南相馬市】

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▲鹿島区烏崎(からすざき)は馬の調教にも使われる市民の憩いの海岸  ※写真提供:南相馬市

福島県北東部の浜通りに位置する南相馬市は、サーフィンや相馬野馬追(そうまのまおい)のまちとして知られる地域。いまココが移住者も呼び込む魅力的なまちへと変貌を遂げているのをご存知でしょうか?

その裏側で何が起きているのか、今回は、南相馬への移住に関心のある方への相談や移住者と地域住民との交流イベントなどを積極的に行っている移住支援団体「よりみち」の活動に迫ります。インタビューに答えてくれたのは「よりみち」を運営するMYSH合同会社(マイッシュ)南相馬支社長/プロジェクト推進統括の後藤 彩(ごとう・あやか)さんです。

▲MYSH合同会社(マイッシュ)南相馬支社長で「よりみち」代表を務める 後藤 彩さん

―「よりみち」が設立されたのが2022年。東日本大震災の復興がある程度進んだこのタイミングで設立された背景には、どのような事情があったのでしょうか?

そうですね、当時は「移住」っていうキーワードも今ほど一般的ではなかったですし、2019年頃からは南相馬を紹介する際に、震災被災地としてではなく、「新たな挑戦ができる街」「ロボットの街」など、新しい魅力を前面に出すようになりました。その流れの中で、2021年に国や県が移住促進に力を入れ始めたことで、「よりみち」のような移住サポート窓口を開設しました。

▲「空飛ぶクルマ」の研究拠点にもなっている福島ロボットテストフィールド  ※写真提供:南相馬市

―福島県内では、他の市町村も移住促進に力を入れていますが、南相馬市の移住のメリットは何でしょうか?

私個人の意見ですが、南相馬はいま東日本大震災から街が復興し、未来を創り出していくステップの途中にあります。この新しい町づくりに関われる点が特に20~30代の方々には魅力的に映るのではないかと思います。まだ発展途上で、自分がその一部になれるという感覚が、多くの人に響いているようです。

▲「よりみち」はJR常磐線原ノ町駅から歩いて5分ほど。学生限定のラーニングスペースもある。

―南相馬市への移住を検討する方々は、どのような理由でこの地域を選んでいるのでしょうか?

移住を検討している方々は、南相馬で自分のやりたいことを実現できる可能性を感じていることが多いです。起業や地域づくりに携わりたいという想いからこの街を選ぶ方が多く、特に自分もそのプロセスに参加できることが魅力的だと考えているようです。他の都市には、すでに完成されたコミュニティが存在していて自分が入る余地が少ないと感じる反面、今まさに成長過程にある南相馬では自分の手で一から作り上げられる可能性がある点が特長です。

▲来場者ひとりひとりに丁寧に説明をするスタッフ

―単身者も核家族世帯も移住しているのでしょうか?

はい、ご家族連れで移住される方も多いです。特に、長く東京に住んでいた方々が、地方での生活を楽しみたいと考え、南相馬のように関東に比較的近く、地域とのつながりを大切にする町を選んで移住されています。

▲子どもたちからお年寄りまでたくさんの方に愛される南相馬市立図書館  ※写真提供:南相馬市

―起業される方の他にも一般企業への就職を希望する方もいると思いますが、その点はいかがでしょうか?また、子育て世代にとっては保育園の状況も気になるかもしれませんね。

そうですね、起業を念頭に置いている方もいますが、実際には転職が多いです。南相馬には製造業が多く、浜通り北部の産業の中心地として、大手企業の工場や、それに関連する中小企業が数多くあります。こうした企業への就職を希望する方も多くいらっしゃいます。特に起業は資金面でハードルが高いと感じる方も多いですが、南相馬には様々な業種の仕事があります。サービス業などは特に求人倍率が高く、働き手が不足している状況です。多くの方が仕事を見つけられており、「働く場所がない」という心配はあまり聞かれません。転職やパートの希望も多く、そのニーズにも対応できる環境です。

保育園に関しては、園によって定員状況が異なるので一概には難しいのですが、比較的スムーズに入園できることが多いです。移住者にとっても安心して子育てができる環境が整っていますね。

▲「よりみち」内には実際に移住し、自分らしく働く方たちの声も多く紹介されている

―南相馬にお住いの方の印象、また、移住して感じた南相馬の良さや、少し違っていた点などについて教えてください。

移住者からは、地域の方々との交流イベントが多く、人とのつながりを感じられる点が良いというご感想を頂いています。一方で、冬場に季節風が吹き、思っていたよりも寒かった、というご意見も(笑)。想像していたより季節が厳しかったと感じる移住者もいるようですが、反面、南相馬の方たちの気質はというととてもマイルド。押し付けがましくなく、かといってドライでもない、適度な距離感を持っています。そのバランスがとても心地よいと感じています。

▲サーフィンを楽しんでから出勤するなんて夢も叶えられるかもしれない。 ※写真提供:南相馬市

―移住を検討してから実際に移住するまで、どれくらいの期間がかかるのでしょうか?

これは人によりますが、20代の方だと長い時間をかけて検討する方も多いです。例えば、今は社会人2年目だけど、4年目や5年目になったら移住しようか、といったように計画している人もいます。一方で、すぐに移住を希望する方もいますので、そのあたりは個々の状況に合わせて対応しています。私たちは、移住を検討している方々に対して、仕事や生活に関する情報を整理し、相談しやすい環境を整えています。また、移住体験プログラムも開催しており、実際に南相馬の生活を体験できる機会もありますので、ぜひ気軽に参加してみてください。

―ありがとうございました。

後藤さんは「ココは新しいことに挑戦したい方を応援してくれる街」と話す。自然豊かな環境でアクティブな日々を送りたい方も、最先端の技術に触れてみたい方も、あるいは地域の一員としてじっくりと腰を落ち着けたい方も、きっとその夢を叶えてくれるだろう。もし新しい生活を探しているなら、南相馬市はぜひ候補に入れてほしい場所の一つ。自然とテクノロジーが融合したこの街で、自分だけの新しい生活を始めてみるのも良いかもしれない。

情報

南相馬 移住相談窓口「よりみち」

webサイト:https://minamisoma-yorimichi.jp/
Instagram:@minamisoma.yorimichi_jp
note: mysh_magazine

昆愛

昆愛

福島県郡山市

第4期ハツレポーター

埼玉県川越市出身。前住地は山形県鶴岡市。会社員のかたわら、地域資源の掘り起こしとその魅力発信活動に取り組む。2023年、「誰もいなくなった町。でも、ここはふるさと~原子力発電所と共存するコミュニティで“記憶”と“記録”について考える【福島県双葉郡富岡町】」で本サイトのベスト・ジャーナリズム賞を2年連続受賞、また2024年、天文活動の報告・交流等を目的としたシンポジウムでの発表「天文文化史で地元の魅力発信?九曜紋が導く新たな誘客構想とは【福島県南相馬市】」で渡部潤一奨励賞を2年連続受賞。

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