秋田の伝統を自分の手で。大館曲げわっぱ製作体験【秋田県大館市】

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大館市(おおだてし)に古くから伝わる伝統工芸品「大館曲げわっぱ」。薄くした杉の板をお湯で煮込んで、独自の技法で曲げて形を作り上げる曲げわっぱの原型となるものは、約1300年も前から大館の地で作られていたと考えられています。

現在でも多くの人に愛され、職人が一つひとつ時間をかけて手作業で作り上げる、繊細で温かみのある曲げわっぱ作りが大館市で体験できることをご存じでしょうか?

代表取締役 戸嶋一之さん

1959年創業、製材・曲げ・接着・研磨・樺(かば)縫い・仕上げなど曲げわっぱ製造の全ての工程を一貫して行っている大館工芸社の代表取締役、戸嶋一之(としま・かずゆき)さんにお話を伺い、曲げわっぱの魅力や伝統技術が現代に受け継がれている背景、そして製作体験の楽しさについて詳しくお聞きしました。

木を曲げる!美しくて機能的な国指定の伝統的工芸品「大館曲げわっぱ」

「曲げわっぱ」とは、厳選された杉の板を熱いお湯で煮込んで曲げ加工を施したものに底板を付けて器にしたもので、主に食器として使われています。

秋田杉で作られる「大館曲げわっぱ」は、同様の製法で各地で作られた「曲物」の中で、唯一国の伝統的工芸品に指定されたことから、全国的に名が知られるようになりました。

木は「呼吸」し湿度を調節する特性があり、食品を適度な状態に保ちます。特に、曲げわっぱのお弁当箱は、木目が美しいだけではなく、ほのかな木の香りと、ごはんのおいしさを引き立てる特長があり重宝されています。

時間をかけ木と向き合った、卓越した職人技によって作られる

曲げわっぱの魅力は、長い年月をかけて北国の地で育った木の特質と職人たちの卓越した技術にあります。曲げわっぱの製作には、特に美しい木目である年輪の柾目(まさめ)の部分を使用し、熱湯で柔らかくしてから型に合わせて曲げるという高度な技術が必要です。曲げて乾燥させた端の部分を桜の皮で縫い合わせるという工程も含め、すべてが手作業で行われます。

特に、伝統工芸士と呼ばれる、産地で12年以上の経験を有し、実技や面接試験などをクリアした技術者においては、木の特質を見極める繊細な感覚や熟練の技を、長い年月をかけて極めていきます。

また、曲げわっぱを作る工程には手間だけではなく時間もかかります。

大館の伝統工芸を支えている職人たちは、技術を次世代に伝えながら、時間をじっくりかけ製品や木と向き合っています。

伝統は、革新と人の力で守られる

曲げわっぱが長い歴史を誇る一方で、苦労を伴う部分も少なくありません。

曲げわっぱの製作には高度な技術が求められるため、加工の難しさから職人が減少しているという課題があります。伝統と革新を両立させる場で、木を知り、木と関わりながら、貴重な経験を積むことができる人材が求められています。

また、2013年にそれま0で使用されていた天然秋田杉は資源保護の観点から国有林からの供給が停止となり、代わりに天然秋田杉に近いとされる植林された樹齢100年を超える杉を使用していますが、その資源も限られており非常に貴重です。

「以前は均一な品質を保つために使用しない部分がありましたが、その部分の色合いや材質などの違いを生かし、それらを魅力として楽しめる製品作りにも取り組んでいます。また、工芸品の需要に答えるため、職人たちが工夫を重ねながら伝統の技術を発展させています。こうした取り組みを存続させるために、新しいアイデアを生み出し、革新を支える力をが必要です」

伝統は、革新とそれを守る人の手によって存続します。曲げわっぱに触れて、その世界に興味を持ってくれる人が増えてほしいと戸嶋さんは話します。

もっともっと気軽に生活の中で使ってもらえるように

「秋田では古くから秋田杉を使った桶(おけ)や樽(たる)などでみそやしょうゆ、酒などを仕込んできました。木に良質な酵母が宿る影響で、おいしさが増したり、日本酒はまろやかな味わいになるんです。木の特質を知り利用すると『食』がより豊かになります」

曲げわっぱも同様に、これまで食とともに長く愛用されてきました。

「将来的には、曲げわっぱをもっともっと気軽に生活の中で使ってもらえるようにしたいと考えています。お弁当箱だけでなく、普段の食卓で使える器やお皿として、食との調和を楽しんでもらえるよう工夫をしています」

戸嶋さんが話すように、大館工芸社の曲げわっぱには、ウレタン塗装が施された製品もあります。塗装がないものに比べて調湿機能は少し劣りますが、その分洗剤を使って洗うことができお手入れが楽になり、油分を含んだ料理も入れることができます。こうした工夫により、より身近に使うことができ、製品が長持ちします。

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戸嶋さんは、さまざまな食材をお酒とともに楽しめる秋田の文化を、国内にとどまらず海外の人にも日常的にふれてもらいたいと話します。

大館を訪れて秋田の文化にふれる体験を

「大館曲げわっぱ製作体験」では丸弁当やパン皿、七寸盆といった曲げわっぱを、実際に手作りし完成させてその日に持ち帰ることができます。

「曲げわっぱを自分で作ると愛着がわきます。普段のお弁当作りが面倒と思っていたけれど、自分で作ったものを使うことでお弁当作りがより楽しくなった、と体験された方にお聞きしました」と戸嶋さん。

実際に製品を一つ作るには、最初の製造工程から完成までに約10日ほどもかかるのですが、この体験では、すでに加工された材料を使用して作業を進めるため、数時間の作業で自分だけの曲げわっぱを完成させることができます。

作ったものはその場で持ち帰れるのが何よりの魅力で(ウレタン塗装を希望した場合は後日発送)帰宅してすぐに曲げわっぱを使うことができます。

「大館市内では、曲げわっぱを使って食事を提供している飲食店もあります。せっかく体験に訪れるなら、旅行もかねて実際にその使い心地を確かめ、秋田の食との組み合わせを楽しんでみてください。また、曲げわっぱの職人の仕事に興味がある方には、体験を通じて貴重な学びの場にもなります」

伝統や食文化にふれ、自分の手で作る喜びを味わいながら、また何度でも足を運びたくなる秋田の味わい深い文化をぜひ体感してください。

秋田の伝統工芸品づくりに挑戦!大館曲げわっぱ製作体験のプラン詳細

お好きな体験キット(パン皿・七寸盆・丸弁当小・丸弁当中・丸弁当大)をお選びいただき、曲げわっぱの製作体験をすることができます。


材料は三大美林のひとつ「秋田杉」を使用しています。
秋田杉のことや曲げわっぱの取り扱いなども学べる内容です。

【プラン料金】
(1)パン皿4,400円(税込) 

(2)七寸盆5,500円(税込) 
(3)丸弁当(小)7,150円(税込) 
(4)丸弁当(中)7,480円(税込)

(5)丸弁当(大)7,700円(税込) 

塗装されない場合は当日お持ち帰りいただけます。
塗装される場合は完成まで約1カ月程度かかります。
ご都合の良いときに受け取りにお越しいただくか、完成次第発送いたします(別途送料)。

(オプション)
ウレタン塗装 別途1,100円(税込) 
塗装ご希望の場合は、完成まで2週間〜1カ月程かかります。
ご都合の良い時に受け取りにお越し頂くか、完成次第着払いにて発送いたします。

※塗装を希望されない場合は当日お持ち帰りいただけます。

申込み・詳細

大館工芸社製作体験ページよりお申込みください
https://magewappa.co.jp/pages/studio?srsltid=AfmBOopGB4FsNvF2b9exWW9xfM8_BR6y9xxW696e5EM4fMm2Irpr3fJ0

※写真は全て株式会社大館工芸社提供

「あきたの物語(https://kankei.a-iju.jp/)」は、物語をとおして「関係人口」の拡大を図ることで、県外在住者の企画力や実行力を効果的に生かした地域づくりを進め、地域の課題解決や活性化を促進する事業として秋田県が2023年度から始めました。秋田県や秋田にまつわる「ローカリティ!」のレポーターや地域の関係者が、秋田県各地の人々の活動を取材し「あきたの物語」を執筆して秋田県を盛り上げています。

秋田県では、2024年12月1日(日)から2025年2月28日(金)までの間、JR東日本秋田支社と連携し「秋田県冬の大型観光キャンペーン 誰と行く?冬の秋田 」を実施しています。詳細はこちらです。https://akita-hottokenai.jp/
キャンペーンと連携して関係人口として地域と関わるきっかけづくりのコンテンツについて「あきたの物語」でも紹介しています!

天野崇子

天野崇子

秋田県大仙市

編集部編集記者

第1期ハツレポーター/1968年秋田県生まれ。東京の人と東京で結婚したけれど、秋田が恋しくて夫に泣いて頼んで一緒に秋田に戻って祖父祖母の暮らす家に入って30余年。

ローカリティ!編集部のメンバーとして、みなさんの心のなかのきらりと光る原石をみつけて掘り出し、文章にしていくお手伝いをしています。

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